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缶蹴りってやりました?

いまの子たち、缶蹴りってやらないだろうなぁ。
やる場所がない。やったらやったで「周りに迷惑」だの「危ない」だの言われるんだろうなぁ。いつからでしょうね、缶蹴りができなくなったのは。

ドロケイ(ケイドロっていう地域もありますね)とか、ポコペン(正式名称はなんでしょう)とか、鬼ごっこ系の遊びの中で最もスリリングだったのが缶蹴り。鬼は真ん中に立てた空き缶を守りつつ、隠れているみんなを探す。見つけたら「〇〇みっけ!」って言いながら缶の上を踏む。全員見つけるまで続ける。スリリング!

近くで缶を見張るように探すと「もっと遠くいけよー!」ってどこからか文句が出てくるし、行ったら行ったでやられるし。スリリング!

そう、やられるんです。
どこかで隠れていた奴が、ぎゅいーん!と走ってきて、缶を盛大に蹴り上げるんです。蹴られたらそれまでに見つけた子たちにも逃げられて、鬼はその缶をまた設置して「1・2・3・・・」って数えてやりなおし。スリリング!

小学生のころ、家の前の空き地が私たちの恰好の遊び場となっていました。その空き地は垣根の向こう側(グルっと回らないとおうちに入れない)の〈田中さん〉の土地です。私も小さいときからよくお世話になっていました。その〈田中さん〉の空き地で缶蹴りです。

学校帰りだったので、みんなランドセルをその辺にほっぽって、缶蹴り。私、そのときはいい場所に隠れて鬼の様子を見ていました。見て・・・見て・・・チャンス!鬼が反対に行った!猛ダッシュ。ぎゅいーん!当時サッカー少年だったので、走るとの蹴るのは得意。

見事!缶を蹴り上げました。よっしゃー!

その缶が、きれいな弧を描いて飛んでいきます。垣根を挟んだ反対側の〈田中さん〉のおうちへ。その窓へ。それはそれはきれいに飛んでいきます。

ガッシャ―ン

窓が割れる。一瞬の静寂。誰かの声。
「逃げろ!」
蜘蛛の子を散らすように、散り散りになって逃げる小学生。散ることによって〈田中さん〉をかく乱する目的。相談もなしに見事な連携。逃げる。隠れる。もう、まさに本物の鬼ごっこの様相です。そして、缶を蹴り上げたときに隠れた絶好の場所から、そーっと覗きました。鬼の様子を。

〈田中さん〉は全員のランドセルをもって仁王立ち。

さすが大人。無駄に追いかけることもせず、さしたる労力も使わず、全員の首根っこをこうも簡単につかむとは。子どもの無力さを知った瞬間です。私たち、合図もなしにすごすごと〈田中さん〉を中心として集合。散々怒られました。

たぶん弁償は私の母がしてくれたのでしょう。それでも、その後も前と変わらずお付き合いは続いたので、当時の緩やかさや〈田中さん〉の人柄が際立ちます。あぁ、怖かった。あぁ、楽しかった!

いまの子たち、缶蹴りってやらないだろうなぁ。


音瑚ひらり





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