【本】『誰にも相談できません みんなのなやみ ぼくのこたえ』 (高橋 源一郎/毎日新聞出版)

こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。

これまでわたしは、人生相談の回答には、パターンがあると思っていました。ざっくりでおよそ3パターン。

パターン1.状況を分析してあげて、解決策を差し出す。

パターン2.言い方はどうあれ、相談者の悩み事は、解決不要と伝える。(マイペースでよろしい…/思い込みから自由に…/もっと他に大事なことがある…)

パターン3.自分をとりもどすことを薦める。
(覚醒せよ! と喝を入れる/休養をすすめる/逃亡をすすめる、など)

ところが、高橋源一郎の『誰にも相談できません』は、一味ちがった。
順番に読んでゆくうちに、なんかこれ、他の人生相談本とはちがって凄い! と確信したのは「捨てられないラブレター」の相談だった。

相談者のお悩みは、昔の恋人のラブレターの取り扱いだ。
結構昔にお別れした後も、ずっと捨てられないでいる。辛い時に読み返すと元気が湧いてきて、宝物だった。
相談者はおそらく、自分が死んだ後それが誰かに見つかってしまうことなんかを恐れて、送り返そうかどうしようかと悩んでいる。

それに対する高橋源一郎の回答は、
・信頼できる人に、自分が死んだら送ってもらえるように頼む。
・もう一通、自分の手紙を書いて添える
その手紙に書くべきこととして挙げられている言葉が泣かせるんだ。いや本当に。ぜひ読んでみて! 

つまり、目のまえに立ち現れた問題だけに取り組むのではなく、もっと優しく大きくとらえて、そこから眺めて、できれば新しく作り出すもので、相談者と誰かとの心の架け橋をつくることを提案している。この「新しく作り出す」が、さすが作家をしている人の視点で、いいなぁと思った。

そのほかにも、子育てで得られるもの、辛い恋や思い出から得られるものについての回答にほっこりきます。

自分がなにかにとらわれているなーと思った時、自由なこころを取り戻したい時に、お薦めな本です。


■本日の一冊:『誰にも相談できません みんなのなやみ ぼくのこたえ』 (高橋 源一郎/毎日新聞出版)

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