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オリジナル小話の詰め合わせ

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数分で読めるオリジナル小話をまとめました。 SFジャンルの小話が多めですが、コメディや温いホラーなどの様々なジャンルの小話が混ざっております。 主に平日午後8時、9時頃に更新して… もっと読む
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2022年8月の記事一覧

ネムノキとうつつをうたた寝

日没が迫る島で、私は今日も、ネムノキの葉を確認した。日中は、鳥の羽根のように並ぶ小さな葉…

水月suigetu
1年前
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十六夜の糸の迷い

大きな姿見に、私の姿がくっきりと映っている。ついさっき、店員さんに渡されたワンピースを両…

水月suigetu
1年前
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無人駅の提灯

「ハルテプンクト駅、ハルテプンクト駅に到着です」 電車のアナウンスで飛び起き、慌てて電車…

水月suigetu
1年前
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ストーン・チェアの鼻歌

実家から自分のアパートに帰ろうと、新幹線に乗った。 夏休み真っ盛りという感じの小学生たち…

水月suigetu
1年前
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海中眼鏡のワンシーン

真っ白なティーカップに水を注ぎ入れる。 ”人間は同じ景色を見ていても、本当に同じ景色を見…

水月suigetu
1年前
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星の欠片にブランケットを

物干し竿にかけられた、ガーゼ生地の薄いブランケットが風に煽られて揺れている。 僕は畳の上…

水月suigetu
1年前
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ミックスジュースと六つの星

ちょっと早起きして、肩掛け鞄にプリントや教科書、ノートや筆箱を詰める。 今日は行きつけの喫茶店「六連星」で、夏休みの課題を進めようと決めていた。先週、手つかずの課題の山を睨みながら。 「いっへひまーふ!」「いってらっしゃい。マスターによろしくね」 咥えているロールパンのせいで上手く喋れない。母に頷きながら、玄関のドアを閉めた。 「いらっしゃいませー。あ、光昭君だ。久しぶりだねぇ」 「どうも。お久しぶりです。ちょっと今日は、学校の課題、させてもらえたらなぁと思って。あ