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てるてる坊主とエーデルワイス

先月、文学フリマ東京に行きまして、うへへ~と声が出るような幸せな時間を過ごさせていただきました。会場に渦巻く凄まじい創作意欲に元気を貰いました…!

こちらでの優しい反応やコメントにも、日々とても励まされております。本当に本当にありがとうございます!

今回は言葉の添え木様のお題で作った詩5編と、オリジナルお題の詩を1編お送りいたします。梅雨の時期にぴったりな雨に関する詩が、偶然多く揃いました(´▽`)



てるてる坊主

ポケットティッシュのてるてる坊主 

金の鈴も銀の鈴蘭もあげるから 
今すぐ天気にしておくれ 

厚いコンクリートすり抜ける雨雲 

地下鉄で地蔵になって 

雨で冷える頭 

てるてる坊主、頭ぐらぐら 

あまいお酒も辛い涙もあげるから 
太陽、拝ませておくれ 


価値観

拾ったパーツで 

価値観 

組み上げる日々 

カチカチ、カチカチ 

カチャカチャ ガチャン 

外れゆくオーパーツ 

壊れるか、壊れないかの瀬戸際で 

パーツを付け替えて 

わざと完成させない 

価値観 

Staccato

かき氷?パフェ? 

迷いながら口に運べば 

パッと消える雲のような、なにか 

ぱくっ ぱくっ ぱくっとstaccato 

どっちがwhichかなんて 

ぱくっ 

もう消えたstaccato 

ぱくっ ぱくっ 

止まらないstaccato 


太古のエリコの塔から 

今、目の前の雨空へ 
運ばれたもの 

途中に立ち寄った空へ 
還ったもの 

どちらが幸いか 

夜が来ましたね 

エリコの塔から 

夜が来ました 

私は忘れるばかりで 
悲しい忘却をまだ知らない 

比べることを忘れて 

ただ想いたい 

エリコの塔と夜空 


エーデルワイス

天使が残していった花は 

骨のように白い 

毒にも薬にもならない私の話 

エーデルワイスは聴きながら 

薬効成分を その身に蓄えて 

私の毒さえ 

食べてしまう 

咳をする人に薬を渡して 

銀河に帰る天使 

エーデルワイス 

今夜も、ひっそり白いのだろう 



雨と海と波(オリジナルお題)

雨音は海の迷子が落ちる音

無数の小さな波の重なり


雨粒の絶え間ない波音は

小さな海の泣き声

空で消えちゃう前に

安心できる場所に辿り着いた声


不眠症の君の背中

暗闇を睨む君の腕の中

消えちゃう前に見つけた居場所

君という海に会えて良かったと

雨の波は泣いている



お気に入りいただけましたら、よろしくお願いいたします。作品で還元できるように精進いたします。