見出し画像

【臨床生理・病理】「がん」ってなんなの?④ 〜転写と翻訳〜

まいど!ねこのてです!!

 シリーズ4回目になりましたが、まだ本題の「がん」の話には至ってないというね!笑 背景知識は大切ですから、ゆっくり確実に行きましょう。

 今回は「転写と翻訳」と呼ばれる機構をお話していきます!中心教義の中でも大きな役割をしています。

「コドン」とは?

 さて、ここまでの話をざっとまとめますと、
「細胞それぞれが持つの機能は新たに作られるタンパク質によって決まりますが、このタンパク質は20種類のアミノ酸の組み合わせから出来ている」という話でした。
そして、その設計図は、DNAの中にあるATCGの4つのパーツの並び方で決まっています。
 ここで、「並び方」を少し考えて見ましょう。ATCGというたった4つのパーツで、どうやったら20種類ものアミノ酸を指定できるでしょうか?

例えば、

A→メチオニン
T→ロイシン
C→リジン
G→バリン

 このようにアルファベットひとつに対して一つのアミノ酸を対応させてしまっては4種類のアミノ酸しかできませんから、到底20種類には足りません。

同様に考えます。

「○○○」の様に3つのアルファベットを組み合わせたものを一つの情報のカタマリとして捕らえると、1つの○には4パターンの文字が入りますから、64通りの組み合わせを当てはめられます。20種類を表現するのにはオーバーですが、数としては、まぁ足りるわけです。
従って、「UUA」、「ACG」といった様に、3文字のパーツの並びが一つのアミノ酸を表現していることになります。

「UUU」→フェニルアラニン!
「CUG」→ロイシン!
「GCU」→アラニン!

てな感じで。

 そして、この3文字の並び方を「コドン」と呼びます。
64通りもコドンが作れるのに、タンパク質を構成するアミノ酸は20種類あればいいわけですから、かなりのコドンは重複して存在していますね(「同義コドン」と言います)


「同義コドン」の存在理由としては、塩基配列が何かの拍子で変わってしまっても、アミノ酸の配列が変わらないようにするため、とか、mRNA(後で出てきます)の安定性に関与しているんだ!とか色々な説があるらしいですよ(小声)

必要な情報「だけ」を読む!

どんどん新しく出てきた言葉を使って、大事な文章を繰り返します。

「DNAには4つのパーツが並んでいるが、これらはコドンと呼ばれる3文字の並びでもって設計図、つまり遺伝子の意味をなしている。そして、DNAは普段はヒストンに巻き付けられてコンパクトな染色体として核内に存在する。」って感じでしょうか。

ひとつ追加知識として、DNAは全ての配列が意味のあるものではありません。アミノ酸の配列を意味していない部分もかなり多く含まれています。「所々に休憩所がある」って感じですかね。この意味を持たない配列を「イントロン」と言います。後で使います。

 さて、細胞にはそれぞれが色んな機能があると言いましたが、この遺伝情報を全て細胞がいちいち解読して新たな細胞が出来てしまうと、どうなるでしょう。
全ての機能を持つ「すーぱー細胞」の出来がり!!!!

・・・、いやいや、これは困るんです!笑

だって、体の全部の細胞が「すーぱー細胞」なんだから、皮膚から胃酸が出てきたり、勝手に脈打ったり、栄養吸収したりしちゃう。もう訳がわかんない。もはやアホです。

こうならないように、細胞は自身の特徴を獲得する際には、DNAの中の決まった場所の、決まった遺伝情報だけを読み込みます。
人間ってすげぇんだ、ほんとに。

転写と翻訳

 いよいよ細胞が機能を持つ時、つまり「分化」していく時はタンパク質が必要なので、DNAの一部から遺伝情報を読み込みます。DNAは読み込みやすいように、螺旋構造が解けて一本のびろびろになります。この時に出てくるのが、「RNA」

 RNAは、DNAに並んでいる「ATCG」の並びに対して一時的にくっつきます。そうすることで、自身も「ATCG」の並びを鋳型にした「長いびろびろRNA」になることができます。この長いびろびろRNAは、DNAを鋳型にしているので、遺伝情報をコピーしたものと捉えることができますね。
 この様に、DNAの遺伝情報をコピーして出来あがった長い「びろびろRNA」を「メッセンジャーRNA(mRNA)」と言います。
そして、このDNAの遺伝情報がコピーされる現象を「転写」と呼んでいます。

https://juken-mikata.net/how-to/biology/protein.htmlより引用

 さて、このままだとRNAには意味のない配列である「イントロン」も含まれるんですが、そこはさすが人体!「スプライシング」と呼ばれるお掃除をちゃんとして、イントロンはしっかり除去されます。
 その結果、より洗練された遺伝情報もったmRNAが生まれるんですね!いよいよ核の外へ出発する準備が整いました!!

さぁ、ここから新しい構造の名前がちょくちょく出てきます!参考に図を載せますね。これを見ながら読んでみてください。↓

https://kotobank.jp/より引用

 出発準備を終えたmRNAは、核の外にふわふわと飛んでいき、「粗面小胞体」と呼ばれる場所にたどり着きます。粗面小胞体の表面には「リボソーム」がたくさん付着していて、ここでmRNAが持つコドンに対応するアミノ酸をくっつけてタンパク質が作られているのです。この工程を「翻訳」と呼んでいます。

 そして、出来上がったタンパク質は、「滑面小胞体」に送られて「翻訳後修飾」と呼ばれる手直しを受けます。一部は「ゴルジ体」と呼ばれるタンパク質配送工場みたいなところに送られ、細胞の外に運ばれる準備をします。こうして、細胞の機能に必要なタンパク質が作られていくわけです。

「中心教義」まとめ

・・・と、以上がDNAからアミノ酸配列を読み解き、細胞機能の元になるタンパク質が作られる工程となります。その工程が「中心教義」

 ここまで何回かのシリーズを読んでいただいた方ならわかると思いますが、中心教義と一言で言っても相当な工程がありました。
 そして、そのひとつひとつに対しても「ミス」が起こらないようにチェックされています。でも、必ずエラーはどこかで起こってしまいます。たくさんの工程がありますから、どこでも起こり得ますよね?
 そう言ったエラーが蓄積されていくと、「変なタンパク質」が作成され、「変な機能」をもった細胞が生まれます。

これが「がん」です。

 繰り返しになりますが、「がん」とは中心教義のどこかでエラーが起こったために引き起こされる病気なのです。


 はい。本当に、読んでいただいた方、お疲れ様でした。
がんを説明するには、どうしてもこの中心教義の説明は省けませんでした。ぜひこの流れをイメージしていただければと思っています。

次回は、やっと「がん」に触れていきたいと思います。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 画像をある程度「読む」には、腫瘍に対して「鑑別する」知識が必要です。
それに加えて、超音波での質的診断や病理像をしっかり理解したり、質のよい業務を行うには、ずっしりと根を張った基本知識が必要です。
 体の中で起こる事を手っ取り早く理解するには、「はたらく細胞」が本っ当におすすめ!!!!
漫画だし、ぜひ読んでみることをおすすめします!!!メルカリとかでも中古で安く出てます!
「はたらく細胞lady」とか色んなもの出てるんですね〜
まぁ、自分の読んだ事のあるものだけしかおすすめ出来ないので、少ないですが、どぞ。

図鑑も!!!(私はもっています。笑)

はたらく細胞BLACK


ご参考にって感じです!!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?