見出し画像

声座を学ぶMe、お風呂が沸きました

近所で毎年梅祭りが開催されるのですが、そのお祭りに行く主目的は大好物の梅まんじゅうという……花より団子を体現して生きております。梅まんじゅう、美味しすぎる……!

今回は言葉の添え木様のお題で作った詩5編と、詩誌「ココア共和国」様に投稿したオリジナルお題の詩をセットにしました。言葉の添え木様、ココア共和国様、ありがとうございます。



暑さと風の依り代は 
ビロウだったり、クバだったり 

いつかの神様は 
アヂマサ姿でお目見えして 

本当の姿は誰も見ず 

同じ名前で隣人で 

寒さと雪の依り代は 
こたつだったり、毛布だったり 

姿形は変わっても 
同じなのさ 
君と同じ 
やっぱり隣人 

昔馴染みの名前でさ 



声座

声が震える時には 
星も震えてる 
君の真上で 

運動エネルギーを君に託しつつ 

光って 
連なり 
声座となって 

息が白くなる時には 

熱エネルギー、よろしく 

「寒いね」 

「寒いね」 

人々の声も 

光り 
連なり 
声座となって 


Me

ミーアキャットのMe 

Meowのミー 

見合う報酬はカリカリ3つ 

リピート、アフタミー 

違うようで同じなMe 

同じようで違うMe 

粋な冬毛が揃いました今年も 

冬毛ファッションショー 

すくっと立ち上がって 

お腹温めて 

ミーアキャットのMe 

リピート、アフタミー 

レモンは揚げると甘くなる 

ノートの隅の 
小さな字から学んだ夜 

レモンくし切り半分こ 

天ぷら衣、ぽっと纏わせて 

ぱちぱち、ばっちり揚げまして 

レモンは揚げると甘くなる 
誰かの字から学んだ昼 

明日の朝は 

何を学ぶか 

お楽しみに 

  


現代の生活

0と1で認証される 

安心は不安に分解されて 

確かにならない空気 

現代の生活 

霧で道が見えなくても 
不安定な二足歩行を続行 

DNAでも見分けがつかない 
私たちがいると信じて 

新しい失敗を連ねる 

現代の生活 



「お風呂が沸きました」(オリジナルお題)

浴槽は巣になっていました

白い、ふくふくした鳥が、浴槽にみっしりと収まっていました 

見覚えのある鳥でした 

「あなたはホモ・ナレディ?ホモ・サピエンス?どちらでしたっけ?」 

ベールピンクのくちばしから質問 

星の人と知恵の人 
私はどちら 

「あなたはジュウシマツでしょう」 

私は結論を急ぎました 

知恵の人ではないようです 

「ご名答」 

「私から逃げたジュウシマツでしょう」 

「そうですとも」 

「なぜ今さら浴槽に?」 

「名前を付けてもらいたいくて」 

ジュウシマツは私の手の中からすり抜けていったのでした 

名前を忘れていったのでした 

星の砂を残していったのでした 

「なぜ今さら」 

ジュウシマツはふるふると震えました 

羽の隙間から、砂が浴槽の外に零れました 

「この星の砂は、お詫びの印、名前の対価です」 

零れる星の砂は止まりません 

「さぁ、名前をください」 

思い出すか、思いつくか 

このジュウシマツに似合う名前が出てこないので、質問しました 

「ところで、お湯はどこに」 

「初めから無いですよ」 

浴槽にはずっと、名前を乞う鳥がいたのでした 



お気に入りいただけましたら、よろしくお願いいたします。作品で還元できるように精進いたします。