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多頭猫と暮らす方法 ~ その1 保護の準備と避妊去勢手術

保護の準備と避妊去勢手術

同じ保護猫活動をしている方から「うちより頭数が多いけど、どうやっているのか?」と聞かれることがある。

「大変でしょう?」と言われることもある。もちろん大変だ。

自他共に認める“犬猫変態”の私は犬猫の世話の大変さより、犬猫との生活の素晴らしさに重きを置いている為、比較的世話は苦にはならないがそれでも大変なことに変わりはない。とりあえず犬猫の全てを“受け止めて、まぁ仕方ない”と思っているからやっていられるのだろう。

今まで自分では特別な飼育方法をしているつもりはないが、保護猫活動開始から現在まで我が家では多頭飼育崩壊になっていない。そこで改めて自分がしている多頭飼育の方法をまとめてみることにした。少しの工夫をする事で犬猫の世話が格段に楽になり、人も犬猫のストレスも減り、のんびりと暮らせている。

今まで色々な記事で“猫の多頭飼育は止めろ”という文章は目にしたが、“猫の多頭飼育方法”というものを読んだ事がない。猫の多頭飼育はメリットよりもデメリットの方が多い事や、そもそも多頭飼育を推進していないからだろう。
それでも今現在、猫を多頭飼育している方、多頭飼育崩壊になってしまっている
方、多頭飼育方法を悩んでいる方が多くいるはずだ。
これから何回かに分けて私の多頭飼育方法を書いていこうと思う。

これから書く方法や考え方が少しでも参考になり、多頭飼育崩壊がなくなり一匹でも多くの保護猫が幸せになる事を願っている。

野良猫を保護する準備

はじめに野良猫を保護する為に準備する必要な事がある。
先住猫がいる場合や多頭飼育している事に関係なく用意が必要となる。

(1)二段又は三段のキャットケージ
(2)キャットケージに設置する猫用トイレ
(3)トイレ用砂
(4)ご飯用皿(猫用として市販されているもの)
(5)水用皿(猫用として市販されているもの)
(6)猫用クッション又はバスタオル
(7)キャットキャリー
(8)ペットフード
(9)大きな洗濯ネット
(10)動物病院の予約

(1)~(8)は猫を迎え入れるのに最低限必要な物なので必ず準備が必要になる。

(4) のご飯入れだが時々人用の皿などで与えているのを見るが、猫は舌で舐めとって食べるので、猫用の縁があるものが最適である。

(5)の水入れは大きめのものでたっぷりと入るものにする。水は朝夕取り替えること。ご飯用皿と水用皿の下にはトレーを敷いておくと、こぼした時に掃除がしやすい。

(7)キャットキャリーはプラスチック製で上下に分かれるものにすると、ペットシートを敷きやすく、収納時も半分のサイズになるので使いやすい。

(8)保護したての場合、栄養失調気味や脱水症状気味の時がある。ドライフードやウェットフードの他に当初はヒルズの回復ケアa/d缶を与えると良い。

(9)の大きな洗濯ネットは猫をキャットキャリーに入れて移動するとき、まず猫を洗濯ネットを被せてジッパーを閉め、その後キャットキャリーに入れるのに使う。
猫は動体視力が良く動くものを捕まえる能力に優れているが、実は視力はあまり良くない。洗濯ネットに入れられると目の前に洗濯ネットがある為、視力が悪い猫は視界が塞がれ暴れなくなる。その他にも洗濯ネットに包まれる事でも安心して大人しくなる。さらに万が一キャットキャリーが空いてしまっても逃げる事が困難になるので脱走防止にもなる。猫が逃げ出すことに間違ってキャットキャリーの扉が開いてしまうということも多くあるようだ。動物病院など外に連れ出す時は、必ず洗濯ネットに入れてから連れ出す事をお勧めする。

(10)の動物病院の予約だが、捕獲当日又は捕獲が夜間の場合は翌日の予約を取るようにする。

野良猫は十中八九、ノミやダニが付いているものであり、先住猫がいる場合ノミダニが感染する可能性がある。その他に野良猫は綺麗な飲み水にありつけることも少なく、回虫がいる場合も多くこちらも先住猫が感染する可能性がある。

捕獲後はすぐに動物病院にて健康診断と治療をしてもらうようにする事で感染防止になる。その時に怪我がある場合はその治療もしてもらう。事前に獣医と相談をし、避妊去勢手術ができる年齢や体格の場合は避妊去勢手術をしてもらうようにすることが必要だ。

避妊去勢手術の重要性


多頭飼育崩壊の多くは避妊去勢手術をしていないが為に起こっていることが多いようだ。野良猫の捕獲保護をしたら下記の3つを必ずしてもらいたい。

(1)動物病院にて怪我や病気の診断と治療をしてもらう。同時に避妊去勢手術ができるであればお願いする。

(2)子猫の場合、避妊去勢手術ができる年齢や体重(大凡2kgを過ぎると避妊去勢手術が可能になる)になったらする。

(3)先住猫がいる場合、捕獲をしてから治療や避妊去勢手術をするまでの間、先住猫とは接触させないようにし、

新たな保護猫は避妊去勢手術が終わるまでの間キャットケージで生活をしてもらう。この3つは猫を保護をするのであれば絶対に必要なことなので必ず実施してもらいたい。

避妊去勢手術のメリット

多頭飼育するのであれば避妊去勢手術は絶対に必要になる。避妊去勢手術のメリットとして繁殖制限をすることで無駄な命を増やさないようにできる。
猫は繁殖期になると親兄妹関係なく交尾をする。猫は交尾後の妊娠率は100%であり、妊娠期間は63~65日、子猫を出産するとすぐに妊娠できるようになる。
メス猫の繁殖期は季節的な影響を受けるため、地域や環境によって若干の違いがあるが、3ヶ月に1度、年間で4回程繁殖期があり1回に産まれる子猫は2~6匹にもなる。
2匹の猫を保護したとして1年間で理論上は420匹まで増えることが可能だ。ただしこれは理論上なだけであり、現実は20匹程度まで増えることになるだろう。

猫のことを思い、せっかく保護をしたのにも関わらずこれ以上不幸な猫を作らせない為にも絶対に避妊去勢手術は必要だ。繁殖制限以外にも子宮炎、卵巣嚢腫、乳腺腫瘍、前立腺疾患、睾丸腫瘍などの病気になるリスクが抑えられる。マーキング行動や喧嘩が減少する。発情期の鳴き声がなくなり、その時期に脱走をしたいと思うこがなくなる。根本的な猫のストレス緩和につながる。性格が大人しくなり攻撃性が減少されるなどメリットが沢山ある。

避妊去勢手術費用

動物病院によって金額は様々だが一般的にオス30,000~45,000円、メス35,000~50,000円程の費用が必要になる。この他に動物病院によって事前に麻酔のアレルギー検査が必要な場合もあり、別途費用が必要になるケースもある。
都道府県により避妊去勢費用の助成金が出るところもあるので、各自体に問い合わせする事をお勧めする。

現在既に多頭飼育崩壊をしてしまっている方は一人では解決できないと思うので、最寄りの保護猫活動をしている団体にできるだけ早く相談をしよう。何らかの解決方法を見つけてくれるはずだ。

まとめ

今回は新たな猫を迎え入れる準備と避妊去勢施術の重要性を確認してもらえればと思う。多頭飼育をしている事を前提に書いてみたが、1匹で飼育していても避妊去勢手術はメリットがあるので是非してもらいたい。

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