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〔雑記帳〕怖いかも知れない話2

「家鳴り」というものをご存じだろうか。古い木造家屋ならよくあることだが、湿度や温度の変化によって、家のあちこちが「ピシッ」「パン!」などと鳴るのだ。「しゃばけ」という小説の中なら可愛い妖怪たちなのだが、私は見たことが無いので、多分うちにはいない。

うちの場合、玄関脇の階段がよく鳴る。古い家なので、誰かが歩けばもれなく鳴るのだが、誰も歩かなくても鳴る。その階段を上がった部屋を寝室にしているが、階段が鳴るくらいで不眠にはならないから、特に実害はない。

子どもが大学生の頃、季節は忘れたが休みに入って数日帰省した。おしゃべり好きな私に付き合って、1階の居間で夜中までベラベラと喋っていると、「パン!」と階段が鳴った。2人とも慣れっこなので、気にせずしゃべり続けていると、「それでね、買い物に行ったらね」「パン!」「〇〇さんに久し振りに会って」「ピシッ」「ああ、久し振りやなあ。で、」「パン」「ピシッ」…流石に気が付いた。
「…何か、今日の家鳴りひどくない?」
「うん、さっきからそう思ってた」「パーン!」「…自分、帰ってからお仏壇拝んだ?」「あ、忘れとった!」「ミシッ」「うわあ、ご免なさい!」

慌ててお仏壇に手を合わせ、「ただいま~。挨拶遅れてご免なさい…」「ピシッ」…「ま、まあ挨拶もしたし、良いんじゃない?」「パン」…

その後もしばらく鳴っていたが、気にせず喋っているうちに静かになった。夜中で気温が下がったせいだとは思っているが、普段はそこまで鳴ることはないから、不思議ではある。その後、子どもは帰省するとまずお仏壇に手を合わせるようになった。まあ、これはこれで良いのではと思っている。

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