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薄味コーンポタージュと弓音

刻んだ春キャベツばかり食べているこの頃。レタスみたいに柔くて甘くて美味しいので、そのまんまでヤギのように咀嚼しております。

今回はオリジナルお題の詩、言葉の添え木様のお題で作った詩を3編ずつセットにしました。言葉の添え木様、ありがとうございます!

あと私事なのですが、詩誌「ココア共和国」様の4月号に、「水原月」として投稿した詩が掲載されることになりました。もしかして今も白昼夢見ているのかもしれません…!

3月28日発売ですが、すでに公式サイト様にて先行販売されております。ご興味ありましたら、ぜひ手に取っていただければと存じます。



薄味コーンポタージュ(オリジナルお題)

人生って誰のものなのでしょう

自分のものだと
胸を張れない

自分以外のものだと
落ち着けない

情けないような

しどけない心持ち

コーンポタージュは薄味


人生の意味は?

コーン一粒の意味は?

無意味の定義は?

意味の定位置は?

コーンポタージュのお味は?



薄味コーンポタージュ~2杯目~(オリジナルお題)

コンポタの粉を半分こ

こうすれば

暖かさは二倍

お湯は一倍になっちゃって

薄味コンポタが二杯


さらさら流るるコンポタよ

ぽかぽか湯気たつコンポタよ


雪が止んだら

コンポタの粉

買いにいこうか



弓音

締切前夜

闇夜に弦を鳴らそ

ひゅほぉーん

弓音で祓お

ニューロンに立ちはだかる魔を

ひゅほぉーん


ひきめのほう

またの名を

ひらめきのほう

ひゅほぉーん



表言

言葉の表通りでは
スーパーカーみたいな言葉が走る

正解と安心へ向かう

競いあう速さで


言葉の裏通りでは
リヤカーみたいな言葉が囁きあう

どこにも向かわない

アンダンテで


私の表言は

きっと裏通り向きだろう

ゆっくり引かれる言葉のパレードへ



余暇

余った、いとま

足りない、いとま

二つは双子

新幹線でやって来て

飛行機で帰ってしまう


もう少しでいいから
留まってくれないかなぁ

何もしない予定が
また消化不良


呆然としていたい

空虚のクッションに埋もれていたい

もうちょっとだけ

いとまの双子



集会(オリジナルお題)

かじかむ季節から約束を守って
また集って、周回する僕ら

桜の花弁は幻でも

なにはともあれ

ラジオ体操


背中をよぉーく伸ばして、足も伸ばして

耳と尻尾もピクピク動かす

捩じって、左右にパタパタ転がって

おへそを日光で沸かすのさ

厳しい季節の悲喜こもごもを

思い出しながら目を細めて


いつか独りで、消えちゃう僕ら
でも僕ら、消えるために在るのではない

肉球に蓄えた力を大地に放ちながら

僕らの集会は周回する


優しい人を嗅ぎ分けて餌をねだって
お返しに肉球の力

狩りの練習

疲れたら、くっついて寝よう

僕らの集会は周回する




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水月suigetu
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