ボールライトニングの小宇宙
細いポールの先にある,、大小の金属製の球体。球体の鏡面に、私の顔が歪んで映り込む。
静電気発生装置だ。一般的な独り暮らしの老婦人の家には、めったに置かれないものだろう。この家には確かに、研究者が住んでいたのだ。
家主は、アカデミックな世界からの魅力的な誘いを何度も断り、独りで宇宙を研究していた人。平原に小さい家とラボを建て、数十年間、独りで宇宙の深淵を覗き込んでいた女性。
木目が綺麗な木製の壁には、四季折々の平原の写真が飾られている。宇宙だけでなく、写真や平原の植物にも