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ワクチン6回打って、コロナ感染して、ラゲブリオ飲んだけど死ななかった件。

ある有名な看護雑誌に漫画で記事を提供している看護師が、コロナ1波の激しい時に「コロナの検査を受けたらいけない!陰性の人も陽性になっちゃう!」ってさんざん喚いていて、「アホなんじゃないかしら、この人」って思っていましたが、何かのタイミングでご自身のツイッターに、「私たち医療者は手洗いをここまでするんだ!」とご自身の荒れ荒れになった両手の写真をあげていらっしゃいました。感染管理勉強した医療者として言えるのは、「手洗いと手の保湿はセットであって、手荒れなんて看護師の恥」と思いました。そんな知識のない人でも、まだ漫画を描いているようですね。

さて、私は海外と国内でワクチンを合計6回接種しています。ツイッターで「5回打ったら死ぬ!」とあったのですが、すでにその時には5回打ってから時間が経っていましたので、「死なねーな」と思ったものでした。そしてコロナに感染して隔離を受けているときにメルクのコロナ治療薬ラゲブリオを内服しました。あとでツイッターをこれまた見たら「ラゲブリオを飲むと死ぬ!」とありましたが、これまた「死なねーな」と思ったものでした。

死ぬどころか、38度以上あった熱はラゲブリオの内服開始後24時間以内に37度まで下がり、それから24時間以内には平熱まで下がりました。他に喉の痛みと咳があったのですが、どちらも内服後4日以内には症状が消えました。

よくネットに、「薬剤師ですがー」とか「医師ですがー」という文言に続けて、ラゲブリオの副作用に関する記載を見ます。この前は、「(ラゲブリオの)副作用3,584件、その内重篤が449件、死亡31件という報告が製薬会社からありました」と書いてあるのをみましたが、ラゲブリオの製薬会社メルク(日本での提携は杏林製薬)はラゲブリオ市販後調査をネットで公開しています。

https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/information/pdf/202204_03lagevrioCapeppv.pdf

それを見ると、報告のあった副作用は2,825件、その内重篤が343件、死亡32件となっています。前述の数字と違いますね。ちなみに、ラゲブリオは重症化リスクの高い患者に処方されていますので、内服した、しないに関わらず基礎疾患の症状が悪化して、何らかしらの症状が出て、それが「副作用」としてカウントされる場合もあります(市場から副作用報告があったものをそのままカウントしたデータなので、ほんとうに薬の副作用なのかは不明)。

インターネットの出典がはっきりしないデータを信じるのは危険です。必ず出典を確かめて、できれば海外の公式文献(The New England Journal of Medicine とか)を見たりすると、データの信憑性が増します。ま、そもそも、私はラゲブリオ飲んでも死ななかったので、「ラゲブリオ飲んだら死ぬ!」っていうのは、嘘ですね。