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幻の命


私には、絶対に忘れてはいけないことがある。

それは4年前、妊娠超初期の早期流産で消えた幻の命があったこと。

当時はいろいろと頭が混乱していたこともあり、
自分で調べることが出来なかった。
また、調べることによってより傷つくことが怖かった。

たくさん自分を責めた。

そんな時、当時の職場の先輩が実は妊娠しており、無事安定期に入ったことを知らされた。

おめでとうと口では言えたが、
どうして私の子なのだろう。
と、思ってしまった。

そんな自分も嫌だった。

昨年、付き合っていた彼にはこのことを話した。

数日後、彼は自身で調べたといい、
「早期流産は母体のせいではない」と聞いた。

私は涙が止まらなかった。

妊娠超初期に起こる早期流産は「生化学妊娠(化学流産)」といい、ほとんどが赤ちゃんの染色体異常や遺伝子異常が原因で、受精卵がうまく育つことができず、流産につながるそうだ。

調べて上記のことが分かり、
少し心が軽くなったのは事実だが、
やはり、忘れてはならないことだと私は改めて思う。

家族には言っていない。
これからもいうことはないだろう。

紛れもなく、私に起きた出来事で、
私しかその子を心から思いやることはできないのだ。

その子がいたことを、私は忘れてはならないし、
忘れることはこれからもできないだろう。

この子がいた事実を胸に刻んで、これからも私は生きていく。


ありがとう。ごめんね。

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