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共和党員のための共和主義

ブリンク・リンゼイ

────────2019年冬────────

 このエッセイは、保守派や共和党員の中でも、運動や党への忠誠が大きく揺らいでいたり、あるいは断絶してしまった、学習者から硬派にいたるまでの人々に向けて書かれたものである。あなたはドナルド・トランプの台頭に目を奪われたのかもしれないし、何年も前から予感していたのかもしれない。いずれにせよ、この時点であなたは明らかに孤立している。かつては自分の政治的なホームであり、少なくとも定期的に訪れる馴染みのあった場所が、あなたが嫌悪感を抱く人々や考え方で溢れかえっている。そして、あなたが最初に惹かれたもの──すなわち、『アイデアの党』としての知的な真剣さ、楽観主義と理想主義、現実における政策達成の記録と巧みな政治的手腕など──は、もはや、あまり重要ではないように思われる。

 私も十数年前に離反者の仲間入りをしたので、あなたの気持ちはよく解る。しかし、あまりにも事態が悪化しているため、単に嫌悪感を抱いて手を挙げているだけでは済まなくなってきている。トランプとその仲間達が生み出した情景は、民主党や左派のような外部からの挑戦によるものだけではない。まともで責任感のある中道右派の名の下に、内部でも抵抗する必要があるのだ。

 我々はトランプ氏が表舞台から去るのを待ったり、民主党が大勝するのを待つなどして、あとは物事がどうにかして正常化することを期待しているだけではいけない。我々はトランプ大統領の誕生が単なる事故ではなく、長年にわたって保守運動や共和党を腐敗させてきた結果であるという事実を、直視しなければならない。この腐敗を根絶し、この国を最も暗い衝動に引きずり込むのではなく、最も崇高な願望へと引き上げることのできる新しい中道右派を構築するためには、我々は知的基盤に立ち返り、そこから新たに構築しなければならない。

 危機に瀕しているのは、単に偉大な政党を取り戻すことでも、重要な構成員や価値観を効果的に表現することではない。今や社会を引き裂き、政治制度を深刻かつ究極的には持続不可能にさらしている、二極化と党派制の激化に歯止めをかけ、逆転させるためには、右派の再構築が必要なのである。言い換えるならば、アメリカにおける共和制自治の継続的な安定性と完全性が、危機に瀕しているのである。

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