ねこかんの洒落にならない怖い話
※ここから先を読み進める場合は自己責任でお願い致します。
これは3年前の夏に僕がとある飲食店クリーニングの現場で体験したお話です。
依頼をくれたお店のオーナーさんとは元々知り合いで一緒にイベントなどにも参加することもありました。
お店の営業時間が終わり、お店に来ていたお客さんも帰ったので、作業の準備に取り掛かっていました。
オーナーさんに大まかな作業の流れと大体の終了時間を伝えました。
オーナーさんは、だいたいの終了時間にはお店に戻ってくるけど、もし早く終わりそうなら連絡してほしい、そして、もしかしたらオーナーさんの奥さんが代わりに確認に来るかもとのこと。
オーナーさんがお店を出たあと、すぐに作業を開始。作業自体は問題なく進んでいきました。
そして、ワックスを塗り終わり無事作業は完了。時刻は午前0:45頃。
オーナーさんには、「ワックス塗り終わったからあと1時間くらいしたら乾くから確認して下さい。」と連絡を入れました。
乾燥まで1時間ほどあるので、休憩をしたいところでしたが、事務作業が溜まっていたので、ワックスを塗っていない厨房で事務作業を進めていました。
その日は、朝から深夜まで働き詰めでとても疲れていて頭も少しボーっとしていました。
ワックスを塗り終わり、事務作業を進め出してから20分くらい経った頃、スリッパで歩いているような足音が聞こえてきました。
このお店が入っている建物には、別のお店も入っていたので、その足音は自分には関係ないだろうと思い、あまり気にも止めませんでした。
再び事務作業に意識を戻すと、赤い服を着た30〜40代くらいの女性がワックスを塗りたてのお店の半分くらいまで歩いてきていました。
「まだワックス乾いていないので、入れないです!」と伝え、一旦出ていってもらうように伝えました。
僕も足跡がつくので、厨房からは出られませんでしたが、その女性は入ってきたところとは別に扉があり、そこに入っていきました。
僕は、「そんなところにも従業員専用の出入り口があったんだな」と思い、あまり気にしませんでした。
作業開始前にオーナーさんが、もしかしたら奥さんが確認に来るかもと言っていたので、その時はその女性はオーナーさんの奥さんだと思っており、そこまで気にしませんでした。
それよりも足跡がついてしまい、やり直すことで気が重くなっていました。
オーナーさんに、足跡をつけてしまい、塗り直すので、もう少し時間が掛かってしまうと連絡。
最初のワックスの塗布から1時間が経過して、塗り直そうと思い、足跡を確認しましたが、足跡が見当たりません。
「ん?何故だ? 結構歩いてきてたよね?」
足跡がついてないわけがないと思い、光を当てたり、色々な角度から見てみてもやはり足跡はありません。
一応、もう一度塗り直し1時間待ちました。
そして、オーナーさん本人が確認に来ました。
僕は最初奥さんが確認に来たと思ったので、オーナーさんに「ワックスを塗ってすぐ奥様が来られたみたいでしたが、まだ完了していなかったので、出て行ってもらう形になってしまって申し訳なかったです。」と伝えた。
オーナーさん「えっ?どういうこと?店には行ってないですよ!ずっと家に俺と一緒にいましたよ!」とのこと。
僕は、オーナーさんに赤い服の女性のことと、別の扉から出て行ったことも伝えました。
オーナーさんに「え?出入り口は、ここ一箇所だけだよ」と言われ、僕は訳が分からなくなりましたが、確かに別の扉から出て行ったと伝えました。
オーナーさんに、その女性が出て入って行った扉を開けてもらうと、中は広めの用具入れで、出入りできる場所はありませんでした。
その用具入れの中も徹底的に探しましたが、赤い服の女性はいませんでした。
あの日の夜、僕が見たのは一体何だったのでしょうか。
今でもそのお店の依頼は受けていますが、怖いので深夜作業ではなく、定休日の昼間に入っています。
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