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「へでもねーよEP」と「青春病EP」(後編)

あなたの青春は何色ですか

私の青春は…可愛らいしいものじゃなかった。
なので、白ではないな。純粋ではなかったもの。
背伸びして大人の真似事をしてみたり、結局のところ自己解決できなかったり。キラキラした思い出もないわけではないけど、恥も多い、勘違いも多い自意識過剰な日々。

そうね。
限りなくグレー寄りの澱んだブルーグレー…そんな感じの青春だったかも。

藤井風氏は「青春はどどめ色」と表現した。J-WAVE  ohayo-morningにサプライズ出演した際に、別所哲也氏からどどめ色について問いかけられ、風氏は「もうねえ、知らないんですよ・・」と返したと記憶している。

一説には桑の実の色ということだが、具体的にどんな色でもいいのです。決して、きれいな色ではないということでね。


青春病

青春病は、青春讃歌ではない。

青春のきらめきの中に
永遠の光を見ないで
いつの日か粉になって知るだけ
青春の儚さを・・・

と明確に綴っている。

手放すということ

永遠はない。
同じ形で同じように同じ気持ちで続くこともない。
物も人も繋がりも。土地も。自分自身も。

断ち切るということではない。
けど。
永遠に同じということはないんだ。
繋がっていくかもしれないけど、それはあの日のそれではない。
だから、あの時を振り返って涙しても、戻りたいと思っても、もはやそこにそれはなく。
記憶とともに前に進むんだよね、生きている以上は。
その記憶さえも変容していくのだけども。

そして変容していく中でも確固たる自己は存在していたい。
真の自己を手繰り寄せたい。

変容と真の自己との葛藤。

そんなことを思いながらこの曲を聴いている。

余談だが。

四十路を期にヨガをはじめていつの間にやら6年ほどになる。ゆるーくゆるーく続けてきた。本当は昔からやってみたかったんだ。
ただ、宗教寄りの団体との見極めが難しく、そうこうしているうちに子育てと仕事の両立が忙しく手を出せずにいた。

なぜ、今この話かというと。
最近、先生方が教えてくださるヨガ哲学的な考えと、藤井風氏が語る考え方が重なり合うと感じているから。
スピリチュアルに入り込みすぎるのは好きではないが、ヨガ哲学は自分をフラットにしてくれる大切な教えになりつつある。

今の私に藤井風とヨガと猫は欠かせない。


さて。

青春病EPの収録曲を見ていきたいと思う。

TEENAGE DREAM 

この曲は風さんはYouTube未発表。

藤井風アプリ内ダイアリーのWDMずっず氏によると、この曲は中学時代の青春を象徴する一曲とのこと。
歌詞の内容を考えると、「風さんのおませさん・・・」となるが、2010年リリースなので風さんが中学生のころによく耳にした、という意味と思いたい。年上のご兄姉もいらっしゃるし、たぶんそう。。。わたしも4歳上の姉がいたので楽曲に関してはなにかとおませさんだった。

歌詞はなにかとセクシーなのですけども、ワタクシ的には冒頭のここが30年前のティーンとしては好き。

You think I'm pretty Without any make-up on
You think I'm funny When I tell the punch line wrong
I know you get me So I let my walls come down

「あなたは私がメイクしてなくってもかわいいと思ってくれるし
 私の話がすべっても面白がってくれる
 私のこと理解してくれる だから、ハードルを下げたの」

と言ったところだろうか?
若い頃って、「同じ」とか「分かり合える」とか「わかってくれる」ってすごく盛り上がりポイントだったかもしれないとわずかな記憶を手繰り寄せる四十路。
勘違いポイントでもあるんだけど、勘違いしちゃうくらいじゃないと恋は始まんないんだよね。おそらく。

そして、めっちゃ女の子目線のこの歌詞を藤井風氏が歌う。
ピアノのイントロがエモい。本家はMVみてもわかるようにめっちゃきゃぴきゃぴしてるけど、風氏のTEENAGE DREAMは切ないです。

「若さ=儚さ」とも言えるのではないだろうか、とさえ思わせる。

Katy Perry

GOOD AS HELL

風さんは2019年5月に上京。その後、NYに滞在し、とても良い経験だったと「Artist on the Rise」の中で語っていた。
この時にLIZZOのライブを見たのかな?と思っている。配信かラジオでライブ見たと仰っていたように思うのだけど、そのソースを確認できなかったんですよね。私の思い違いかもしれません。なので、Instagramを辿っていたら、2019年5月13日に互いがニューヨークにいると確認できました。なんか、ストーカーまがいのような気もして複雑な気持ちなのですが。間違ったことも書けないという思いから確認しました。不快に思われる方がいたら申し訳ないです。

もし、あの時に、LIZZOのライブを見ていたとしたら、YouTubeで画面越しにみる音楽の世界と生音を浴びる音楽の世界との違いをNYで見た21才の青年はどう感じたのだろう。そう考えると非常に興味深い。

この曲もLIZZOも風さんを通して知ったのだけど。
めちゃくちゃ元気でる。女性を全肯定してくれるし、性別じゃなくて、人類尊厳全肯定みたいな。私は私でいいし、アイツはアイツだし。私は私であればそれでいい、って。言ってもらっている気分になる。
そういうのがワタシはたまらん。好きだし、この完全女目線を風氏が歌うとこれまた違う風味になるし、違和感がない。

ほんとに、風君は何者なんじゃろうか。
性別も年齢も超越している存在で、幼くもあれるし、年長者でもあれるし、女性性とか男性性とか関係なく、表現者としては両性具有のようなそんな気にさえなる。もちろん、彼自身がどうかはしらないし人間藤井風には興味はあれども、セクシャルな側面に関しての興味はない、というかそれに関してはなんでもいい。風さんが風さんであればそれでいいだけのこと。ただ、音楽的表現の点で男女というものを超越した表現をされるんだな、それができちゃうんだな、という感想。今、この日本で軽やかにそれができるということはすごいことだと思うんだよ!

If he don’t love you anymore
Just walk your fine ass out the door

もし彼がもうあなたを愛してないなら
(あなたのかわいいお尻は出ていくのよ)
別れちゃいなよ!

そうだよ!別れちゃえ!って外野から応援したくなっちゃいませんか?


藤井風(インスタグラムより)

LIZZO

めっちゃ女子応援してくれてる感じ。好き。

風さんとずっずさんに感謝。教えてくれてありがとうございます。

CIRCLES

これまた。大人な・・・というか。なんだろうか、セクシーな表現もあるけど、確かに青さがあって若いな、という印象は四十路的には思いますね。

こちらの曲もYouTubeにはなく、サブスクもないのでここに掲載できる風さんの音源はありません。

原曲のMVはちょっと不思議で。私には不思議で。皆様はどういう解釈をされるのか興味深いところですが。

この曲は男子目線の曲かな。だからということではないですが、歌詞の引用は省略します。私的に、ここ、という歌詞がなかったので。
セクシャルなことをまた歌ってますけども、風氏が歌うと、本気で切なく感じます。

なんでしょうか。彼は歌う空気清浄機ですか?

表現者としての藤井風

青春病EPを通して感じることは藤井風の優れた表現力。

いや、このEPだからということではなく。ほかのカバー曲に関してもそうなのだが、彼の手を経ることで、原曲以上の楽曲に込められた思いを感じ取れてしまうということ。解釈が広がるということ。

これって素晴らしいことではないですか。
これを、日本語ではなく英語で表現しているということ。

天才、かもしれない。確かにそうなのかもしれないけども。

明らかに、彼の努力の上にこの技術と表現力があるということ。
それによってワタクシの人生が豊かになっていること。
私以外にもそのように感じている方がたくさんいらっしゃるということ。

嬉しいですよね。

コロナ禍。不便もある中、いろいろな手段を使って我々を楽しませてくださっている。

ありがたい。

今後のご活躍を祈りつつ。

この執筆の傍らで、グッズ販売のサイトに何度もアクセスを試みているワタクシ。いいんですよ。購入できなくてもね。でも0時までは粘ろうかな~と思っています。皆様おやすみなさい。


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