ファン・ダイクから学ぶ、一流CBのディフェンス講座
風林火山
一流のCBと、並のCB。違いはなんでしょうか。
身体能力とかいろいろあるでしょうけど、体がマジ頑丈!とか背は高い!というCBならばアマチュアにもいます。もちろんフィジカルはあるに越したことはないんですけど、プロの舞台では相対するFWも一流です。フィジカルが強いと分かってる相手にわざわざフィジカル勝負なんか挑んできません。身体能力はピカイチでもプロで成功しないCBは、そもそも相手がフィジカル勝負にすら持ち込ませてくれないのです。良さを発揮させてくれない。駆け引き勝負で負けてるわけなのです。
そんな一流FWに対して止めに掛かるには、自分の土俵に持ち込んで自分の武器を発揮させること。この「自分の土俵に持ち込む」ことが出来るかどうか。ここが並みで終わるか一流に進むかの違いです。
これからはそんなディフェンスレッスンで、一流を学んでいきましょう!
超一流CB、ファン・ダイク
■レッスン1:ワンサイドカット
現役CBの中でもNo.1と言ってもいいんじゃないんでしょうか、リバプールのフィルジル・ファン・ダイクから学びます。
レッスンに入る前に、今回の教材としてこの動画と共に進めていこうと思います。
まずは「ワンサイドカット」から。
ワンサイドカットとは?
両足を横に揃えた状態だと反復横跳びしない限り足を出せません。前に出すのも体全体の重心が均等に掛かっていたら動かすのに一苦労です。
そこで足を縦に配置して、足を前後左右に出せる配置にする。そして、相手のドリブルコースの1つを消す。
相手が正対ドリブルして向かってくるなら尚更利き足側を封鎖する。逆足側にドリブルさせる。コースの限定。
例えば、
相手が正対ドリブルしてきます。正対ドリブルは、対面に向かっていくことで左右どちらに行くのかをDFに迷わせます。
ファンダイクはワンサイドカットで中を閉める。右足を前に出すことでカットインしてきたら即右足を出せるようにする。
ドリブルコースが縦にしかなくなったので、この選手が最終的にできることはクロスのみ。相手の選択肢を限りなく削ることで周囲の選手も次に自分がやるべきこと(この場面ではクロス対応)に備えられる。
はいド~ンっと。1対1としては完璧な対応ですね。
となると、いつまでも正対ドリブルしてコース限定されましたでも逆を獲られたら意味がない。相対するドリブラーも一流なので、簡単にワンサイドカット1つで誘導されるなんてこともないです。そこで次のレッスン。
■レッスン2:認知
例えば、シザースとかエラシコのような足技でのフェイントは足元をDFがみることでどちらに行くのかを騙す。足を見られることで裏をかくのが狙いです。ワンサイドカットを切りながら相手の足元ばかりを見ると視野がなくなります。簡単に騙されてせっかくのワンサイドカットが体重移動の差異で動けなくなってしまう。
最終ライン(しかも本当に最後尾)で1対1。目線は相手の目。
相手が上半身による体重移動でフェイントを掛けようとしてもビクともしない。ワンサイドカットはとにかく重心をブラさないことが大切で、フェイントによって重心をブラされてはいけない、ための目線でもあるので、ドリブラーは正対したところで困るのですね。よって時間を稼がられる。
対応としては完璧。
本当に最後尾だったので、確実な対応が求められる場面。ワンサイドカットで外へ誘導。重心をブラさないために目線は相手の目。これだけで相手の選択肢を複数同時に削除できる。そしてもう1つ。これはディフェンスとして基本中の基本かもしれないんですけど、
■レッスン3:数的優位作り
サッカーのルール上、相手からボールを奪いやすくなる条件は?
当然ですけど、複数人数で対応することです。1対1だと、これはファンダイクだろうと絶対オフェンス側が有利です。
なので、
1対1で奪おうとしない!
これを常に意識できてるかです。複数で対応することがディフェンスするうえで大切な心構えです。
被カウンターで局面数的不利です。絶体絶命。
ドリブラーとの1対1に集中したいがため、もう1人を局面から消したい。ドリブラーに「パス」という選択肢を消させる。現在ワンサイドカットですね。
ここでもう1人との距離感を確認。少なくとも位置を確認することでパスコースを消したい。
ワンサイドカットで左を消す。右サイドに誘導して1対1に持ち込ませる。一気にドリブラーとの距離感を詰める。
この時点で1対1ですね。ここから数的優位を作るのですが、ココに誘導させて数的優位を作るのですが、なぜここに?誰と数的優位を作るのか?
これ、GKを含めて数的優位を作るためです。2人目を消して、選択肢をシュートだけにする。ファンダイクの役目は選択肢をさらに狭めてシュートコースを限定すること。GKはそのシュートをゴールに決めさせない事。役割分担は出来てます。
これは無事枠外に外れたんですけど、ファンダイクがやったことはディフェンスとしては基本的なことを高いレベルでやっているだけです。それは、ボール保持者の選択肢を減らす続ける。ワンサイドカットでコースを限定、限定し続けるために自らの土俵に持ち込んで、そこから落ちない(目線でイニシアチブを握り続ける)、数的優位を作って確実に相手を仕留める。これだけです。だけどこれはかなり大変なこと。
風のように素早く動き、林のように静かに構え、火の如く激しく攻め奪い、山のようにどっしりと構えて動かない。
サッカーのディフェンスの掟。
次回予告
プレシーズンスタート!!新シーズンの先端戦術を占う!!
Thanks for watching!!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?