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映像チームより愛をこめて(3/3) #金曜トワイライト

さあみなさん、いよいよですよ。いよいよ明日公開です。

64秒の映像作品『レモンドロップ』。


池松潤さんの企画「金曜トワイライト文学賞」で総合大賞を受賞した作品に贈られる、スペシャルギフトです。

受賞者は湖嶋いてらさん。

もう、駄目かも知れなかった。
女性と肩を並べ消えていく彼を見かけるよりも前から、もう。
仕事や出世やイベントや付き合いに猛進する彼はやはり都会の夜が創った男だった。どうにも埋められない温度差に、こうしてストールを巻くことしか出来ない。独りでいた頃より、惨めで独りだった。


いてらさんが描く女性は孤独です。愛する人と一緒にいても孤独。地方から都会に出てきた自分にぜんぜん自信がない。自分を愛することができない。

さて、イラストにするならどんな女性だろう?

いてらさんの小説を何度も繰り返し読み、浮かび上がってくるイメージを形にします。手に持ったペンを走らせてはまた止めて。『レモンドロップ』の中にいる女性の姿を徐々にあぶり出していきます。


ぜったいね、素敵な女性なんですよ。
でも自分ではその魅力に気づいていない。
伏し目がちな書道の先生。



厳かなパイプオルガンのように響く柱時計。幾つもの時代が染み込んだ柱。心拍数がゆっくりと落ちていく深紅の絨毯。ただそこに居るだけの細い月。

吐息と熱が空間を埋め尽くしていった。
その密度に呼吸が浅くなる。

余裕の無い眼差し。微かに照らされた首すじの湿。初めて聞いたかすれ声…。





いつも箱の端に余ってしまうレモン味。

足元がふらつくとき、高ぶって揺れるとき、すがるように口に入れた。
突き抜けて凛として、弱い私をいつも守ってくれた。

ひと冬を必死に越したうなじにレモンの香りが絡んで、少しは私も大人になっただろうか。



一本道に注ぐ陽の光には、春の気配が溶けている。


ナレーション/涼雨零音(超低音)「続きは・・・noteで」




ぎゃーーーーーーー!死ぬぅぅぅぅぅーーーーーーー!!!


もうマジでね、マジでいいから!

この64秒が出来上がるまでに何度も試作を見たんですよ。たぶん100回ぐらい見た。
もちろん、自分のイラストがきちんと流れにはまっているか、おかしいところがないかチェックするためです。イラストだけ見てます。見てたはずなのに。

涼雨さんの声が!

低音イケボが!

私の耳に!(なぜかイヤホン装着)

目を閉じて聞き入ってしまい!(イラスト見てない)


アニメ業界で働けないわ、私。

涼雨さんのナレーションは随所に入っていますので、今日中にしっかり耳掃除しておいてくださいね。



これまで紹介してきた原画は、いてらさんの小説と密接にリンクしています。
リンクするよう脚本とコンテ割を書いたのは池松さんです。

池松さん、すごいな。

誰でも知ってる超大手広告代理店で、CM作ったりしてた方なんですよ。だから企画力は本物だし、コンテ割もプロなんです。その上、フランスのロードレースに出たり、恋愛小説まで書いたりして、いまはプロ作家を目指していらっしゃる。もうとにかくすごい人なんですよ。

そんなふうに見えないのはなぜ?

きっと自然体なんですね。ありのままに、感じるままに生きている。スキルとかキャリアとか関係ない。みんな仲間。

「池松さん、夕日のシーンこんな感じでどうでしょう?」
「いいですね。空はもっと赤くなりませんか?」
「赤く?」
「いや、濃いオレンジっていうか」
「赤よりもオレンジ?」
「まあ雰囲気でww」

↑これだ、すごい人に見えない原因。私は好きです。


われらが涼雨さんが、昨日こんなnoteを公開されました。

映像制作の舞台裏を涼雨さんはどう見ていたのか。興味深いですね。
この記事によると、どうも企画が始まる段階から、なんとなく嫌な予感がしていたようです。

この映像化大丈夫かなぁ

私も不安でした。絵を描くことは決まっていて、編集者が見つかっていない状態。何人か候補者はいたものの、ただ絵をそれらしくつなげばいいというわけでもなくて。

年が明けても見つからず、編集はとりあえず池松さんが行うことになり、ナレーターとして映像チームに参加した涼雨さん。池松さんの「すっげ〜荒い」走り書きのアイデアコンテと、私がなんとなく描いたラフイラストを見て愕然としたそうです。

思った以上にまずい
出てきたものはメモのようなもので、これを映像化するにはいったんコンテに起こす必要があります。しかしそのコンテが不在のまま、サラさんはもう絵を描き始めている。

事故の予感しかしない…。

秒速で映像編集担当を名乗り出てくれた涼雨さんに、このころ私が毎日のように言われていた言葉があります。

「絵はまだ描かないでください!」

きちんとした流れを作り、どこにどんな絵をはめるかが決定したら、イラストサイズや必要な素材(人物と背景を別々に1枚ずつとか、ここは一枚絵でいいとか)も算出するので、それまで待ってほしいと。

池松さんの書かれたメモでは絵のコマが正方形なんですね。これだと実際の画面でどのようなバランスで何が入るのかよくわからない。サラさんはそこからくみ取って16:9の画面サイズで絵を描き始めていましたが、映像がどういう流れになるのか見えないまま絵を描いてしまうと、例えば人物を左寄りに描くのか右寄りに描くのか、といったことの整合が取れなくなることがあります。
時間をかけて絵を描いてしまう前に、まずコンテを用意せねば。


そういうことだったのか。
つい描き急ごうとする私の手を、涼雨さんが必死になって止めていたのは、私が時間をかけて描いた絵が無駄になることを阻止するためだったんだ。


涼雨さん・・・




結婚してください。


いえ、だめよ。私には愛する夫が。
でも涼雨さん、マジで最高にやさしい人。おまけに仕事はできるし、イケボだし。

せめて、うちの猫を嫁にもらってほしい。ちゅーる1年分持たせるから。

これからも一生ついていきます。


***


こんな3人が頭を寄せ合って大真面目に作った映像作品『レモンドロップ』が、いよいよ明日、2月13日(土)にYouTubeで公開されます。

「オリジナル」と「アナザースカイ」の2バージョンがありますよ。
池松さんがまた何かイベントを用意しています。映像の最後に表示されるQRコードにぜひアクセスしてみてください。


詳細は明日、池松監督のTwitterをチェックしてね〜!


ギュイ〜ン感出してぇ〜
バーン!と行っちゃってぇ〜

↑これですよ、池松さん。(最高)


<2月13日追記>

今朝池松さんから、映像作品の公開時間発表がありました。

今夜21:00に「オリジナル編」、その15分後に「アナザースカイ編」がYouTubeで公開されます!

2つの映像はほぼ同じなんですが、違っている箇所が5つあります。全部見つけられた人はすごい!
よ〜く見て、聴いて、どこが違うか当ててみてくださいね。
正解発表は2月21日(日)夜の予定です。


また、映像を見た感想をnoteやTwitterに書いていただけたら、スタッフ一同大喜び!「#金曜トワイライト」タグを追って、コメントやシェアをさせていただきます。note用のヘッダーを「みんなのフォトギャラリー」に2種類用意したので、みんな使って〜!


今夜21時からのプレミアム公開。どうぞお楽しみに!
配信URLはこちらです↓

オリジナル編(21:00〜)

アナザースカイ編(21:15〜)

最後まで読んでくださってありがとうございます。あなたにいいことありますように。