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【100分de名著】『論語と算盤』(渋沢栄一) #1


こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。

4月のNHK「100分de名著」は渋沢栄一の『論語と算盤』です。

番組の第一回目は「高い志が行動原理を培う」というテーマで、渋沢栄一(1840-1931)の生涯を紹介していました。
今日は、特に気になったことをまとめます。

■渋沢栄一の半生

渋沢は17歳の時、武士に侮辱されたのをきっかけに、徳川幕府の仕組みに疑問を持ちました。ちょうど黒船(ペリー艦隊)が来航していた時期です。

後期水戸学の影響を受けていたこともあり、渋沢は尊王攘夷運動にのめり込み、やがて京都で一橋家の慶喜に仕官します。慶喜なら幕府を抑えて、日本を良くしてくれると考えたんですね。慶喜は最後の徳川将軍ですが、その時はまだ将軍になっていなかったのです。

やがて、慶喜の実弟・昭武のパリ万博視察に同行します。渋沢がヨーロッパの見聞を広めているこの2年間のうちに、大政奉還で徳川幕府が終わり、明治になってしまいました。

帰国した渋沢は大隈重信に誘われて、当時の大蔵省に勤務しますが、明治6年、33歳のときに、大蔵省を辞めて実業界に入ることにします。

その転機について番組では、「志」と「天命」という言葉で説明していました。

〇志は、自分の可能性に目を向けた行いをいいます。
 17歳の渋沢は、武士になって良い国を作りたいと考えます。偉くなりたいというのではなくて、政治に携わるには武士でなければならなかったためです。

〇天命は、志を立てた後、次に現実に揉まれ、自分の得手不得手が分かるようになってから、その中でできることを選び取ることを言います。
 33歳になった渋沢は、どうやら自分は政治家に向いていない、と気が付きます。そして、実業家としてとして日本に貢献することを決意しました。

天命は、まず志を立て、次に現実に揉まれ、自分の得手不得手が分からないと、知ることができないからです。

■志で人を評価する

本当に人を評論しようと思うならば、その富や地位、名誉のもととなった「成功か失敗か」という結果を二の次にし、よくその人が社会のために尽くそうとした精神と効果によって、行われるべきものなのだ。
(中略)
成功など、人として為すべきことを果たした結果生まれるカスにすぎない以上、気にする必要などまったくないのである。

言っていることは立派で、まっとうですけれど、昨今の生産性重視の視点で眺めると、この「志」を大切にする考え方が、悪用されているようにも思えます。

「成果よりも心意気を重視する」会社があったとして、複数の部下の心意気を上司はどうやって正確に測れるのでしょう? …と考えていたら、ちょうどジム・コリンズの『ビジョナリー・カンパニー 2』を思い出しました。
あの本には、「誰と仕事をするのか? が一番大事だ」って書いてありました。

そこで、渋沢とジム・コリンズの考えのいいとこどりを実現した会社の姿を想像してみましょう。

・気持ちが通じ合う人たちばかりいて、
・みんなが志を高く持っていて
・当然、一生懸命仕事をするので、わざわざ成果で評価しなくても、互いの健闘をたたえ合えるいい雰囲気

素敵ですねぇ♪
どうしてこんなふうな会社や組織があるよと言う話を、あんまり聞かないのでしょう。それは、わたしに志が足りないからなのかもしれません。

まずは志を持つところからはじめましょうか。
そして、いつか天命を知りたいものです。

■本日の一冊:『ビジョナリー・カンパニー 2 - 飛躍の法則』(ジム・コリンズ、山岡 洋一(翻訳)/日経BP)

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