感想文部（乾燥ブンブン部） / 毎週ショートショートnote

ユリとマキは職員室までハンカチを届けに来ていた。国語のじぃは無表情であぁどうも、と受け取った。
「先生、その感想文部って何ですか？」
じぃはハンカチを見ている。
「感想…そう、読書感想文で読む本をお薦めする部です。宿題に出しましたが二人とももう読みましたか？」
マキがあっと声を上げた。
「まだのようですね。では…ヘミングウェイの老人と海なんてどうでしょう。それとも…。」
チャイムが鳴る。
「海のやつ読んでみるね。じゃあ失礼します。」
バタバタと職員室を飛び出していく。
学生の頃、保健室へ通うメンバーで作ったハンカチ。本当は保健室で洗濯したタオルをブンブン振って乾かす『乾燥ブンブン部』だ。本好きの麗先生に気に入られたくて『感想文部』にしたけれど、僕が国語の教師になるきっかけだ。

放課後、書店に来たマキは悩んでいた。
やっぱりユリと来るべきだったなぁ。じぃのお薦め何だったっけ。確かタイトルに海がついてて…
マキは「海と毒薬」を購入した。

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