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とある端攻めの使い手の話

 今から三年以上も前の話。
 将棋クエストの2切れで次のような個性的な指し方をするユーザーがいた。

(初手から) ▲9六歩 △9四歩 ▲9七角 △6二銀 ▲7五角 (途中図)

△7四歩▲6六角 △7三銀 ▲9七香 △8四歩 ▲9八飛 (結果図)

この人は基本的にこっち側の端を攻めるタイプだった(私は反対側)

 私が冒頭のツイートのように端に拘るようになったのは彼の影響が大きい。当時はお互いR2000程度でマッチングする事が多く、その時に端角から上記のような手順を指された。
 これで先手が良いはずがないのだが、実戦だと一方的に攻められ時間を使わされ、またこのような戦型では一手のミスの罪が重いという事もあり安定して勝てなかった。ソフトで検討してみると確かにこちらの方が良いものの、私の棋力では発見できない好手がかなり潜んでいる。
 それ以来彼の棋譜を漁ったり、ソフト対局を繰り返して練習を積み重ねてきた。居飛車と振り飛車で感覚が違うというが、この一間飛車はどちらにも当てはまらない第三の感覚が必要だと思う。色々なソフトと対局してBURNING_BRIDGESが他のより高めの評価値を出す傾向にある事が分かり、また桂香を積極的に活用し細い攻めを繋げてくる棋風に憧れた事もあって、長い間このソフトと付き合っていた。燃える橋が私の棋風の根幹になったといっても過言ではない。
 まあ流石にこれを大会でやる訳にはいかないし、他の戦法を練習した方が良くないか、と思ったりして、長くは指していなかった。ソフトが一間飛車を指したというツイートを見たのをきっかけに私も同じ戦法を指すようになり、その時に端を突き返してくる相手を返り討ちにしたいと思い、彼の構想をお手本にあの指し方が生まれたわけである。

 これは袖飛車からの有名な仕掛けで、後々例の一間飛車と似たような展開になる。ちなみに微妙に成立していない(多分銀の位置が原因)。しかし指してみると分かるが後手から主導権を根こそぎ奪う害悪な指し方である。「こんな攻めが通るとか将棋じゃねぇ!」と何度思った事やら…
 やはり飛角桂香のスピードのある攻めは棒銀や早繰り銀より魅力的に映る。彼との対戦が無かったらこんなに将棋が楽しいとは思っていなかっただろう。感謝、感謝!

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