十面鬼との最後の戦いは、演劇を見ているようだった
仮面ライダーアマゾンの敵、十面鬼は一番上の鬼だけ上半身があり、大きな頭である乗り物を操縦するようなスタイルだ。下方に仲間の鬼の顔が並ぶ。
大きな頭は空を飛んで移動する。浮かびあがったとたん、背景が暗転する。それまで青空の下にいたのに、真っ暗になる。うん、風を受けて飛んでいるように見える。演劇の演出のようだ。鬼の表情は、歌舞伎の影響もあるかもしれない。
カメラはちょっと下から、セリフを一言づつ口にする鬼たちを一人づつ丁寧に横へ横へと追う。普段はアクションをしている役者さんたちが、狭い空間に入って穴から顔を出して演じたという。顔は赤く塗られているが、表情が豊かだ。
十面鬼は飛ぶ、吠える以外ほとんど動けず、役者さんのアクションは封印されている。もちろんCGも使えない。
アマゾンは、この大きな塊とどう戦うのか。
アマゾンが鬼にくらいつくと、遠景になる。人形に切り替わる。戦いの様子を上から見下ろすような視線はない。ドローンが使われるようになってから、画面の角度が大きく変わったのだと改めて気づく。
再びカメラはアップになり、アマゾンは十面鬼の下の部分で横一列に並ぶ鬼と一人づつ戦う。といっても、十面鬼は動けないので、アマゾンが動き回る。
それまで役者さんが入っていた顔のひとつひとつが、アマゾンにやっつけられるたびにコンクリートのように固まっていくという変化も舞台劇のようだった。
アクションが使えない戦いをどう表現するか。CGやドローンもない時代に、技術スタッフが知恵をしぼってこのクライマックスを作りあげたのだと改めて感動する。
でも、子どもの頃に偶然見たとしたら、とにかく怖くてすぐにチャンネルを変えただろう(笑)。
次の相手はガランダー帝国のゼロ大帝だ。手ごわそうだ。
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