小さき天文学者の隠れ家
目薬が染みる。目を閉じたまま考えるのは、やはり仕事のこと。今度は水族館のようなドールハウスに挑戦してみようか。壁は水槽にしよう。住人はどんな人?海洋学者?人魚?
カランコロンとベルが鳴った。お客さんの入店の合図だ。目を開けて作業部屋から店に出る。いらっしゃいませ~と言いながら、さりげなく棚に並んでいるドールハウスを整理するふりをする。お客さんが私に話しかけやすいように。
私はミニチュアドールハウス専門店の三代目店主だ。祖父と母が切り盛りしていたお店を引き継いだ。祖父と母の