クトゥルフ神話TRPGシナリオ『ザ・デッド・フロム・ジ・アウタースペース』
■ はじめに
このシナリオは『クトゥルフ神話RPG』6版向けに作成されたシナリオです。これを7版向けに改変したり、KPが進行しやすく改変して遊ぶことに特に制限はありません。感想をいただけると喜びます。
■ シナリオ概要
ある年の夏のこと、ペルセウス座流星群の夜にひときわ大きな流星が夜空に輝きます。
その数日後、とある大企業のバイオ研究施設で警報が鳴り響きます。
探索者たちはそこにそれぞれの理由で駆けつけます。
戦闘あり。
推奨技能は戦闘技能です。
少なくとも探索者の一人が、研究所員の友人である必要があります。
その他の探索者は通報を受けた警官、企業関係者やその知人といった立場が望ましいでしょう。
■ 事件の真相
探索者たちが訪れた研究所で鳴り響いた警報、この原因は研究所のL3区画で調査中のグラーキの落とし子が覚醒し、暴れたことです。
数日前、地球へと落下した流星のひとつにグラーキの落とし子が乗っていました。
恐るべき神話生物を乗せたこの流星は研究所近くに落下し、グラーキの落とし子は激突のショックによる一時的な休眠状態となったまま調査チームに発見されます。
こうしてグラーキの落とし子は研究所に運び込まれましたが、今夜の流星群の到来により星辰の眠りから目覚め、この惑星での新たな住処としもべを生み出すため研究所内で暴れまわったのです。
探索者が訪れるころにはすでに施設内はグラーキの従者である歩く死体が無数に蠢いています。(このグラーキの落とし子はグラーキ本体ほどの力は有しておらず、その従者も劣化版に過ぎません)
探索者たちは閉鎖された研究所を支配する外宇宙からの脅威を排除し、ここから脱出しなければなりません。
■ シナリオについて
【シナリオの目的】
・怪我をして動けないと連絡してきた友人を見つける。
・歩く死体の原因を究明し、その源であるグラーキの落とし子を倒す。
【研究所について】
とある大企業が有する私有地の一角にある生命科学研究施設。
この土地に、戦前陸軍の軍事研究所があったせいか「違法な研究がされてい」「人体実験で死んだ犠牲者の霊が出る」などの噂話、都市伝説が絶えない。
地上二階、地下四階の合計6階層の構造となっており、各階はバイオハザードレベルに対応したカードキーで管理されている。
グラーキの落とし子は最下層であるレベル4の汚染水処理施設に潜んでいる。
なお、研究所のある私有地は(重要区画以外は)公園として市民に開放されているため、出入りそのものは難しくない。
■ KPの手引き
【研究所内の探索】
このシナリオはひとつの階層を1つの区画(部屋)としておおまかにシーンを進めていく想定で描かれている。望むなら部屋を増やしたり、詳細なマップを作って探索させても構わない。
【NPC】
飯田 誠治(イイダセイジ)
探索者の友人。生命科学研究所に勤めており、SOSの電話をよこす。 なんかもっともらしいことを言って死ぬ枠のため、基本的に助からない。
朽木 瞑(クチキメイ)
グラーキの落とし子の『夢引き』に呼ばれてやってきた多感な高校生。心霊体験は多いが本人は特に気にしていない。睡眠障害持ちらしく、いつも眠そうにしている。特技は鍵開け(ぼーっとしていてよく家の鍵をなくすから)。プロダクトデザインを学んでおり、将来は美大か工科大に進みたいと思っている。機械いじりも得意。
※瞑の性別やデータはKPが自由に設定してください。
研究所にいるはずない場違いな学生は探索者に不審を抱かせることだろう。眠りが深すぎて夢の内容は覚えていないが、何かきっかけがあれば思い出すかもしれない(グラーキの従者に遭遇するたび<INT×1>のロールを行い、成功すれば思い出せることにしてもよい)。
【オプション:特殊ルール】
「セッションの短時間化」「PLの自発的行動の促進」のために、下記の定時イベントを導入してもよい。
<グラーキの落とし子による「夢引き」>
探索者たちは知る由もないが、グラーキの落とし子が最下層から研究所全体にテレパシーを送っており、呼び寄せようとしている。
・このチェックはゲーム内1時間毎に発生する。
・このチェックに失敗したものは一瞬のうちに(約1ラウンド)白昼夢を見る。
夢の内容について、このシナリオでは、夢の中で大いなる存在に呼ばれ『じっとしていられず地下階に降りたくなる』といったものになる。
これにより、脱出しようという意識が薄れたり、危険な状況でも地下へと走り出してしまうかもしれない。
■ 導入
ある年の夏のこと、ペルセウス座流星群の大出現というニュースで世間は沸いています。
探索者たちもきっと夏の夜空のスペクタクルを眺めることでしょう。
このとき、<目星>または<アイデア>に成功した探索者は、緑色に輝くひときわ大きな流星が
夜空を横切るのを目撃します。
その数日後の夜、探索者のもとに友人から電話があります。
「助けて、くれ・・・研究所が大変なことになってる・・・俺も、刺されて・・・動けない・・・・・・」
「・・・・・やつらに、気をつけろ――」
相手の電波の状態はかなり悪く、会話する間もなく電話は切れてしまいます。
この電話を受けた後、探索者が警察に通報すれば、2名の警察官が同行してくれることになります。
(他の探索者の職業が警察官ならば減らして構いません)
探索者が友人の危機を熱心に説得するなら、それに加えて救急隊員も手配してくれるかもしれません。
ただし、応援にやってくるキャラクターがPCではない場合--基本的にこれらのNPCはデータをもたないモブとして扱われ、戦闘に入る際の事前描写で死亡します。
■ 深夜の訪問
探索者たちは深夜、生命科学研究所に訪れることになります。
施設のあるキャンバスは人っ子一人おらず、生ぬるい風が木々の葉を揺らすざわめきだけが聞こえてきます。
<目星>か<アイデア>ロールに成功すれば、研究所のすべての窓にシャッターが下りておりており、建物からは内部の灯りが一切漏れてこないことに気づきます。
施設を訪れると、顔色の悪い警備員が応対してくれます。
彼はここの専属警備員で「おかしなことは何もない。中に入って調べてくれてもいい」と無表情に告げます。
連絡してきた友人のことを告げれば
「重要な研究で連日ここに詰めているので疲れているのでしょう。いま内線でお呼びします」
といい、応接室に案内され待つように告げられます。
このとき、警備員に対して<心理学>を成功させた場合、一切、なんの感情も持っていないことが分かります。
お茶も出ず1時間ほど待たされている間、何も行動を取らなければ「手が空かないようなので研究室へ行きましょう」となぜか貨物用エレベーターへ案内されます。
また、待っている間、部屋を出ようとすれば電子ロックが掛けられていることに気づきます。
<鍵開け>に<電子工学>や<機械修理><コンピューター>などを組み合わせれば解除可能です。
■ 襲撃
部屋から出た直後、警備員と別の警備員が襲い掛かってきます。
もう一人の警備員は眼球を垂らし粘ついた血まみれの顔をしており、頭も半分以上欠けたように陥没して、リノリウムの床にぽたぽたと脳髄をまき散らしています。
この無残な歩く死体を見た際の正気度チェックは1/1D8です。
襲撃者たちを倒せば『警備システムログイン用トークン』と『カードキー(L1)』が手に入るでしょう。
ただし、たとえ警備員を捕らえたとしても無表情のまま以下のせりふを繰り返すだけです。
「なぜお前は仲間にならない。宇宙の真理が見える。すばらしい体験だ。死は意味がない。宇宙は無限だ。生命は永遠だ」
彼らの体を調べれば、胸中央の青黒い円状の痣を中心に真っ赤な血管が放射状に浮き出て脈打っているのがわかります。
脈を診れば彼らが明らかに死んでいることがわかるでしょう。
警備員たちの身体に埋め込まれた、おそるべき死者蘇生の仕組みを発見してしまった探索者は、0/1D3の正気度チェックを行います。
また、<医学>に成功すればこの痣様の内部では心臓に代わるなんらかの循環器が機能していることに気づきます。
■ 地上1階:エントランス階
【警備室】
警備室の記録を調べれば、研究物資のほかに数日前に調査物資と記されたコンテナが運び込まれたことがわかります。
警備室には警備システム端末があります。
このシステムのハッキングを行った場合、一般職員用エレベーターとメンテ用エレベーターのロック解除が可能です。
ただしかなり高度なセキュリティシステムのため <コンピューター>技能の1/5ロールに成功するか、警備員たちの持っている『警備システムログイン用トークン』を端末に差し込む必要があります
警備室のPCから行えるのは警備システム解除のみです。研究所のその他の情報は独立したシステムになっているので得られません。
【一般職員用エレベーター】
メンテナンス用のエレベーターは緊急ロックされており、使用するには警備システムを解除する必要があります。(無理やりこじ開けた場合、一階分くらいなら降りられることにしてもよいでしょう)
『B1』『1F』『2F』のボタン下にタッチパネルがあり、ここにカードキーをタッチすることでボタンが押せるようになります。
【メンテ用エレベーター】
メンテナンス用のエレベーターは緊急ロックされており、使用するには警備システムを解除する必要があります。
『B1』と『B4』というボタンがありますが、現時点のカードキーL1では『B1』しか押せません。
【貨物室】
貨物用エレベーターとさまざまな研究物資が山積みになっています。
この中に食糧や薬品、応急治療セットのような雑貨はきっとあるでしょう。
探索者たちが探したいものがあるときは、<幸運>か<目星>ロールで探させてください。
幅5mくらいの大きな燃料タンクが設置してあります。
太いパイプが壁のなかに消えており、非常用発電装置に直結しているようです。
【食堂】
かつては整然としていたであろう社員食堂は激しく争った形跡があり、テーブルやいすがあちこちに散乱しています。
ここでは警備員の死体を発見します。この死体を調べると自ら握った包丁で目を貫いて死んでるのがわかります。
■ 地上2階:オフィス階
階段か一般職員用エレベーターで往くことが出来ます。ここには職員のオフィスのほかに、研究所の理事長室があります。
【オフィス】
特に何も見つかりません。
【理事長室】
書類などを漁れば、ここの理事長は文科省からの天下りということがわかります。 (ロールは必要ありません)
本編には関わりのない話ですが、書類を見て<経理>か<知識>1/5に成功すれば、理事長が公費を私的流用していることもわかります。
また、部屋は趣味の悪いごてごてとした置物や装飾品がそこかしこに飾ってあります。ひときわ目を引くのがハンティングトロフィーでしょう。立派な角を持った鹿の頭が壁に飾られ、うつろなガラスの眼で探索者たちを見つめています。その下には、銃をかつぎ巨大な鹿の死体の傍らでピースサインする理事長の写真が飾ってあります
ちょっと部屋を探せば、日本刀が二振り飾られているのがすぐ見つけられます。あきらかに真剣で、かなりの業物のようです。
また、<目星>に成功すればガンロッカーが発見できます。もしくはPLがはっきりと銃やガンロッカーを探すと宣言したならば<目星>×3で発見できます。南京錠で厳重に鍵がかけられていますが<鍵開け>1/2に成功すれば開けられます。中には狩猟用のライフルとショットガンが一丁ずつと未使用の弾丸ケースがひとつずつしまってあります。
奥に入ると殆ど高級ホテル並みの設備が揃っており、なぜかベッドまであります。
このベッドではNPC「朽木 瞑」が幸せそうに眠りこけています。彼女は起こせば普通に会話可能です。
「夢で呼ばれてやってきたけど、眠くなってまた寝ちゃったんだ」などと呑気に言います。
探索者たちは瞑に事情を質問するでしょうが、2~3答えるとまたうとうとと舟をこぎだします。
未成年者を放置するという行動を取る探索者もいないでしょうが、いた場合は同行していた警官に咎められ、結局連れて行くことになります。
それでもPLが同行させなかった場合、警官は瞑を守るべく探索者たちと別れてこの部屋に残るか、送り届けるために出ていこうとすることになります。(いずれにせよその試みは失敗し、後ほど再会することになります)
■地下1階:L1研究区画
エレベーターを降りると、グラーキの従者の失敗作であるゾンビが一体襲ってきます。
数名の研究員のなれの果てたちがぶらぶら巡回したり、部屋の天井を眺めたりして過ごしたりしています。(当然彼らはグラーキの従者です)
彼らは銃声が聞こえれば、すぐにやってきます。
この階はとにかく戦闘フロアです。
戦闘後、部屋を調べまわれば、研究手記が見つかります。
また、レベル2のIDカードも見つかります。これは『カードキーL2』として扱います。
また、研究資材の倉庫があり、ここでも探索者の望む一部のアイテムが見つかる可能性があります。
(〈幸運〉や〈目星〉の成功で見つかることにしてよいでしょう)
【ロックされた隔離扉】
フロアの最奥部分にロックされた隔離扉があります。これは『カードキーL2』で開けることが出来ます。
奥には真っ白な汚染防護服がいくつも並んだハンガーと除染シャワー、さらに奥には地下2階への階段があります。
■地下2階:L2研究区画
このフロアには歩行する蔓状の歩行肉食植物「トリフィド」が繁殖しています。
これはもともとこの研究所で遺伝子操作により作られたおとなしい人工植物でしたが、グラーキーの落とし子の神話的影響により狂暴化し、豊富な栄養源(元研究員たちです)により異常繁殖したものです。
彼らもトゲを持っていますので、そのことを伝えれば探索者たちは勘違いし恐れるでしょう。
きちんと観察した場合、<目星>または<アイデア>に成功すれば、トリフィドのトゲは警備員の胸にあった刺し傷とは異なる形状だとわかります。
彼らは植物なので火に非常に弱いです。
燃料をばら撒いて火を投げつければ、10分もたたないうちに燃え尽きるでしょう。
また、彼らは好物である腐肉を好むため、グラーキの従者やゾンビがいればそちらを優先的に攻撃します。
【トリフィド研究室】
探索者の友人はここに逃げ込んでいます。
さしものグラーキの従者たちもこの肉食植物を恐れ、近寄ることができないのです。
友人との再会
苦しそうな表情で壁にもたれかかっています。
ぴくりとも動かず、まるで死体のように見えます。
傍らには血まみれの巨大な針が転がっています。
賢明な探索者であれば、友人の胸を見ることでしょう。
脈打つ謎の循環器官は存在しておらず、代わりに彼のぽっかりと大きな穴が開いています。
形容できない色合いの粘液性の液体がそこからわずかずつ染み出して、彼の白衣を酷く汚しています。
探索者たちが近づくと彼は目を覚まし、顔をあげます。
彼の顔の左半分は緑色に壊死して崩壊しています。
<医学>または<応急処置>に成功すれば、彼はすでに死亡しており、部も腐敗しはじめていることがわかります。
「巨大なトゲを背負ったセイウチのようなものに襲われた」
「そいつのトゲに皆刺されたんだ、俺も・・・」
「そしたら皆おかしくなって・・・・頼む、病院に連れて行ってくれ・・・」
このセリフからわかるように、飯田は自分が死んでいることに気づいていないのです。
死亡していることを彼に教えるなら、顔を一瞬こわばらせてから諦めの表情になり
「そうか・・・人類の叡智を掲げて、生命をもてあそんで、神の御業を盗もうとした罰かな・・・たのむ、苦しいんだ、痛くてたまらない・・・俺を、眠らせてくれ・・・・」
といって瞳を閉じます。
彼に慈悲を与えるかどうかは、友人である探索者次第です。
なお、飯田はLV3のIDカードを所持しています。これは『カードキーL3』として扱います。
このシーンが終わると、いつの間にかメイの姿が消えていることに気づきます。
ドアを開けて廊下に出れば、一人のグラーキの使者に支えられ、メイがふらふらとL3-4間移動専用のエレベーターに乗り込むところを目撃します。
戻ってきたエレベーターに乗り込むと、メンテナンス用の扉が開けっぱなしになっており、地下4階に降りられるようになっています。
■地下3階:L3研究区画
隕石が研究されていたフロアです。
もとは立派な施設だったと思われますが、分厚い非常用隔壁すらねじ曲げられ、全てのものが滅茶苦茶に破壊しつくされています。
<目星>1/2か<追跡>に成功すると、巨大な何者かが行き場所を求めて這いずり回った跡のように見えます。
<生物学>に成功すれば、あちこちに残る肉片と粘液から巨大な蛞蝓がはい回ったような痕跡に見えるはずです。
その先には床に直径5mほどの巨大な穴が開いています。
肉片や粘液がついていたることで、巨大な軟質状の生物がここを通ったことがわかります。
いずれにせよ、巨大ななにかが暴れまわったことに気づいた探索者は、1/1d6の正気度判定を行ってください。
数体のぼろぼろの死体が横たわっていますが、調べれば一体からメンテナンス用IDカード(『カードキーL4』)が出てきます。
地下3階への出入り口はすべて破壊されており、穴を降りるしかありません。
■地下4階:メンテナンス区画
この階には非常用発電装置と、汚水処理施設があります。
また、メンテナンス用エレベーターがありますが、動かすにはメンテナンス用IDカードが必要です。
もしくは地下三階の穴から降りることを試みてもよいでしょう。
その場合、<登攀>か<跳躍>が必要です。ロープを探してくれば比較的安全に降りられます。
■クライマックス
汚水処理施設では、グラーキの従者となった研究員たちがグラーキの落とし子を守っています。
探索者たちの人数、強さによって研究員の数は調整して下さい。(探索者の人数×1~1.5倍程度か、探索者の人数-1程度が妥当でしょう)
巨大なトゲの生えた口のある肉塊を取り囲むように、元研究員たちは聞きなれない言葉で祈りをささげています。
グラーキの落とし子の放つ鼓動のような重低音の唸り声によって部屋の空気が重みを帯びてドクン、ドクンと圧迫され、ざわめいています。
探索者たちが辿りついたとき、メイがグラーキの落とし子に捧げられそうになっている直前です。
従者たちは、探索者を見ると、自らの身体に刺さっているグラーキのトゲを痛々しく引き抜き、武器として襲い掛かってきます。
従者たちがすべて倒されるまで、グラーキの落とし子は巨大な口からよだれを垂らし、目の前に捧げられた生贄にくぎ付けになっています。
従者たちがすべて倒された場合、怒ったグラーキの落とし子は探索者を攻撃することを優先します。
クライマックスではタイムリミットを設定してもよいでしょう。
リミットを過ぎた場合、メイの心臓はグラーキの落とし子のトゲに貫かれ、新たな従者となって探索者たちに襲い掛かってきます。
■ 結末
(1)逃亡
探索中のどのタイミングにせよ、施設から逃げ出した場合のエンディングになります。その後グラーキの落とし子がどうなるかは神のみぞ知るですが、気分のいいことにはならないでしょう。
数日後、文科大臣が視察に訪れ、「大変すばらしい研究がされている」と施設の拡張が即日認可されたというニュースが流れます。
テレビに映った大臣のクールビズのシャツの下から、赤いみみずばれのようなものがちらりと見えた気がしますが・・・きっと気のせいにきまっていますよね・・・?
(2)対決
グラーキの落とし子はグラーキ本体を模してはいますが、さほど強大な存在ではありません。劇薬や銃といった十分な武器があれば倒せるはずです。また、施設にあるガソリンや汚染水処理装置を利用しても倒せるかもしれません。落とし子を倒した場合、以下の文を読み上げるか、いいかえます。
探索者たちが落とし子を倒したのち、非常口を破って警官とレスキュー隊員が突入してきます。
武装した探索者たちは一時拘留されるでしょうがすぐに疑いが晴れ、釈放となります。(当然、「研究所で見たことは口外しない」と約束させらた上です)
最後に、警察署から出てきて体を伸ばす探索者たちに今回の事件についてRPで会話してもらったあと、KPは<目星>または<アイデア>を行わせて下さい。
成功した場合、以下を読み上げます。
ふと一瞬、日差しが陰ったような気がして、あなたは空を見上げます。
明るいサマーブルーの空には雲一つなく、まぶしい太陽が輝いています。
しばらく目を凝らすと・・・空をなにかが横切ります。
それはあの緑色に輝く流星に似ている気もしましたが・・・きっと気のせいにきまっていますよね?
■ データセクション
◆ トリフィド、歩行植物
データはマレウス・モンストロルムに掲載されていますが、持っていなければミ=ゴから飛行能力をカットするなど適切なデータ改変を行ってください。
◆グラーキの落とし子、上級の奉仕種族
この奉仕種族は主人であるグラーキそっくりの姿をしています。
まばらに生えた金属製のトゲと、サメのように細かな牙が幾重にも生えそろった大きな口、触角のように突き出した目玉、吐き気を催すような粘液質の肉を覆う楕円の甲殻類のような外皮はまさにグラーキのミニチュア版といった様相を呈しています。
しかしミニチュアとはいえ体長はトゲを含めれば10mを超えており人類が恐怖を感じるには十分すぎるでしょう。
この棘持つ模倣者はクトゥルフとその落とし子の関係のようにグラーキという一種族の幼生なのかもしれませんし、もしかしたら、他の星の生命体がグラーキの従者となった末におぞましい適応と進化を得た結果なのかもしれません。
彼らは隕石に乗って移動し、主であるグラーキの元に辿り着こうと宇宙を旅をしているようです。
グラーキの落とし子は直射日光などの強力な紫外線に弱く、1ラウンドにつき1ポイントのダメージと同値のCONを永久に失います。
《ナイハーゴの葬送歌》で塵に返すことが出来る可能性は十分にあるでしょう。
グラーキの落とし子、棘持つ模倣者
能力値 ロール 平均値
STR 2D6+12 19
CON 5D6+12 29~30
SIZ 3D6*5 50~55
INT 3D6 10~11
POW 5D6 17~18
DEX 3D6 10~11
移動 8 耐久力 23~25
ダメージ・ボーナス:3d6~4d6
武器:トゲ 60%、ダメージ 3D3+3、射程10m 射撃扱い
押しつぶし 30%、ダメージ 2D6+db、タッチ (押しつぶしから逃れるにはSTRの抵抗ロールに成功する必要がある)
強酸 90% ダメージ 1D6+6 押しつぶし中
装甲:外皮 装甲6
トゲ 装甲4、耐久6
トゲは本数が決まっており、折れたり抜かれたりすると再生には数日かかる。
グラーキの落とし子は1d6+6のトゲを持つものとする
攻撃命中時、特に狙いをつけなかった場合は1d6を振り、1~3ならばトゲ、4~6ならば本体に命中したこととする。
(トゲがすべて折られた場合、このロールは必要なく全て本体に命中したとする)
貫通やクリティカルが起こった場合は、トゲと本体両方にダメージを与えられたことにしてよい。
呪文:《グラーキとの接触》《夢引き》のほか、KPが必要とする呪文すべて
正気度喪失:グラーキの落とし子の姿を見て失う正気度ポイントは1D6/1D20
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