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〔インスタントフィクション〕理想の彼女

「ずっと一緒にいたい」
彼女はそう言った。僕は舞い上がったが、それぞれ仕事があるから、物理的にずっと一緒は無理だ。だからせめて、帰宅後と休日は一緒にいた。どちらかが遅くなっても夕食は一緒に取ったし、睡眠時間を削って彼女の話を聞いたりもした。

「息が詰まりそう」
彼女は言った。仕事を辞めてから、僕以外の誰とも会話をしない日がある、と。彼女は淋しいのだと気付き、僕は仕事中の僅かな隙を見付けては電話やLINEをした。今どこ?何してる?誰といる?彼女の沈んだ声が気がかりだった。

「もう無理。ごめんなさい」
彼女は何も言わず、手紙を残して消えた。僕があげた服や靴、アクセサリーに香水にスマホ、お揃いのカップも全部残して、彼女自身が買った僅かな物たちだけを持って。
僕はどこで間違えたのだろう。彼女が全然笑わなくなったことに、とっくに気付いていたのに。

僕は独り、「理想の彼女」が残した抜け殻に囲まれている。


調子に乗って、2作目です(^-^;)
肩はバキバキ、目はシバシバ、頭はグォングォンですが、とにかく何とか仕上げました!出来はさておき、調子に乗ってから乗りきった自分に拍手👏!
ここ数年で、1番頭を使った気がする…って、普段ボーッとしすぎですね。今は、ハシビロコウか、ド忘れしたコダックになりたいです。

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