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ソーシャルメディアはナルシストの最悪の欲望を煽り、理性的な議論を不可能にする

ソニア・ソダ

2021年11月7日(日)08:45(グリニッジ標準時)

──オンラインでの勝利は、心をつかむというよりも、他人を罵倒することであることが多い

 もしボタンを押すことによって、世界からソーシャルメディア・プラットフォームを消し去ることができるとしたら、あなたはどうするだろう?Facebook社の内部告発者であるフランシス・ハウゲン氏による先月の証言を聞けば、時計の針を戻すのは当然のことだと感じるかもしれない。ハウゲン氏はFacebook社が利益のために、有害であると解っているポリシー、つまりは誤報や怒り、あるいはヘイトを全面的に表示するアルゴリズムを追求したことを、米国と英国のイギリスの議員に明かしている。

 我々の多くは、ソーシャルメディアの恩恵を受けているにもかかわらず、その有害な影響を受けていると感じている。反対意見を持つ人々から激しい罵声を浴びせかけられると、自分の立場に固執してしまうというのは自然な傾向だ。自分の信念に挑戦するのではなく、それを補強するようなコンテンツを読んだり、『いいね!』を押したりすることに魅力を感じるのもまた然り。休暇中の写真をシェアする動機の多くは、自分の生活を誇示しているというのもよく知られた話だ。しかし、ソーシャルメデイアの害について、その利用者が一様であるかのように語るのは有益とは言えないだろう。誰もが同じように影響を受けやすいわけではなく、自尊心の低さや不安感、心配性などといった心理的特性が、ソーシャルメディアの暗部、例えば極右思想やイスラム過激派、暴力的な女性差別などのイデオロギーへの過激化、自傷行為の社会的伝染、現代の反ワクチン感情を支える陰謀論などへと入り込みやすい人々を生み出しているという研究結果も出ている。

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