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オリジナル小話の詰め合わせ

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数分で読めるオリジナル小話をまとめました。 SFジャンルの小話が多めですが、コメディや温いホラーなどの様々なジャンルの小話が混ざっております。 主に平日午後8時、9時頃に更新して… もっと読む
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2022年4月の記事一覧

スイッチ、ころん

早朝から鏡と睨み合い続けて、もう数時間。 部屋の角の壁と床に設置した大きな鏡には、私の姿…

水月suigetu
2年前
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本棚のドラマティック・ライフ

僕はいつも、本に囲まれている。というよりも、お腹にも頭にも、本がみっちり詰められている。…

水月suigetu
2年前
78

アーカイブ・サテライトの園で

重量感のある四角い金属の箱が、等間隔で並ぶ広大な部屋の中。無機質な圧迫感に立ちすくむ。 …

水月suigetu
2年前
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春雷の落とす望月

落とし物の山が、今日も雪崩を起こす。 仕分けする前だから崩れても問題ないのだが、その迫力…

水月suigetu
2年前
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雨降り発火飴奇譚

桃の花の甘い香りに、沈丁花の清々しい香りが切り込んできた。 そろそろ到着という香りの合図…

水月suigetu
2年前
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儚い煙の浮遊

濃い煙に満たされた街の中で、今日もドロドロに溶ける鉄の状態を見極める。 僕は、工業エリア…

水月suigetu
2年前
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アイリスランプ越しの星虹

お土産選びというのは、意外と疲れるし難しい。特に、奇怪な言語が飛び交う、厳しい気候の右も左もわからない場所では。 家族や友達、同僚が喜びそうで、ここらへんにありそうなもの。ちょっとユニークで、奇抜すぎないもの。帰りは長時間の船旅だ。食べ物だったら、日持ちするものでないと。 考えながら、どこまでも続く市場の賑やかな通りを歩いている。 ここでは、市場を「バザール」と呼ぶらしい。宗教施設の広い敷地内に、小さいお店が密集している。アーチ状の高い屋根の内側には、砂漠を生き抜く植物