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『シュレックフォーエバー』のランプルスティルスキンの元ネタは?

こんにちは。
アニメ映画ライターのネジムラ89です。

ドリームワークスアニメーション映画で思った疑問の話。

おとぎ話がモチーフの『シュレック』シリーズ

海外のアニメーション制作スタジオの中でもドリームワークスアニメーションが好きなので、定期的にドリームワークス作品を見返すのですが、先日は『シュレックフォーエバー』を観ていました。

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シュレックフォーエバー
制作年:2010年 制作国:アメリカ ドリームワークスアニメーション製作
監督:マイク・ミッチェル

『シュレック』シリーズといえば、おとぎ話の世界をパロディにしたコメディ作品......でありながらも、実は感動巨編だったりして、アニメーション界でも記録を作ったシリーズです。

この『シュレックフォーエバー』はそんな『シュレック』シリーズの最終作。“めでたし、めでたし”を迎えたシュレックがマンネリ化した日常に嫌気がさして、うっかり間違った契約に手を出してしまう物語です。

ランプルスティルスキンとは何者なのか?

今作を観て気になったのは、今作で初登場となる悪役・ランプルスティルスキンについて。彼はシュレックを騙して、世界を改変してしまう魔法使いです。

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『美女と野獣』や『ピノキオ』、『長靴をはいた猫』などパロディ元が分かりやすいキャラクターが多いのですが、このランプルスティルスキンに関しては元ネタがよく分からなかったのですよね。ランプルスティルスキンとは何者なんでしょうか。

ということで、調べてみたところしっかり元ネタがありました。

“ルンペルシュティルツヒェン”こと“がたがたの竹うまこぞう”

元ネタは、まさにランプルスティルスキン......こと『ルンペルシュティルツヒェン(Rumpelstilzchen)』。

日本では『がたがたの竹うまこぞう』というタイトルで訳されているグリム童話です。

wikipediaに要約は上がっているので、とりあえずそれ載せておきますわ。

貧しい粉引きが、王に「うちの娘は藁を紡いで金に変えることが出来る」と嘘をつく。王は娘を王妃にすることを条件に藁を金に変えるようにせまり、塔の上に糸車と藁とともに娘を閉じ込める。三日後の朝までに金が紡げないと彼女は殺されてしまう。娘が泣いていると小人(ドワーフ)が現れ、最初の晩はネックレスと引き換えに金を紡いでやろうと迫る。次の晩は、指輪と引き換えに紡いでやろうと迫る。いよいよ処刑が迫る最後の晩、小人は最初に生まれる子供と引き換えに藁を金に変えると迫り、ついに娘は折れる。

藁を金に紡ぐ約束が果たせ、王妃になった娘が産褥の床についていると、小人が赤ん坊を奪いにやってくる。王妃の懇願を受けた小人は「三日後までに自分の名前を当てられたら子供を連れて行かない」と約束する。王妃は国中の名前を集めさせるが小人の名前は見つからない。困っていると、王が森で奇妙な歌を歌う小人を見たと語る。「今日はパン焼き 明日はビール作り 明後日は女王の子を迎えに 俺様の名前がルンペルシュティルツヒェンだとは うまいことに誰もご存知ない」。なんと、小人が歌っていたのは自分の名前(ルンペルシュティルツヒェン)だった。三日たって子供を連れ去りにやってきた小人は王妃に名前を言い当てられ激昂し「お前は悪魔から聞いたな! お前は悪魔から聞いたな!」と地団駄を踏み、逆上の余り自分で自分を引き裂いてしまう。

出典:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AB%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%AB%E3%83%84%E3%83%92%E3%82%A7%E3%83%B3

もっと詳細なお話は岩波書店の『完訳 グリム童話集〈2〉』に収録されているようなので、こちらをチェックしてみると良いかも。

ランプルスティルスキンは小さな姿をしていて、契約によって望んでいるものと引き換えに何かを引き換えてくれる能力があり、名前を知られると力を失ってしまうキャラクターなわけです。

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実は作中でも、ランプルスティルスキンの契約の解き方を探る際に、ランプルスティルスキンという名前が知られすぎて、契約を解除する条件ではなくなったことがドンキーの口から明かされます。

メジャーなおとぎ話ではなかったけれども、元ネタが分かるとランプルスティルスキンも、しっかりと原作の物語を意識したキャラクターであることが分かります。


ちなみに相棒であるガチョウのフィフィも、元のおとぎ話『ルンペルシュティルツヒェン(Rumpelstilzchen)』と関係があるのかと思いきや、特に関係はなかったり。

グリム童話では『黄金のガチョウ』『ガチョウ番の女』などガチョウが多々登場するのでそちらからの引用なのでしょう。

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のちに公開された『長靴をはいたネコ』では、金の卵を産む巨大なガチョウが登場。『シュレックフォーエバー』で悲しい運命をたどるフィフィの復讐とも言える大活躍を見せてくれます。

『シュレック』のことを調べていくと、グリム童話に詳しくなっていくという特典が付いてきますね。

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