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ハロウィンランタン(続)ー10月23日

我が家の玄関先に飾っているささやかなハロウィンランタン。夕方5時から8時頃までデコレーションライトをつけています。

今日は午後4時頃、仕事を一休みすると、母をおいて夕飯の買い物へ行きました。帰りは5時ギリギリくらいかな。ランタンの点灯ちょっと遅れるかもしれない。かといって急ぎ買い出しの用事もあり、バタバタと家を出ました。

買い物の荷物が重くなり、バスで帰ろうかと駅でバス待ち。家の近くまで来るバスを待っていたら、だいぶ待った。そろそろ午後5時。家にいる母に電話をかけてもデコレーションライトの点け方がわからない。

仕方ない。やっぱり今日の点灯はちょっと遅刻かな。午後5時きっかりに点灯しますと近所中に宣言しているわけではないのだから、アバウトにいきましょう。

ひとり勝手に納得し、バスに乗り込む。久しぶりのバス。なんだか妙に嬉しい。一人用の座席に座るとウキウキ。

と、携帯が鳴った。母からだ。

モシモシ? いま、バスに乗ったところよ。

そう。待ってるわ。

一言で母の電話は切れた。なんの用だろう。用もないのに電話するようになったとは。困った兆候だろうか・・帰宅したら調べなくては。また心配事が増えるのは勘弁してほしいと軽く嘆息。

腕時計をみると、午後5時3分。あ、デコレーションライトの時間だ。あんた帰ってこなくていいの?点ける時間でしょ?と母の電話は言っていたのだ。

バスを降りるとまっすぐ家に向かう。こういうときに限ってやけに荷物が重い。玄関先に着くと、家にも入らず、ハロウィンランタンに点灯する。これでヨーシ。母はなにもなかったように澄ましている。

台所に上がると、醤油と出汁のいい匂い。鍋を覗くと、買っておいたレンコンが煮てある。あー焦げなくてよかった。安堵する。

秋鮭の焼いたのに、母が炊いたレンコン、卵とじ、キュウリと茄子のぬか漬けで簡単な夕食をすませ、少しだけ仕事に舞い戻る。部屋の戸が開いて母が顔を出した。

あんたいいの? ライト夜中じゅう点けっぱなしじゃだめよ、もう時間でしょ?

え? だ、だいじょぶよ?

生返事もろくに聞かず、母は自分の部屋へ行ってしまった。なんだろうと柱時計を見るともう午後8時。ハロウィンランタン消灯時刻だ。

勝手に決めた消灯時刻だから、遅くったってだあれも怒らない。それにしてもこんなにも時間に正確な母は珍しい。元々時間にはアバウトだったから、ここまで正確なのは我が家史上初かもしれない。一体どうなっているのだろう。

もしかして、母は認知症でないどころか、短期記憶障害ですらないかもしれない。いや、思いあたるふしはありすぎるほどある。今日の正確さがどこか異常だ。

どうしたわけか母はハロウィンランタンでハイになり、いきなり治ってしまったのだろうか。わけがわからない。

でも、もし下手なハロウィンランタンをご近所が喜んでくださり、点灯消灯にやきもきしながら母の調子があがるのなら、こんなにいいことはありません。心が軽くなる。小さくがんばったハロウィンランタンは大成功です。カンパーイ☆


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