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新型コロナ経済対策を考えてみる

新型コロナウイルスによる経済的な影響が連日報道されており、政府や地方自治体の経済対策について色々な論評がなされています。それらを見聞きする中で、私自身(一応、経済学部の卒業でひとりの経営者として)が考える「こうあるべきではないか」という内容をまとめておきたいと思います。あくまで「こうあるべきでは」というものなので、実現可能性はそこまで重視していない点はご了承ください。

「経済対策」とは

経済学部あるあるですが「経済」という言葉はどういう意味(成り立ち)なのか、ということを第一回目の講義で話を聞きます。経済は「経世済民」が語源だと言われ、とても簡単に言えば、世を治め民を救うこと、とされ、今の「経済」よりもう少し広い概念の言葉のようです。
語源やら解釈については今回の本題とは違うので、こちらには詳しく記載しませんが、経済という言葉の根底には、世を治め民を救う、という思想があり、経済の役割はまさに、世を豊かにし貧困をなくす(民を救う)ことにあると私は考えています。

その視点に立つと、今回のコロナショックで緊急かつ重要なことは「貧困を防ぐ」ことであるべきです。
貧困の定義は色々と考えられますが、最低ラインとしては憲法が保障している「健康で文化的な最低限度の生活」であり、それを担保する(となっている)生活保障制度相当の経済的支援が「貧困を防ぐ」ラインに相当すると考えられます。

また、貧困を防ぐうえでは「雇用の維持」が最も重要なことでもありますので、いかに雇用を維持するための支援ができるかということが重要になってきます。

現状の支援策

現在、様々な経済支援が実施されています。大別すると ①個人向け ②法人(企業)向け があるわけですが、それぞれ主として以下のような策が実施されています。(代表的なものをあげていますが、網羅しているわけではありません)

《個人向け支援》

定額給付金(10万円/人)、納税猶予(延滞金の減免)など

《法人(企業)向け支援》 ※個人事業主向け含む

持続化給付金(法人200万円、個人事業主100万円)、休業協力助成金(自治体による)、雇用調整助成金、セーフティネット保証の拡充、政府系金融機関による無利息融資 など

かなり大雑把な言い方をすると、少額の「給付」と多額の「融資制度」で今回の経済支援は構成されています。

支援策の意味と効果

今回の経済支援に関しては、まずは「スピード感」が重要なことは議論の余地はないと思います。 飲食店などはものすごい勢いでキャッシュアウトしているわけで、とにかく輸血(キャッシュ)が必要です。また個人事業にしても収入が急減している方は多くおられるので、同様でしょう。

そういった意味では個人に対する一律の給付というのは、スピード感を伴って実施されるのであれば、とても意義のある政策だと思います。一律の給付というのはどうなのかという議論もありますが、スピード感を重視するためには給付対象の選別や審査の工程はゼロとするか極限までシンプルにすべきでしょう。

個人に対する一律給付への疑問(影響を受けていない人ももらえる云々)に対する答えとしては、給付金額を増やした上で課税対象として対処するのがベターだったのではないかと感じます。
例えば、一人一律20万円で課税対象とすれば、収入に直接影響を受けていない人は税として相応を徴収され、かつ中期的な影響を受けた人(直後は収入は減らなかったが徐々に影響を受けたなど)のカバーも可能です。

企業に対する支援については、一律の限度額(持続化補助金など)の補助金は超短期的には意味があると思いますが、企業は個人と違い企業間での事業規模の差がかなり大きく、事業規模が大きいほど安泰という性質のものではないため(むしろ事業規模が大きい方が影響が大きい可能性が高い)、事業規模に応じた支援が必要となります。
それを「給付」で対応していてはいくら予算があっても足りないでしょうからやはり融資などを受けやすくする(保証不要や無利息など)ことが現実的な対応だと思います。

このあたりを考えていくと、企業は個人が行政に生活保障を受けていることを根拠に固定費(人件費)を抑制し、時間をかせいでいる間に借り入れをし、更なる時間稼ぎをしながら事業の立て直し(時勢に合わせた変化を)することが大切になります。よく言われますが、企業は借金まみれでも倒産はしません。現金が尽きた時が「終わり」です。
その意味では、無利息融資や保証不要の融資というのは大きな意味があると考えます。
一方で固定費の中でも大きな割合を占める人件費を抑制出来るようにするための対策は現行より充実させることが望ましいと思います。

借り入れを起こすという話の中で、もっと広げるべきと考えているのは「無期限劣後ローン」というものです。
これは借り入れは借り入れなのですが、返済期限がありません。株式と少し似ていて、配当の代わりに手数料(利息)さえ払い続ければ、返済の必要はありません。
誰がそんな貸付をするのか、という疑問に対しては、政府が債務保証をし民間の金融機関が貸し付けるというスキームが有効です。

経済的な非常時はいかに「現金」を迅速に必要なところに供給できるかが勝負になります。
今回のコロナショックを教訓に対策の整備が進めばとイチ経営者として思います。

では、今日はこのあたりで。

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