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今週の相場見通し3/2~3/6

先週2/24~2/28(24東京市場は休場)の市況概要 

2月最後の取引だった28(金)の東京市場も、新型コロナウイルスによる感染拡大懸念から売られ5日続落、前日比-805.27円21,142.96で大引けでした。一時-1031.83円の20,916.40円と大きな節目である21,000円を割り込みました。次に意識される下値は20,570円近辺、さらにその下が20100円となります。ただし、日経平均は20,700円の水準でPBRが1倍となりますので、ここからはテクニカル的にも下げづらいと考えます。ともあれ、1週間での下げ幅が2,243.78円と2008年のリーマンショックに次ぐ大きさです。

ニューヨーク市場も、カリフォルニア州で新型コロナウィルス感染者が33名に増加し8,400人が監視下にあるとの報道や、アフリカ大陸、ヨーロッパなどでの感染拡大が確認されるなどネガティブなニュースに売られ、前日比-357.28ドルの25,409.36ドルで取引を終えました。ニューヨーク市場もこの1週間で3,500ドル、率にして12%の下落となりました。セントルイス連銀のブラード総裁が「新型コロナウイルスの影響を言うには時期尚早であり現時点で追加利下げの必要はない」と発言したことで、一時下げ幅は1,085ドルに達しましたが、その後、パウエル連銀議長が「コロナウイルスが経済活動にリスクをもたらしており、連銀は経済を支えるため手段を講じ、適切に行動する」と発言、緊急利下げへの期待感から大きく買い戻されました。S&P500も午前中の取引で前日比-4.1%の2855まで下げ、最高値から15%の下落となりました。これでダウ、S&P500ともに200MA下回りました。

今週の相場見通しとポイント

ネガティブなニュースとして、中国国家統計局が29日発表した2020年2月の製造業のPMI(購買担当者景気指数)が前月より14.3ポイント低い35.7という結果です。この数字はリーマン・ショック直後の2008年11月の38.8を下回る過去最低となります。非製造業のPMIも同24.5ポイント低い29.6と過去最低でした。また、WHO(世界保健機関)が28日に新型コロナウイルスが世界規模で大流行する危険度を最高レベルの「非常に高い」に引き上げました。これにより、中国経済と新型コロナウイルスへの警戒感が高まり、中国市場が大きく下げる可能性があります。上海総合指数やハンセン指数の動向には注意を払いましょう。

ポジティブなニュースとしては、米国とタリバンの間で和平合意に署名しました。合意内容は、アフガニスタンに駐留する1万2000人から1万3000人のアメリカ軍について、135日以内に8600人まで削減するとともに、14か月以内に残りのアメリカ軍とNATOを中心とする国際部隊も完全撤退させるとしています。2001年の同時多発テロから18年以上続いた対立に終結の目途がついたことは、大きなニュースで米国市場に好感されるものと思います。次に、マサチューセッツ州ケンブリッジを拠点とするバイオテクノロジー企業Moderna Therapeuticsが新型コロナウイルス COVID-19ワクチン開発に成功したという発表がありました。

日経平均はPBR1倍という水準、ダウ平均、S&P500は200MAを下回り、それぞれ高値から12%、15%という下落で新型コロナウイルスによる市場への影響は織り込んだと考えていいでしょう。上海総合指数、ハンセン指数の大きな下落が無ければ、日経平均も反発するものと考えられます。今週は米国でISM製造業景気指数、ISM非製造業景気指数、雇用統計など、国内では2月自動車販売台数、10-12月期法人企業統計、1月景気動向指数など重要な経済指標の発表があります。実体経済への影響が数字として表れるのはまだ先と思われますが、上記の経済指標で予想外の弱い数字が出ると市場は神経質な反応を見せると思うので注意が必要です。

USHIO SUGAWARA NEKO PARTNERS INC. CEO

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