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ちいさな物語

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#noteでよかったこと

眼鏡猫【こびと部公式応援企画】

あるところに「眼鏡猫」と呼ばれる猫がいた。 眼鏡をかけて本を読む姿は どんな者よりもしっくりくるそうな。 この猫がかけている眼鏡はそもそもは飼い主のものだが 猫はこれをとても気に入っており、その眼鏡をよく盗んでは 自分の方がよっぽどかけているという始末である。 そして飼い主が眼鏡がないと探していても全くお構いなしで 「おやおや」といった顔ですましている。 ここでは「眼鏡が見つからない時は猫を疑え」なのだ。 今日も眼鏡猫はいつもの様に主から眼鏡を盗んだ。 それを背中に背負

「君だったのか」

草むらから何かが こちらを見ているのがわかった。 けれど怖くてそちらを見ることができない。 一体そこには何がいるのだろうか… * 休日。 僕はいつもの公園に出かけた。 そこはちょっと小高い丘にある公園。 公園というよりはむしろ 「山」という方が近いかもしれない。 少しでもピクニック気分を味わいたくて おにぎりを握って持って行く。 僕が握ったおにぎりはいつも大きくて不格好。 でもとびきり美味しいんだ。 なんせ僕のおばあちゃん手作りの 大きな梅干しを一つ、入れるから! それ

猫のライオン【ニ】

どうも、ねじりです。 以前こんな物語を書きました。 あらら。 あれからもうこんなに時が経っていたとは… ちょっと短いですが、久しぶりに 「猫のライオン」の続きを書きましたので もしよかったら読んでいただけると嬉しいです。 そして読む前にみなさんに ちょっとお伝えしておきたいことが。 以前の時とはお絵描きアプリが変わったので 絵の感じが少し変わってしまいました。 けれど愛情を込めて描いていることには変わりないので 少し違和感はあるかもしれませんが 許していただけたらあり

「Bakery~若草~」

「お店ここだって」 「着いた着いた~!」 ここは四姉妹が営んでいるという とっても美味しいと評判のパン屋さんだ。 その名も「Bakery~若草~」 ここの一番人気は「焼きそばパン」らしい。 四姉妹の、特に次女の料理の腕がすごいとかで その焼きそばパンを生み親なんだそうだ。 ここの焼きそばパンを一口食べたらもう他では食べられなくなる… そんな噂が広まっていた。 地元で知らない人はいない上に 最近では県外からの客も多いという。 …って、その県外からの客ってのが僕なんだけど。

猫田質店

「喉…乾いた……」 私は今、猛烈に喉が渇いている。 うぅ…それにしても 今日の暑さはあまりに酷い… 何か冷たいものでもぐびっと飲まないと無理。 誰か助けて…ん? あれはなに? 意識が朦朧としている中、私の目に飛び込んできたのは 猫の印が入った看板。 うーん、けどぼんやりとしか見えない。 でもなんだかいい匂いがする…気がする… これはカフェか何かではないだろうか。 あ〜もう暑くてしょうがない。 これは入るしかない! お店をよく確認することはできなかったが 「ここには何か素

猫のライオン

ここは地球から遠く遠く離れた どこかの惑星。 どこにあるのかと聞かれても こちらにもわからない。 遠く遠くのどこかに存在している 謎の惑星のお話。 そこには「猫のライオン」という生きものが ひっそりのんびりと暮らしていた。 猫のライオンもこの惑星のことは 実はあまりよく知らない。 でもずっと、この名も知れぬ惑星に住んでいる。 どこにあるのかよくわからないこの惑星だが ほとんどのことは地球と一緒である。 空があり、山があり、海がある。 ね、一緒でしょ? そしてそこに住む猫

「ほっぺちゃん」

ほっぺ、ほっぺ。 わたしはほっぺ。 ある日突然、わたしは「ほっぺちゃん」になった。 名前をつけてもらったの。 それまでは名前がなかったから わたしはただ「マフラー」としか呼んでもらえなかった。 それがだ。 今日からわたしは 「ほっぺちゃん」となった。 名前なんてもらえると思ってなかった。 でもやっぱりほんとはね、名前… 欲しかったんだぁ。 とっても可愛がってもらって すごく大切にしてもらってたんだけど。 でもやっぱり名前をつけるってことまではなくてね。 でもそんな

「落ち葉の巣立ち」

季節がどんどん進み辺りが秋の色に包まれる頃 「坊やたち」もみるみる色が変わり 立派な変身を遂げます。 そして秋がもっと深まると 坊やたちはこんなことを言い出しました。 「やだ~!お母さんと離れたくないよぉ!」 「絶対離れるもんか!」 「淋しくっていやだよ~」 騒いでいるのは坊やたち 「落ち葉」の坊やたちです。 落ち葉の坊やたちは、たとえ「お母さん」の一部ではなくなっても お母さんと離れたくなくて必死に貼り付いています。 この坊やたちは「木」のこどもたちなのです。 で

出会う。見つける。共有する。

彼はひとりでした。 別に淋しくなんてありませんでした。 けれど、少し…少しだけ 誰かと何かを共有したいと思いました。 そんなある日、彼に転機が訪れます。 それは彼にとって 思いがけないことでした。 その転機とは 「自分以外」の 誰かと出会ったこと。 彼は「自分以外」の存在と、語り合います。 その存在が友達なのか、恋人なのか… それはわかりません。 けれど彼は出会ったのです。 「自分以外」の誰かに。 そして見つけたのです。 共有できる存在を。

「迷子の迷子のどんぐりさん」

あら?こんな所にどんぐりが一つ… そこにはどんぐりが一人、ぽつんと佇んでおりました。 そこで声をかけたのがあのふたり。 ねじりさんと相棒さんです。 「どんぐりさーん、どうしたの?」 声をかけると、どんぐりさんは急に泣き出してしまいました。 「うわぁぁんうわぁぁん!みんなとはぐれちゃったよぉ… みんなどこに行っちゃったの〜…」 あらあら大変。 どんぐりさんは全然泣き止みません。 そんなどんぐりさんを見て、それは大変だ!と思ったふたり。 「じゃあみんなで一緒に探しに行こ

オルゴールの音色(1分マガジン)

今日は女の子のお誕生日。 しかし世間的には今日はクリスマス。 女の子のお家はケーキ屋さん。 両親はその日は毎年忙しい。 帰ってくるまで女の子はいつも一人ぼっち。 待つ間、ピアノの鍵盤を人差し指で一つずつ押す。 自分で奏でるバースデーソングほど悲しいものはない。 「はぁ…」 そして突然両手でバンッと鍵盤を叩いた。 その瞬間、鍵盤の端から「きゃっ!」と声が。 見るとそこには小さな妖精。 「あなた誰?」 妖精は何も言わず自分のスカートをパンパンとはたいて 鍵盤の上で踊

美味しいもの「見つけたよ!」

「そこのあなた!お腹空いていませんか?」 「え?僕?まぁ、空いてると言えば少し空いてますけど…」 「さぁさぁこちらの『チョコレート』をどうぞ~♪」 「え?チョコレート?どこにそんなものが…」 「え!これですか⁉︎どう見たってこれは花じゃ…?」 「いえいえ、これは『チョコレートコスモス』っていうんですよ。 だからこれはチョコレートなのです!」 「はぁ…」 「あ!食べたら今度は、喉が渇いてきたんじゃないですか⁉︎」 「えぇまぁ…(というか食べてないんだけど…)」

ぼんさんと川柳で遊んでみました。

つい最近、こんな記事を投稿しました。川柳です。 するとコメント欄でみんなが「きゅんとした」と言ってくれて ねじりは正直、ニマニマしましたよっ! すごく嬉しいと最近は、ニヤニヤというより 自分は「ニマニマ」だなって気づきました。 みなさん、スキやコメントを本当にありがとうございます。 そんな中、ぼんさん(ぼんやりRADIOさん)が こんなコメントをくださいました。 空いてる手 八の字描き 君に触れ ぼんさんのコメントに、これは 「感化された川柳です!(照)」と、ありま

博士の薬の隠し味(1分マガジン)

白いあごひげを揺らしながら、博士は言った。 「本当によかった…本当に…」 博士は泣いていた。 喜びの涙を流しながらそれはそれは盛大に。 実はつい先程、博士は弟子3号を泣かせることに成功したのだ。 3号が飲んだのは綺麗な青い液体の薬。 彼女は最近恋人に振られたのだが、明るく元気に振舞い 無理をしていた。 だから博士は、彼女にある薬を飲ませた。 悲しみさえ無視してしまうほど疲れた現代人が 「泣きたいだけ泣ける薬」を。 成功した嬉しさに大泣きする博士。 「さて、今度はワシも