揺れるロッキングチェアの卵
脚立を一段ずつ、慎重に登っていく。頭から落ちれば、もう大怪我では済まない高さだろう。命綱があっても、足がすくんでしまう。
足を止めて、息を吐く。下を見ないように、すぐ横にある大きな卵を見た。
最近、北極近くで発見された無人島の、凍り付いた土の中で7000万年眠っていた卵。最初はラグビーボールくらいの大きさだったが、ある時、突然巨大化し始めた。
人工的な光に照らされた卵はもう、この研究所倉庫の10mはある高い屋根に届きそうな大きさだ。このずっしりと重そうで、すぐに割れてし