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andymori 魂の全曲レビュー

ロックバンドandymoriの全曲レビュー


andymori (2009)

ファースト・アルバムかつ2000年後半の邦楽ロック界を代表する最強の名盤 アルバム全編通して初期衝動がかき鳴らされたような作風 トータル32分しかないのに全曲突き抜けるような疾走感があって、再生時間の短さをいい意味で感じさせない ただ、アルバムのクオリティとは相反して発売当初は全然売れなかったらしい(オリコン162位) 次作「ファンファーレと熱狂」でブレイクした後リバイバルヒットしたみたいだけど、それでも低すぎる、、 個人的にもandymoriで1番聴いたアルバムかつ1番好きなアルバムで、「#私を構成する42枚」にも必ずトップ10に入れてる

■全曲感想
 M1 FOLLOW ME:1曲目からやばい曲 脳天を突き抜けるような強烈なドラム→ギターリフから始まる必殺キラーチューン このイントロで何万人もの人の心を鷲掴みにしたと思う マシンガンのように放たれるAメロから、圧倒的なサビに到達する展開はいつ聴いても気持ちいい 2番の「百貫デブにはサプリメントを  有色人種にはマシンガンを」っていう歌詞は初めて聴いた時衝撃的だった 

 M2 everything is my guitar:これもandyを代表する必殺キラーチューン 「FOLLOW ME」よりもさらに早口で、歌い始めから最後のアウトロまで声を出していない瞬間が無い(自分もカラオケで時々歌うんだけどちゃんと歌えない) 2分ちょっとと短い曲だけどその短さを感じさせないほど濃密な曲だと思う あと個人的にMVが大好き、はじめはちゃんと演奏してるんだけど途中から暴れだして終いにはドラムセットがめちゃくちゃになる

 M3 モンゴロイドブルース:アルバムの中でベスト3に入るくらい好き 2曲目までが激しすぎたのでトーンダウンするミディアム・ブルースロック けど曲のテーマはアルバムの中でも一番強烈かもしれない イントロの語りからまともではないし、ドラムカウントが「名・誉・白・人」だし(多分ナンバーガールのリスペクト)、Aメロの歌詞も見るからに人種差別を綴っている ここからは個人的な解釈だけど「大陸側のアンチドリアンは、まったく得意げにバニラシェイクを注文」はアメリカ人の傲慢な態度を描いているし、「島国の王は大陸直系の優しい顔でまたかき混ぜるアイスコーヒー」は黒人差別の比喩だと思う だけどサビの「恋はあせらず」って歌詞については未だにわからない

 M4 青い空:爽やかな歌詞とは裏腹に不穏な雰囲気漂うミディアム・バラード だけどメロディーラインはとっても綺麗、強烈な曲が多い1stの中でも異彩を放つ隠れた名曲だと思う 個人的には青い空の下よりも曇天の昼下がりに聴きたくなる 引用はしないけど2番のAメロの歌詞はものすごく共感する

 M5 ハッピーエンド:アルバムの中で1番好きな曲 イントロのキーボードからもう泣ける、優しく包み込んでくれるミディアム・ナンバー 繊細な歌詞は、高校生・大学生のティーンエージャーに是非聴いてほしい 余談だけどまだ自分は井の頭公園に行ったことがない、いつか夕暮れに行ってコーラの空き缶蹴っ飛ばしたい

 M6 都会を走る猫:クラシック的なギターリフと変拍子が印象的なミディアム・パンク 名前のない猫に自分を重ねる男の子の歌で、少年のモラトリアム的心情を綴った曲だと解釈してる

 M7 僕が白人だったら:ここから後半戦 「モンゴロイドブルース」よりも直接的・強烈な白人コンプレックスを歌った疾走パンクナンバー 1番はわかりやすい白人のアイコンを綴っているけど、2番は一転してシュールな情景になる、自分もメリーゴーランドで会社行きたい

 M8 ベンガルトラとウィスキー:ライブの定番曲、1曲目、2曲目と同時期にリリースされた疾走パンクナンバー 個人的にも大好きな曲で、何百回聴いたかわからない 激しい曲調に載せられる歌詞はかなり難解、Aメロでは檻の中に閉じ込められたベンガルトラとインドクジャクの心情を歌うのに、サビでは一転してウイスキー飲んでつぶれてしまってもまたテイクイットイージーって、どういうことだろう…誰か教えてほしい

 M9 誰にも見つけられない星になれたら:ゆるくてのんびりしてるミディアム・ナンバー 世間から取り残された君と僕が、星になりたいって願う曲 「ところで君の音楽の趣味が少し偏屈なところが好きだった」って歌詞はものすごく共感する

 M10 サンセットクルージング:100秒と短い曲だけど、展開が凄く凝ってて3回くらい転調する横ノリミディアムロック 聴き始めのころは正直あんまり好きじゃなかったんだけど年取るにつれてだんだん好きになってきた 「サンセットクルージング」と一見綺麗なタイトルなのに、歌詞で綴られるのはロックバンドへの強烈な皮肉 

 M11 Life Is Party:タイトルとは裏腹に、終始暗いサウンド 「楽園なんてあるわけない」といった厭世的な歌詞が心にぐさぐさ刺さる Aメロもサビのメロディーも超きれいなんだけど、この曲の一番の聴きどころはアウトロだと思う 今でもソロのライブで度々やってくれるけどその世界観に毎度圧倒される

 M12 すごい速さ:90秒をあっという間に駆け抜ける、andyを代表する必殺キラーチューン 毎年夏の終わりにフジファブリックの「若者のすべて」と合わせて絶対聴くようにしている コマ送りが印象的なMVはTwitterの色んな人にオマージュされている、それぞれの解釈や色が出てて見るのが楽しい そしてなぜか最近TikTokでバズっている(2024年5月時点) 批判的な意見もあるけど、andyの知名度上がるし、メンバーも儲かるので、自分は賛成派です

ファンファーレと熱狂 (2010)

2枚目のアルバムで、これも平成中期を代表する邦楽の金字塔 まずアルバムジャケットからエポックメイキングかつ多国籍で超かっこいい 1stは初期衝動・インディーロックの印象が強かったけど、今作はトランペットも取り入れだして世界観・アレンジの幅が飛躍的に広がったと同時に、歌詞はよりワールドワイド・ソリッド・タイトな作品になったと思う あと自分がandyで初めて聴いたアルバムでもある、「ファンファーレと熱狂」が2010年のCDショップ大賞に選ばれてて、当時の界隈で話題になってて興味持ったのがきっかけ 発売から14年たっても聴き続けている心の名盤

■全曲感想
 M1 1984:1曲目からやばい曲来た イントロのベース→ドラム→アコースティックギター→トランペットと、世界が徐々に広がっていくようなイントロからもうやばい 歌詞は競争社会(受験戦争、就職活動)の世間と、ヒリヒリした世間に生きるモラトリアムな主人公に目に映る情景を歌った歌詞と解釈してる 学校終わり・仕事終わりの夕暮れ頃に聴きたい、心の名曲

 M2 CITY LIGHTS:andyとの出会いの曲 1stの流れを引き継いだようなマシンガンのようなボーカルが印象的 ただ、1stの頃と比較して抒情的かつセンチメンタルな曲にビルドアップしてる ファンタジー的なMVも大好き

 M3 ずっとグルーピー:タイトでシンプルなロックンロール 100秒ちょっとしかない曲展開の中で、外来種(アメリカザリガニ、ブラックバス)と、グローバル化が進む世界情勢を歌った曲 この曲もとにかく速いけど、曲展開はかなり凝ってて、サビ終わりのラララ…の後の展開なんかは超かっこいい

 M4 僕がハクビシンだったら:1stの「僕が白人だったら」のアンサーソングだと思ってるけど、こっちは皮肉・風刺は一切入っていない たぶんハクビシンも語感重視しただけだと思う サビの「いつも最低最高最低」って歌詞が印象的

 M5 16:ファンからも根強い人気がある大名曲 弾き語り主体の曲なのに、メロディーラインが超綺麗(弾き語り主体だからメロディーが活きて、より名曲になってるともいえる) 自分がandyに出会った年齢が「16」なので、個人的にもかなり思い入れあるし好きな曲です ただ、歌詞はかなり後ろ向きで、若者に背負わされている将来と、不安定な心情が綴られていると解釈してる

 M6 ビューティフルセレブリティー:センチメンタリズムあふれる歌メロが印象的な名曲 セレブリティーな彼女のことを想う曲なんだけど、「ぶくぶくになった犬」「だれも住めなくなった街」とかなり皮肉が効いてる 中世フランスの社会問題を歌った曲だと解釈してるけど、現代社会の格差問題にも通じるところもありそう

 M7 Transit in Thailand:アルバムの中で1番好き、2分間の中にandyの良さがすべて詰め込まれた疾走パンク・ナンバー タイランドに旅行行ったときの思い出を綴った歌詞の中で出てくるワード「猿たちが踊るパーティー」「熱狂のロードムービー」「リタイアメントの爺さん」「盲目のシンガー」、、どれも風景描写と言葉のセンスが凄すぎる あと、この曲は後藤さんのドラムがやばい(特にAメロ)、この演奏力の高さも「ファンファーレの熱狂」が名盤たる所以だと思う

 M8 クレイジークレーマー:この曲はとにかく歌詞がすごい 小山田さんが公言してた(なんかの記事で見た)けど、「ひまわり畑」はタワーレコードの黄色い袋の比喩らしい 部屋いっぱいにタワレコの袋が散乱している風景をこうやって喩える感性が素敵 サビの「世界で一番お前が正しいんだよって俺が歌ってやる」って歌詞に救われたティーンズは数えきれないくらいいると思う(自分も含めて)

 M9 ナツメグ:30秒しかない中に、濃い歌詞が散らばめれた小曲 この曲だけだとよくわからないけど、M11「オレンジトレイン」の伏線と解釈してる

 M10 バグダッドのボディーカウント:アルバムの中でベスト3に入るくらい好きなミディアム・ロック 物騒なタイトル(ボディーカウント=死体を数えること)と、明らかにイラク戦争のことを歌った強烈な歌詞が印象的 ただし戦争反対とは一切歌ってなくて、サビの「God Bless America」にあるように、自己中で傲慢な米国を強烈に皮肉っている

 M11 オレンジトレイン:5分弱のゆったりとしたバラード 人身事故で筑豊本線(小山田さんの地元)が遅延して君に会えないって曲 1番の「豚たち目配せして乗り込んでいく」「気遣いながら吸い込まれていく」と労働者を痛烈に皮肉った歌詞も印象的

 M12 SAWASDEECLAP YOUR HANDS:アルバムを締めくくる(もう一曲あるけど)壮大な曲 自分も大好きな曲ではあるんだけど、この曲だけ聴いてもあんまり意味がない M1「1984」から順番に聴いていったときに、はじめて「SAWASDEECLAP YOUR HANDS」の真価が発揮されると思ってる この曲の良さはとにかく歌詞 引用はしないけどアルバムのテーマと、これまでの曲の重要ワードが随所に散りばめられてる

 M13 グロリアス軽トラ:地に足のついたような軽快なロックチューン 前曲「SAWASDEECLAP YOUR HANDS」で壮大に締めくくった後の、ボートラ的な意味合いもあると思う 歌詞は軽トラでどっか行こうぜ!って物語なんだけど、スイカを盗みにいく、アイアンメイデンのTシャツなど所々シュール あと「所沢の空の下」って歌詞はライブではその会場の地名に置き換えて歌ってくれる

革命 (2011)

3枚目のアルバム ドラムの後藤さんが脱退して岡山さんが加入した最初のアルバム 1stと「ファンファーレの熱狂」のソリッド・タイトで熱量ある作風が大好きだったので初めて聴いたときはあんまり好きじゃなかったんだけど、何回か聴いているとシンプルで角がとれたような作風がどんどん好きになってきた 11曲29分とあっという間に駆け抜ける、新境地の名盤 あとアナログレコードも出てるんだけど、高すぎて手が出せない

■全曲感想
 M1 革命:100秒にandyの良さがすべて詰め込まれたアルバムのタイトルナンバー メロディーも勿論いいんだけど歌詞がすごく好きで、「きっと誰かの心に風を吹かせるんだ」って言葉にこれまで何度も勇気づけられた

 M2 楽園:前曲の流れを引き継いだポップ・ロック タイトルとは相反して暗くて絶望的な歌詞 この曲のテーマ、「楽園」から抜け出すために南に向かうのか、今のおとぎ話の世界から「楽園」に脱出するのかどっちなんだろうってずっと思ってる

 M3 Weapons of mass destruction:タイトルは直訳で「大量破壊兵器」、しっとりしたメロディーとサウンドに載せて日常の風景を歌う 「太陽の光」の本当の意味を知った時はゾクゾクした

 M4 ユートピア:ピースフルなロックバンド賛歌、だけど「最後の旅に出たんだ」とどこかバンドの終焉も感じさせる 冒頭はゆったりしているけど途中から一気に激しくなる

 M5 スーパーマンになりたい:タイトル通り、スーパーマンになりたいって歌う曲 1分間と短い中で疾走するロックチューン 歌メロは気に入ってるけど歌詞があんまり好きじゃない、、

 M6 ダンス:アルバムの中でベスト3に入るくらい好き ゆるーく心のままにダンスしたくなる穏やかなミディアム・ロック この曲はとにかく歌メロが好き ソロになってからも時々やってくれるから本人も結構気に入ってそう

 M7 ボディーランゲージ:90秒を駆け抜けるロックンロール 歌詞があんまり理解できてない(性行為のことかなーって思ってるけど多分違う) 

 M8 Peace:やばい曲きた andymori・小山田壮平ソロの中でも一番好きな歌詞かもしれない 家族や恋人への愛を綴る歌詞なんだけど、どこか淡くて儚い世界観が大好き カラオケでも時々歌うけどサビあたりで泣きそうになる

 M9 無までの30分:ゆったりとしたフォーク・ロック いまだに歌詞が理解できない、あと30分後に何が待ち受けてるんだろう?(革命のアルバムの再生時間が29分なので、アルバム自体のことを歌った曲なのかなって思ったけどしっくり来ない) 誰が教えてください

 M10 Sunrise & Sunset:ファンから絶大な人気を誇るフォーク・ソング ピースフルでハッピネスで明るい曲なので、いつ聴いても穏やかな気持ちにされてくれる素敵な曲

 M11 投げKISSをあげるよ:アルバムで一番好きな曲、繊細で優しいイントロからもう泣ける 歌詞は普遍的かもしれないが、直接的だからこそ心のど真ん中にぶっ刺さる うまく行かなくても大丈夫だって小山田さんが言ってくれるから明日も頑張れる

光 (2012)

4枚目のアルバム 「革命」からさらに音楽性が変わって、ピースフルでポジティプで外向的な作風 発売当時は結構賛否両論だった覚えがあるけど、自分は後期andyの音楽性が好きなので、オリジナルアルバムの中でもかなり好きなアルバム あと自分がandyで初めて行ったライブがこのアルバムのリリースツアーだった 計30曲くらい演ってくれたんだけど、1曲目から11曲目までこのアルバムの曲目・順番通りに演奏してくれて激アツだった

■全曲感想
 M1 ベースマン:1曲目からやばい曲 タイトル通りイントロのベースと、大空をつき抜けるような間奏の口笛が印象的なミディアム・ポップ 牧歌的なメロディラインと散文詩のような歌詞の絡みが大好きな曲

 M2 光:アルバムタイトル曲、この曲も大好き 力強い小山田さんのボーカルとパワフルな演奏に載せて、結構直接的な恋愛感を歌う 

 M3 インナージャーニー:夕暮れに似合うムーディなサウンドに乗せて、旅に出ようって歌詞 どこか内省的・後ろ向きな雰囲気が漂ってる 余談だけど、同名の「インナージャーニー」ってバンドがいて、この時期のandyやカネコアヤノみがあって結構好き、聴いたことない人いたら是非

 M4 君はダイヤモンドの輝き:やばい曲きた イントロのリコーダーが特徴的な号泣必死のロックバラード 歌メロも歌詞も演奏も何もかもが美しくて儚く、消え入りそうなアウトロまで聴きどころ満載の超名曲

 M5 3分間:アップテンポでドロドロしたロックンロール 前作「ユートピア」と同じくバンド賛歌なんだけど丁寧に言動が描写されてて、ライブハウスの雰囲気に超似合う あと再生時間もきっかり3分間、東京事変の能動的三分間に影響受けたのかな

 M6 クラブナイト:アルバムで一番好きな曲、イントロからぶち上がる華やかで明るいパーティー・ロック 「冷蔵庫の前で なんだかつまらなくなって」って如何にもつまんなさそうな冒頭の歌詞が個人的にツボ この曲が好きすぎて、ライブハウスや居酒屋いったらジントニック絶対頼んでた時期ある DVD「FUN!FUN!FUN!」ではくるりのファンファンがトランペットで参加、アレンジされたイントロと相まってめちゃくちゃかっこいい
 M1「ベースマン」から「クラブナイト」までの6曲はどれも100点満点つけたいくらい大好きな曲が並んでる、andyの作品の中で一番好きな流れかもしれない

 M7 ひまわり:まさかの岡山さんボーカル、初めて聴いたとき誰だこれ!?ってびっくりした思い出 曲そのものはシンプルな弾き語りのフォークソング、岡山さんの優しい声質結構好きだな

 M8 ジーニー:長澤知之との友情を歌うミディアムロック BPMは遅めだけど、演奏ボーカルに熱量こもっててかなり熱い曲

 M9 愛してやまない音楽を:タイトルからして最高、サウンドはカントリーチックでピースフルな雰囲気、この曲の真骨頂はライブVerだと思う

 M10 シンガー:しっとりした雰囲気なんだけど、1番のAメロやサビにこの曲を作っているときの小山田さんの心情や本音が詰まっていると思う アルバムの中では地味かもしれないけど大好きな曲

 M11 彼女:この曲、実は今まで全然好きじゃなかったんだけど、改めて聴きなおしたらめちゃくちゃよかった リズムとアレンジは1stの「都会を走る猫」に似ているけどよりミニマムでタイト、独特な雰囲気の歌詞も良い 「彼女」の良さを気づけただけでもこの記事を書いた甲斐があった

宇宙の果てはこの目の前に (2013)

ラスト・アルバム 前作「光」リリース後、小山田さんが脱法ハーブ服用してニュースになったり、このアルバムを発表したタイミングで解散告知、さらにはアルバムリリース後に小山田さんが河に飛び込んで自殺未遂して解散ライブ(武道館)が中止になったりと、2013年上半期は怒涛の展開だった このアルバムが出来たからandymoriは解散することになったらしい その理由も納得で、アルバムの流れ・曲の質どれも完成度高すぎる 14曲55分とこれまでの作品の中でもダントツで最長だけど、その長さを全く感じさせない、 「光」の路線をより深化させたミディアムロックの決定盤だと思う 自分も一番好きな1st「andymori」と比肩するくらい好き 2010年代を代表する名盤として、これからも語り継がれてほしい

■全曲感想
 M1 トワイライトシティー:1曲目から壮大なミディアム・バラード この曲本当に大好き 満点の星空を見上げてるようなサウンドと、優しさにあふれた歌詞にグッと来る 

 M2 宇宙の果てはこの目の前に:アルバムタイトル曲、この曲もかなりスローテンポ この曲も満点の星空を仰ぎながら聴きたい 歌メロも綺麗なんだけど、生活感と美しい恋愛感を歌った2番の歌詞は芸術的

 M3 MONEY MONEY MONEY:いかにもなタイトル通り、明らかに経済格差を歌った強烈なロックンロール 前作「光」にもロックな曲は沢山あったけど、熱量がさらにヒートアップしてる感あって超好かっこいい いつもと違う小山田さんのボーカルが特徴的

 M4 ネバーランド:偶像崇拝を真っ向から批判したアルバムの代表曲 「Life is Party」や「楽園」と似たようなテーマだけど、「ネバーランド」はさらにその方向性を極めた感がある どこかシュールで可愛らしいMVも好き

 M5 ネオンライト:アルバムの中でもベスト3に入る、等身大で普遍的な生活を綴った歌詞と小山田さんの優しいボーカルが絶妙にマッチしてる隠れた名曲 栄(名古屋の繁華街)の夜を散歩しながらこの曲をよく聴いてた

 M6 路上のフォークシンガー:タイトル通り弾き語りの曲 フォークシンガーの生き様を自虐した歌詞が特徴的 話脱線するけど、昔街中でこの曲弾き語りしてるシンガーを見たことがある めちゃくちゃかっこよかった

 M7 スパイラル:この曲大好き、感情的な小山田さんのボーカルが超似合ってる 求心力あるサビに到達するまでの曲展開も毎回感動する 刹那的な歌詞も小山田さんの感性爆発って感じ

 M8 空は藍色:間違いなくアルバムで一番好き、このアルバムは名曲沢山だけど明らかに異彩を放ってるミディアムナンバー 1stの「青い空」と同じようにタイトルとは相反してとにかく何もかもが暗い、曇天の昼下がりに聴きたい

 M9 優花:この曲も大好き、フォーク調のサウンドに特定の女の子との思い出を歌う スピッツのミーコとギターや、ミドリのゆきこさん、モールルのユキちゃんとか、バイネームの曲って名曲ばかりだよね あと、会社の同僚に優花さんいて、andymoriは知らなかったみたいだったからこの曲をおすすめした思い出がある

 M10 サンシャイン:これも大好きな曲(ていうかM7「スパイラル」~M12「teen's」まではやばい曲しかない) 主張の効いたギターと力強いドラムが特徴的なストレートなロックチューン 歌詞はなんとなく解散を示唆しているようにも聞こえる

 M11 ゴールデンハンマー:静かに始まり後半で盛り上がるミディアム・ロック サビで繰り返される「ゴールデンハンマー」は何なのかいまだにわかってない(レベルEって漫画に同様の必殺技あるけど絶対違う) 誰か教えてください

 M12 teen’s:やばい曲きた 歌メロも音作りもコーラスも何もかもが美しい、andyを代表する不滅の名曲 一番すごいのは小山田さんが19歳の頃に書いた曲らしい 確かにアルバムの中でこの曲だけ歌詞が浮いていると思う、どことなく若くて青い

 M13 カウボーイの歌:優し気なフォークソング 小沢健二の「カウボーイ疾走」と雰囲気が似ている、おそらくリスペクトだと思う 歌詞は自身(andymoriや小山田さんそのもの)を自虐している曲だと解釈してる

 M14 夢見るバンドワゴン:最後の最後でものすごい名曲、個人的には「空は藍色」と双璧を成す超名曲 解散が決まってから作られた曲らしい 歌詞も明らかにバンドの終わりを示唆したように感じられるし、繊細な小山田さんのボーカルとあまりにもクオリティ高すぎるメロディーライン、涙なしには聴けない

アルバム未収録曲

EP収録曲・配信限定曲・トリビュートアルバム参加曲についても触れておきます スタジオ音源がない曲(アイラビューベイベー、マイアミソング、それでも夜は星を連れてなど)は除きます、わかる曲もあるけどわからない曲もあって、中途半端になっちゃうので

■全曲感想
 andyとrock:EP「アンディとロックとベンガルトラとウィスキー」収録 デビュー作の1曲目からめちゃくちゃかっこいい イントロも間奏もアウトロもなし、小山田さんのボーカルがマシンガンのように放される無敵のロックンロール

 遠くへ行きたい:EP「アンディとロックとベンガルトラとウィスキー」収録 しっとりとした曲展開でメロディもきれいなんだけど歌詞はかなり重め 「余命3か月の彼女は生かされて1年3月後の長い夜に死んだ」って歌詞がほんとにつらい

 兄弟:配信限定曲 東日本大震災の復興支援ソングで、売上を全額寄付するコンセプトで発表された 歌詞は震災の出来事を直接的に触れてはいないけど、ここの「兄弟」は家族や大切な人(+もしかしたら後藤さんも?)のことを歌ってると思ってる

 ロックンロール:くるりのカバー 原曲に忠実な音作りでありつつも所々アレンジが凝ってる素敵なカバー曲 DVD「FUN! FUN! FUN!」ではくるりの元メンバーのファンファンがトランペット吹いてた、そんなん最高に決まってる

 トランジスタ・ラジオ:RCサクセションのカバー 4thアルバム「光」と同時期に録音されたっぽくて、音作りや雰囲気は「光」とかなり似ている 原曲の情熱的な雰囲気とは打って変わって、牧歌的でのどかな雰囲気 聴いたことない人結構多そうだけどいい曲なので是非

 イージュー★ライダー:奥田民生のカバー 怒られそうだけど、andyが歌った曲の中で一番好きかもしれない(ハッピーエンド、投げKISSをあげるよ、空は藍色あたりと同じくらい好き) 以前の記事「スピッツ魂の全曲レビュー」でも少し触れたけど、奥田民生の「さすらい」「イージュー★ライダー」が自分の大部分を構築した2大名曲だったりするので、そんな大切な曲を大好きなandyが歌ってくれたのは本当に嬉しかった 曲自体は、原曲の雰囲気を崩さずに優しく心を包み込んでくれるようなロックンロール・サウンド トランペットはファンファンが吹いてる、そんなん最高に決まってる(2回目)


以上、公式リリースされているandymoriの全67曲の感想でした
自分の解釈とか、なんでその曲好きなのかを言語化できて楽しかった
AL、小山田壮平ソロは後日書きます
最後まで読んでくれてありがとうございました

(6/2更新)
続き書きました、よかったら


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