出会い系で1日4人と会った話:3・4人目

出会い系アプリですぐ会うのは確実に失敗する、というのは定説だがもはや考える心を完全に失った私は2人目を降した後、駅にしばらく滞在し同じことを繰り返すSIRENの屍人のようにアプリ屍人になっていた。まるで校長先生のような執着心だ。そして見つかった3人目、なんの学習を2人からしたのだろうか、みすみす罠へ飛び込みに行くスタイルで待ち合わせ場所まで向かう。

3人目はちゃんと仕事はしていた。そして見た目も悪くなかった。2人目のようなスマホをいじることもせず私との会話にいそしんでくれていた。2人目のおかげで3人目は普通の人なのに好感度が爆上がりだ。21時を過ぎていたため特になにをするわけでもなく、琵琶湖を見に行こうとなり、夜の琵琶湖へ向かう。正直、3人目の記憶はほぼない。ただ琵琶湖を見ただけだ。その後、泊まる宿がないという私に琵琶湖男は実家だけど家くる?と仰せた。ただでさえ初対面なのに家族も初対面であたしゃ田舎に泊まろうかなんかに出演してたっけ?と思ったし言った。そしたら琵琶湖男はじゃあ一緒にホテルに泊まろうと言った。正直、ここで行ってればよかったんじゃないかと思うが考える心がない私は顔も性格も悪くはなかった琵琶湖男を嫌いになりたくない、という理由でホテルに行くのを断った。

もう家に帰ろうか…と思ったが目がシパシパしだす。このまま夜の道を変えるのは怖い。普通の人ならホテルを探す。だが私は屍人だ、同じことをするしか能がない。アプリ屍人だ。4人目は前日からやりとりをしていた人だったが、顔出しも雰囲気がわかる写真すらあげておらず、ウサギが飛び跳ねている写真だった為怖くて保留していた。ただ、人が良さそうなのは文面に溢れていたため一人暮らしの男の家ということを考えもせずにバカな屍人は向かうのである。

電話で確認を取りつつ家に向かう。迎えに出てくれた4人目は案の定容姿は良いとは言えない人だった。私がご飯を食べていないことを心配し、ご飯を出してくれた。そして布団が一つしかなかったが、僕は床で寝るから布団使っていいよ、という人の良さだった。そのまま朝方になるまで就寝した。ここで終われば大したオチもない良い話だったが、私が悪いのは百も承知だ。どんどん離れてきた距離が近くなり、手を出されそうになった。だが幸い彼の人の良さがここでも出て、未遂でおわらせることができた。

こんなバカなことをしている私だが、好きな人じゃなければしない、と決めている。ただし殺されるくらいなら自分の体なんていくらでも差し出すわという変わり身の早さを覚悟しつつアプリをしているが、その危険は今のところはない。人の家にすぐ入る、という暴挙を普段ならしない。そして相手の車にも初対面では乗らない、とも決めている。普段は警戒心が強いくせに時たま好奇心がチラチラと顔を出す。それに、私が20代美人ならそんな心配もしていいだろう、ただスペックは書いてある通り30代90キロ独身派遣女だ。誰も買わない売れ残りだと思い孤独死を受け入れようとする日々を生きている。そんな女を誰が手を出してくるのだろうか?という思いもある。

脱線したが私は起き上がりそそくさと化粧をはじめ、こんなことなら3人目で一緒に泊まった方が好みだったのに…とゲスいことを思いつつその場を後にした。

その後も京都にいてもなにもする気にならず、一体私はなにをしていたんだろうか…と我に帰り午前中に京都を離れ、再び下道で家に帰る途中にたくさん道の駅巡りして帰ってきた記憶が1番楽しかった。

4人も会ったのにその後もやりとりしている人は1人もおらず、ラインでブロックされてないか確認したらされていた。お、お前らなんて別にこっちからお断りだし!!!みたいな負け犬の遠吠えをしつつただただストレスしかたまらなかった旅行なのであった。

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