ジャニーズなんかどうせ踊れないし歌えないしブスじゃん!が的外れな理由

Kポップオタクな友達に、SnowManにハマってる、と言ったら笑われたことがある。よく、ジャニーズとかに比べたらKポップは桁違いのパフォーマンス、なんて言われる。

そんな一般化がいいかどうかは置いといて、平均をとって比べるなら、まあパフォーマンスレベルが違うのは間違ってはいないだろう。(KinKi Kidsが大好きな私からしてみれば口から音源は当たり前ですが??と反例をあげたくなるが)若手の顔面の系統はいわゆるジャニーズから少し変わってきたような気もするが、まあkポップの中性的なルックスとはまた系統が違うし、まあその辺にいそうな外見の人だってもちろんいる。

でもその批判は、的外れである。私たちがジャニーズを見る時、見ているのはパフォーマンスや顔など、その瞬間だけを楽しんでいるのではないのだ。私たちは、とてもハイコンテキストで、その世界の内情をよく知っている人でないと理解できない範疇の物事を鑑賞している。

と言ってもそれだけでは少しわかりにくい。では一体私たちはジャニーズを見る時に何を見ているのか。私たちは、成長過程と関係性、そして人間性を見ているのだ。

1. 成長過程

特に長年ずっと推している場合やジュニア担に多いかもしれない。ここでいう成長とは、スキルの成長。先ほど挙げたキンキも、硝子の少年などデビュー当時の音源は、まあ聞くに絶えないというほどではないが、SMAPやV6と比べてとてつもなく上手いかというとそんなことはない。でも、主に光一の努力により二人のハーモニーはとても美しい。今ではコンサートはいつでも生歌が当たり前、なんなら昔の音源を流そうものなら下手すぎて秒でバレる程度には口から音源である(もはや音源じゃない)。

スキルの成長は短期間ではなかなかわかりづらいかもしれないが、ジュニアなどだと、ほとんど露出のなかった推しがグループに所属する!舞台に出る!テレビに出る!ソロ公演をする!など、仕事を通して成長がわかる。それを見ているのが楽しいのだ。

あと、デビュー後なら、ファンはよく同じCDを何枚も買うわけだが、それは特典がいっぱいつくから集めよう、という心理よりも、彼らにミリオン到達してほしい、のような心理で買っているそうだ。個人的には環境に悪いしいらなくね、と思ってしまうが、ファンがグループの売り上げの成長に直接参加している、という感覚は確かにファン冥利に尽きるのだろう。マテリアルな利益ではなく、シンボリックな利益を求めて金を払うという、資本主義の根本を覆すような発想だけど、CDの売り方自体をどうこうしなくても勝手に顧客が同じものを買ってくれるなんてビジネスアイデアとしては天才だろう。沼にハマらせるとは大事である。

2. 関係性

バラエティで「ジャニーズの先輩との交流は?」みたいな質問を受けている光景は日常茶飯事だと思う。吉本の芸人やアミューズの俳優が、同じ事務所の人限定で交流は?なんて質問は聞いたことがあまりないだろう。というか誰がどこの事務所かなんて知らねえ。

そう、そこにこそ本質がある。ジャニーズは、メディアの表舞台でほぼほぼ重要視されることのない(裏で忖度があるかどうかは知らんが)、事務所というアイデンティティを確立した。確かにジャニーズという肩書きはネガティブなニュアンスも多いかもしれないが、ジャニーズという記名性のあるアイデンティティがあれば、こういう質問もしやすいし、記憶に残りやすい。無名の新人ならとてつもなく大事な要素である。

そんな質問に、ファンは何を見ているのか。私たちは、グループ内外の関係性を鑑賞している。全然グループの違う、中村嶺亜と井上瑞稀が同期なん?エモ!とか、キンプリの平野と永瀬って実はなにわ男子の西畑とSnowManの向井と一緒に活動してたん、エモ!とか、わあ、誰々と誰々がプライベートで一緒にご飯行ってるやん!とか、とか、憧れている先輩の誰々にこんなことしてもらったんか!その先輩、良い奴やん!よかったなあ、とか、グループで泣いてる子を慰める姿とか、グループ内の友情とか変遷とか、そういう類のものが大好きなのだ。最近は、グループ公認不仲(SixTones松村と京本)、という新しい関係性の提示もあって、なかなか面白い。

人間は、関係性の中に意味を見出す。鬼滅だってキャラの関係性の描き方がいいからバズっているのだろう。ジャニーズは、バラエティやライブなどでの、メンバーの関係性の描き方がすごく上手い。あとは、グループ内ユニットで曲を披露したりとか、グループを超えたコラボとか、その手の、新しい関係性が見つかる感覚も楽しい。腐女子的な文脈もあるだろうが、結論として、人間は、他者の関係性を見ることが好きなのだろう。

3. 人間性

浅いレベルで言えば、キャラが立っていること。SnowManで言えば、女子アナ風あざといキャラ阿部、お笑い担当向井、バブみ担当渡辺、リアコ兼3枚目キャラふっか、ビジュアル担当めめ、筋肉岩本、声が通るアニメオタク佐久間、ロイヤル舘様、大人っぽいが若いラウール、という感じである。結局、沼にハマるには、良いパフォーマンスができることもそうだが、個人がどういう人なのかがちゃんと描かれないと感情移入しにくい。

私の圧倒的な推しである堂本剛のラジオで見せる人間性は、本当に聞くだけで心が浄化される。相談者の悩みに優しく、思慮深い言葉で寄り添う姿、そしてパニック障害などの自分の過去を自分の言葉で語る姿は、心に響く。先日は、ステージ上でパニック障害の発作がでた、昔の自分ならばきっとその場でうずくまって息ができなくなって倒れていたかもしれないが、今の自分は、ちゃんと踏ん張って演奏を続けることができた、それはいろんな人との出会いのおかげ(要約)、と述べていた。アイドル、芸能人、かっこつけること、の枠を超えて、自分を表現してくれて、ファンと真摯に向き合う姿は、本当に素晴らしい。余談だが、何をしても不眠が治らなかった私だが、彼のラジオを10分聞けば入眠できる。

私たちは、彼らのパフォーマンスや顔だけじゃなくて、彼らの性格やグループ内の役割、人間性そのものが好きなのである。


例えるなら、自分の子供の運動会を見ている感覚。そりゃあ他人からすればただ子供が走っているだけで、タイムがすごいわけでもなんでもない。でも、それまでにたくさん毎日練習する姿を見ていたり、一緒に頑張る仲間との葛藤や友情を見ていたり、その子の人間性を知っているから、ものすごく泣けたりする。そこに、そんなん見るぐらいならオリンピックの陸上をみればいいじゃん、と言っても的外れなのは自明である。

のであって、ダンスうまい!顔綺麗!だけを求めるのであれば、それこそKポップをみればいいのだ。だって、私たちは、それ以上のものを見ているのだから。

(個人的に、Kぽは歌とダンスを見るもの(だって韓国語わからんからバラエティとか見てもわからんもん)、ジャニーズはバラエティとか成長過程とかを楽しむもの、と勝手にゾーニングしているけれど、もちろん、Kポップを同じように見ている人もいるはず、なら俺らは別の場所で同じもん見てるんだ、それぞれ尊いな。)


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