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ラジオはお好きですか?ーピストン西沢と宇多丸ー

昔は仕事で1人、車に乗っていることが多かった。

夜の道を1人で走っているのは、どこか寂しい。

そんな時によく聞いていたのは、ラジオだった。

初めのうちは、好きな音楽を聞いていたのだが、だんだん飽きてきてしまう。けれど、ラジオは違う。

ラジオは、ずっと聞いていても飽きることがない。夕方の時間まではJ-WAVEをよく聞いていた。

オシャレな感じあふれるパーソナリティとオシャレソングを聞いていると気分がよくなってくる。

J-WAVEのパーソナリティは、なぜか皆、日本語に織り交ぜて流暢な英語を喋る。それが、なぜか気持ちいいのだ。

特にピストン西沢のGROOVE LINE(グルーヴ・ライン)が好きだった。秀島史香との軽妙な掛け合いが面白く、毎日変わるピストン西沢のDJは神がかっていた。

夜はTBSラジオが間違いない。特に、ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフルは必ず聞いていた。今でも、名前を変えて番組は続いているが、私が聞いていた初期は、宇多丸の毎週の映画評が時にかなり辛辣なことを言っていてワクワクした(今は結構抑え目にしているようだ)。

TBSラジオが出資しているという理由から、木村拓哉主演の「スペースバトルシップヤマト」を暗号放送で批評したのは、もはや伝説だろう。批評に入る30分前から、古代進→碇シンジなどの暗号説明を始めた時は、もはや、初めてこの番組を聴いた人には、ただの放送事故でしかなかっただろう。

ラジオには、このようなパーソナリティとリスナーの共犯関係で成り立っているような番組が少なくなかった。

ラジオは、テレビよりも、出演者(パーソナリティ)がリスナーに近い。ネタを募集し、リスナーからメールやハガキをもらい、それをそのまま読むのだから、あたかも、パーソナリティが自分の近くにいるように錯覚してしまう。

映像があるテレビではこれはできない。なぜなら、それをすれば、見た目が地味になるからだ。しかし、ラジオには、もともと映像がない。だから、パーソナリティはファンであるリスナーに向き合うことができ、リスナーもパーソナリティを純粋に応援することができる。

お笑い芸人が、結婚の報告するとき、最もはやく自分のラジオ番組で報告したがるのは、そのような理由があるのだろう。

制約があるからこそ、ラジオには自由がある。いま時代はテレビからYouTubeの時代に移り変わってきているが、多くのユーチューバーたちは、視聴者のことをリスナーと呼んでいる。

リアルタイムで直接コメントを送れる視聴者は、ユーチューバーにとって、やはり大切なファンなのだ。そこには、テレビ的な遠さではなく、ラジオ的な近さがある。だから、彼らは、視聴者をリスナーと呼ぶのだろう。

とりとめもなく書いてしまった。

最近は、車に乗ることもなく、ラジオを聞く機会は減っている。

けれど、やはりラジオのあの空気が、私はなぜか好きなのだ。