下関市(山口県)前田市長への要望書
11月30日に、下関市(山口県)の前田市長に要望書提出のためご面会いただきました。
下関市長
前田晋太郎 殿
要 望 書
下関市動物愛護管理センターでの飼い主のいない猫・野良猫への不妊去勢手術の事業について
要望事項
① 貴市動物愛護管理センターにおいて野良猫の不妊・去勢手術を取り入れてください。
② 一般公益財団法人どうぶつ基金等の民間技術指導を職員獣医が受けられるよう協力をお願いします。
③ 地元獣医師会の協力を要請します。
背景
昨年、貴市動物愛護管理センター(以下「センター」といいます)に視察に伺いました。
その際、開放的でモダンな造りの建物に感銘を受けた一方で、以下に述べるようないくつかの問題点があることも明らかになりました。
① 処置室は広く避妊去勢手術に必要な麻酔器などの器機、隣の部屋にはレントゲンも備えてありましたが十分利用されていないこと。
② 一般公益財団法人どうぶつ基金に、毎月25匹程度の野良猫・無料不妊去勢手術のチケットの申請があるものの、センター内での手術は禁止されていることから、貴市内の野良猫の不妊去勢手術は県外で行わざるを得ないこと
ボランティアによる費用負担、労力、時間等の負担は看過できるものではなく、大変疲弊している状況です。
③ 一般財団法人 ネコイコネの助成金の占める割合が増えております。
④ 貴センターの設立には地元獣医師会のご尽力があったと聞き及んでおります。その一方で、全国の動物愛護センターの運営内容は、時代が変わるにつれて、「殺処分から生かす」方向へ移ってきており、殺処分から不妊去勢手術へと舵を切り始めたところが多くあります。
⑤ センターに寄せられる市民からの苦情が年間300件ほどあると伺いましたが、これに対応するためにも、野良猫の不妊去勢手術が最善策であること、他の地方自治体でも同様の判断をしています。
(例えば、三重県動物愛護推進センター)
⑥ 貴センターの殺処分機等は全国的に見ても巨額の費用をかけた最先端の立派な設備であるが故、現状ではこれだけが目立ってしまって、殺処分がセンターの主な仕事だとの誤解を生みかねません。
⑦ 獣医師職員の離職率が高いのは、職場として問題であることから、獣医師の専門性を生かしつつ、やりがいがあり将来に希望を持てる職場が望ましく、小・中学生に啓蒙・愛護・自己責任とは何かが紙に書いた餅でなく現実に即した不妊去勢手術の実施は有意義な教育の現場となりえます。
⑧ 貴センターと同様な役割を担う海外のシェルターは単なる殺処分、啓蒙・教育・里親会だけでなく運営の意義、愛護の観点から必ず野良猫等の不妊去勢手術の施設が併設・運営されております。
最後に
現在、獣医師会においては、飼い犬・猫等の不妊去勢手術は助成金を使いながらご協力をいただいています。一方野良猫は一般クリニックの患畜の手前、ノミ感染など好ましい対象ではないと敬遠されることが多いです。
野良猫の不妊去勢手術事業の公益性からもまた助成金は費用対効果が高い ことから考えても、センターで野良ネコに対する不妊去勢手術は無料で実施する事が妥当と考えられます。
よってセンター内で民間を圧迫しないのを前提に野良猫の不妊去勢手術事業の実施を要望いたします。
令和4年11月1日
一般財団法人ネコイコネ
代表 橋本磨季
アニマルエンシア
代表 白石直子
下関市長への要望書【PDF:141KB】