中年のバイク教習 ポエム

本来であれば16歳で中免を取るつもりだった。憧れのバイク免許を。

私の家は東北の山の中にあり、進学した高校は地元の、いわゆるヤンキー学校であった。
地理的な問題や私の学力のためもあり、そこへ行くしかなかったのだが、そこの環境は酷いものだった。
絶対的な縦の関係で、先輩も言う事は絶対。ここには書けないほどの酷い話も沢山ある。私は如何にここを出ていくかを考えていた。
その中で、怖い怖い先輩の中で一人だけ、なぜか私を可愛がってくれる人がいた。理由はよくわからないが、いわゆるカーストのトップの一人だけがが私を優遇してくれていた。別にプライベートで付き合いがあったわけでもないのに。
その人がバイク事故で亡くなってしまった。彼が17歳の時。詳細は私は知らない。
それ以来私は自転車にも乗れなくなった。二輪車が怖い乗りものになった。

その後、20歳前後で東京に逃げてきたが、それから20年が経ち、今はバイクの教習所に通っている。

遅くはなったが、私は、憧れのバイクの免許を取る。

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