無垢フロア神話を再考する
マイホームの床材として無垢フロアが選ばれることが多いのですが、これは私が仕事を始めた20年前から変わらないトレンドの一つ。
数多ある床材の中から、なぜか無垢フロアが良い物であるとされていて、私自身も半ば思考停止で進めてきた要素でもあります。
はたして無垢フロアが本当に良い物なのか?
あるいは、無垢フロアより良い物は無いのか?
改めて考えてみたいと思います。
なぜ無垢フロアが良いとされているのか?
天然素材であること
接着剤を使っていないので化学物質が出ない
削って補修ができる
無垢フロアの良さとしては、この3点ではないでしょうか?
天然素材なので見た目や肌触りが人にやさしく、ストレス緩和など森林浴に似た効果も確認されています。
肌触りに関しては人工物と違う温かみがあるので、冬に素足で歩くと違いを実感できるでしょう。
無垢というだけあって一枚物の木で構成されているため、接着剤を使用していません。
そのため、合板のフロアのように化学物質を放出する可能性は低く、シックハウスなどの原因になりにくいと言われています。
最後に、削って補修ができるという点。
無垢フロアは厚さで約15㎜ぐらいありますが、そのすべてが一枚の木でできています。
そのため、表面に物を落として傷がついたとしても、削ってしまえばきれいな木肌が出てきます。
そういう意味でメンテナンス性が高く、永続的に使用できる材料かもしれません。
無垢フロアは化学物質が出ない?
天然素材である無垢フロアは化学物質が出ないと言われていますが、そうではありません。
ヒノキであれば特有の香りであるヒノキチオールが放出されていることは有名な話ですが、それ以外にも化学物質は放出されます。
それがシックハウスになるかは別の話で、化学物質過敏症の方はヒノキチオールでも反応する場合があります。その点だけは注意しておきましょう。
その上で、日本で流通している建材であれば、クロルピリホスは使用禁止。ホルムアルデヒドは規制がされていています。
F☆☆☆☆(エフ・フォースター)のように試験結果が証明されたものしか流通しておらず、こういった建材を使っていればシックハウスの可能性は低いのです。
無垢フロアの下地は合板ということを忘れがち
そうはいっても、接着剤を使わないことで科学物質の発散は極めて低いのですが、忘れてはいけないのが無垢フロアの下地には合板が施工されるということ。
最近の家であれば、耐震性や施工性の観点から24㎜程度の合板を一度張った上に無垢フロアを施工します。
合板は接着剤を使って製造され、無垢フロアを施工する際にも接着剤が使用されます。
それ以外にも、家の中にはいたるところに合板や接着剤が多用されるため、無垢フロアに接着剤が使われないことのメリットはほとんど無いと思います。
挽き板フロアがおすすめ
このように、無垢フロアのメリットを考えると、見た目や肌触りの意匠性。削れることでのメンテナンス性のみになると思います。
そうなってくると、無垢フロアの代用としてお勧めしたいのが挽き板フロアです。
挽く板フロアは合板を基材としていますが、表面の2~3㎜は天然木の薄板を貼っています。
見た目や肌触りは無垢フロアと遜色なく、厚みの範囲であれば削ってのメンテナンスも可能です。
合板を基材としていることでコストも安く、ブラックウォールナットなどの希少な外材にも手を出しやすくなります。
天然木の使用量が少ない分、品質の高い物を調達しやすいのもメリットです。
その他にも、合板を使用しているため収縮や反りといった、無垢フロアのデメリットも少なくなります。
挽き板フロアはいいことずくめなのです。
まとめ
マイホームを検討中の方は、無垢フロアから一度離れてみるのもいいかもしれません。
挽き板フロアであれば、意匠性やメンテナンス性といった無垢のメリットを残しながらも、収縮や反りといったデメリットを少なくしてくれます。
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