◇美人薄命。

私が「美人」「綺麗」「可愛い」といったような美しい言葉に敏感になったのは高校生くらいであるだろうか。思春期ともいえる一番繊細な心を持つ時期。私はその頃から容姿を気にするようになり、美人を羨ましがった。私が人生で出会ってきた数々の美人を紹介していこうと思う。

「白い美人」

私は高校1年生であった。まだ入学当初は高校生活に慣れず周りを見て行動するしかなかった。でもでも、高校生ってやっぱり一番青春できる時期だし、沢山恋もしちゃうかも♡と、ウキウキワクワクであった。初めての教室、初めての体育館、初めての食堂。そう、食堂が一番テンションが上がった。公立の中学ではなかった食堂が!!あるのだ。お小遣いを握りしめて、好きなもの買うことが出来る。自販機さえなかった中学では想像も出来ない楽園だ。わあぁ〜と胸が高まった。そして、食堂は全学年の人たちが自由な時間に集まる踊り場なのだ。。まだまだ子供だった私は、大人っぽい先輩達が見れるのが楽しみで仕方なかった。

ある日ボケーと、友達と食堂で歩いていると、目を疑った。一際目立つ美人が…!!すごい…浮世離れしている…

ツヤツヤの長い髪、細い手足、クリクリの目、そして何よりも白い…!色が白い。白すぎる。
こんなに透明感がある人がいるものなのか。

か、可愛い…

その子はフランス人形の人間版のような可愛い雰囲気であった。とにかく可愛い。そしてその子はなんと同い年であったのである。
同じ15年を生きてるのなぜこの差が生まれるのか…美人って何で出来てんのよ。と親に訴えたくなる気持ちになった。

そしてその子は控え目で可愛い。美人ほど出しゃばらないって本当だ。だがしかし美人は出しゃばらないが、目立ってしまう。高校の一番盛り上がる行事である文化祭では、うちの高校はハロウィンの時期であったのでコスプレをして回る子が多かった。コスプレって残酷…。一番容姿やスタイルに差が出る。私は恥ずかしいのでなるべく目立たずスタイルが隠れるかぼちゃのワンピースを着ていた。

当時その白い美人は学年、いや学校で一番と可愛いと言われていた。(以下フランス人形ちゃん)
フランス人形ちゃんのコスプレはもちろんメイド。似合わないわけがない。ウケを狙って顔中真っ黄色に塗ったミニオンとかしてきたらどうしよう。なんて不安で心配であったがそんなはずもなく、舞台女優かのように当日は目立っていた。

フランス人形ちゃんは、きっと自分の美貌を分かっている美人なのである。完璧なヘアスタイルに、真っ白でゆで卵のような肌、まっすぐな足、いい匂い。これら全ては生まれ持った美貌も7割はあるかもしれないが、3割は努力しなければここまで完璧にはなれない。

その時私は、努力できない自分が惨めになった。

今までなんでこんなブスに生まれたんだろう。と不満を口にしてばっかいたが、私何もしてない。

そこから火がついた。可愛い子の髪型しぐさ動作表情、全て真似しようと思った。
まだ子供だった私は、美人の真似をするだけで美人になれたものだった。

しかし美人は大変だ。
フランス人形ちゃんは可愛さのあまり、男子からのとてつもない人気で、周りの女子からの嫉妬。

学園のマドンナであるが、一緒にいる子は大人しそうな子ばかりであった。
もともと出しゃばるタイプではないため、そのような子の方が気が楽なのかもしれない。

美人で謙虚、そして透き通るような透明感。
彼女のおかげで色白は七癖隠すという言葉を良く思い知った。

今年の夏、調子乗って焼いてしまった肌いつ戻るかしら。美白美白っ!

#エッセイ

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