OECDがポストコロナ時代の緊縮財政に対して警告──過去の危機を教訓に

著:モーテン・バトラー
2021年1月23日 14:00 JST

▶ OECDのクヌードセン副事務次長がインタビューに応じた
▶ ゼロ金利環境で予算削減の必要性がなくなる

 OECDの高官によると、世界金融危機後の政治的緊張の再発を防ぐためには、各国政府は緊縮財政への早期復帰を避けるべきだという。
 経済協力開発機構(OECD)の事務局次長であり、パリに拠点を置く同機構のトップ候補でもあるウルリック・ヴェスターガード・クヌードセン氏は、過去の危機から明らかになった、国家による支援プログラムの早期終了が、所得格差や分断を煽り、グローバリゼーションに対するポピュリストの反発に拍車をかけていたことを学ぶことが重要であると述べている。

「緊縮財政は今取るべき手段ではない。前回の危機から得た苦い教訓と、現在のゼロ金利環境からそれは明らかだ」
 デンマークのエコノミストは電話インタビューで語った。

 先月のOECDからの警告を反映した彼のコメントは、近代史上最大の経済収縮を引き起こした世界的なパンデミックからの回復を形作る上で、財政政策が果たすべき役割について、現在進行中の議論を浮き彫りにしている。

 欧州のムードは、ドイツのアンゲラ・メルケル首相が予算削減を推し進め、ユーロ圏の完全性を維持するために債務水準を削減するよう、欧州各国政府に圧力をかけていた10年前とは変わったように見える。

 欧州連合(EU)は先週、パンデミックの影響で発生した影響に対抗するために7500億ユーロ(911億ドル)相当の復興パッケージを承認し、企業が数十億ユーロのコロナ関連の国家補助金を請求する期限を年末まで延長することを提案した。
 巨額の公的債務が発生しているにもかかわらず、クヌードセン氏の出身地であるデンマークでは、社会民主党政権はすでに緊縮財政を景気回復のための手段として排除しており、それを "古風な考え方 "と呼んでいる。

■グローバリゼーションへの回帰

 緊縮財政は、近年の西側での孤立主義的政策の台頭のせいであり、ドナルド・トランプが米国大統領に選出されたことはその代表的な例であると批難されている。

 クヌードセン氏(51歳)は、「国際貿易を拒否する」ことをやめて、その恩恵をより良い形で分配することを目指すべき時が来ていると語る。「だが、それは自動的に起こるわけではない」

 彼はまた、富裕層が中央銀行からの自由な資金をより有効に活用出来るようになった結果、所得格差拡大の証拠が増大してる中、北欧地域の政策に関心が集まっていると指摘している。

「北欧の福祉モデルは、団結と包摂という点で、確かに多くのメリットがある」とクヌードセン氏は語る。

 また、例えば市場経済を支援することで、「共に解決策を開発し」、地球温暖化を抑制するための政策を推進する上で、重要な役割をOECDは果たすことができると、彼は考えている。

(ソース:Crisis Lessons Trigger Post-Covid Austerity Warning From OECD)

 なかなかいい記事なのに、日本語版ブルームバーグでは翻訳記事が出てこないので、久々に重い腰を上げて訳してみました。拙い点、誤訳はご容赦の程を。
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