『モノノケ記』 - あらすじ

その昔、モノノケありけり。
それ、ヒトを喰らふ、ヒトならざるモノなり。
神仏祈りし民、恐れおののきモノノケに屈し、
私腹を肥やすモノノケつひに国を作りけり。
ヒト皆、赤子や女を生贄に献上し、自らの命を守りけりー。

蒸し暑い夏の日。
夏休みなのに住宅街には子供達の活気がない。
公園で遊ぶ2人っきりの子供たち。
「ワタシ鬼ごっこ疲れちゃった。だるまさんがころんだしよ?」
「じゃあボクがオニする!」

「だーるまさんがこーろん…」
「キャッ!」聞こえる悲鳴。
最後の一字を言うよりも速く、叫び声のする方を振り返った。

ビュン!
女の子の足が目の前を通り過ぎる。

それが、ぼくが彼女を見た最後だったー




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