【本】『図説 古代ギリシアの暮らし』(ふくろうの本/世界の歴史)(髙畠純夫、齋藤貴弘、竹内一博/河出書房新社)
こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。
先日のnoteに書いたとおり、『猫の泉 読書会』では、定期的にプラトン『饗宴』の朗読会をしています。ですので、古代ギリシア人の生活をざっと理解したいと思いまして、この本を手に取りました。
彫刻や赤像式陶器の絵などが沢山あって、当時の暮らしぶりを垣間見ることができます。知らないことばっかりだったので、古代ギリシア人の生活を知るのに、最初に読む本としてとてもよかったと思います。
でもちょっと謎が深まったというか…。
結局、遺跡から発掘できるような、年月を経ても残されている遺物だけが手がかりになるのだなと改めて思いました。特にギリシアの場合は、赤像式陶器の絵のおかげで今の私たちにも理解できることが多いようです。
その絵に描かれた何で男性は、多くが裸です。おそらく布が大変に貴重で、服を汚したくなかったから、体操や力仕事のときは脱いだってことでしょうか。ちなみに下着は無かったそうです。
とくに気になった事柄を、この本をベースにして(他の資料も読んで)まとめます。
・ギリシアという国
ギリシアという「国」は1830年まで存在しなかった。
前五、四世紀に存在したのは、ギリシア語を話し、共通の神々を崇拝してポリスと形成している「ギリシア人」と呼ばれる人々と、ポリスと呼ばれる小さな国家だった。
・アテナイの隆盛
前五世紀初めのペルシア戦争に勝利にて貢献
→デロス同盟=アテナイ帝国
→ペロポネソス戦争でスパルタに敗北するも民主制は維持
→前322年にアテナイの民主制の終わり(コリントス同盟→アレクサンダー大王の東方遠征?)
・奴隷について
諸説あるが、およそ全人口の15%~40%を占めている。
家庭は、「主人と奴隷」「父と子供」「夫と妻」で構成されていなければならなかった。つまり、家庭が成り立つには奴隷が必須。
お金を貯めて、自分の自由を買い取る奴隷もいた。
主人の遺言で解放奴隷になれる場合もある。
・英雄アキレウスの鬚
そういえば、プラトン『饗宴』には、あの英雄アキレウスは、パトロクロスの同性愛の相手で、まだ鬚も生えていなかったと書いてありました。
関連でちょうど93頁に『負傷したパトロクロスを手当てするアキレウス』の赤像式陶器の図柄がありました。
なるほど、包帯を巻いてもらっているパトロクロスには鬚があり、アキレウスには確かに鬚がありません。またアキレウスはパトロクロスと比べると手足が短めに描写されています。親友とも言われている二人ですが、アキレウスの方がまだ幼いということをこの赤像式陶器の絵は表現しているようです。
なお、このパトロクロスは、幼い頃に誤って殺人を犯し祖国を逃れアキレウスの家へ身を寄せていた亡命者だったそうです。アキレウスから見れば、幼い頃から家に居候していた頼りがいのある兄だったのかもしれません。
■本日の一冊:『図説 古代ギリシアの暮らし』(ふくろうの本/世界の歴史)(髙畠純夫、齋藤貴弘、竹内一博/河出書房新社)
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