見出し画像

LSHTM〜Week7〜

(大学院の受付もクリスマスモードになるのが英国。事務さん方も、サンタの帽子を被って仕事をしてい…ません。さすがにそこまではしない)

月曜日(基礎統計)

カイ二乗検定がテーマ。大学でも勉強したが、復習メインではなく、新たに学ぶことが多くを占める。

火曜日(基礎疫学/公衆衛生の課題)

疫学は「ケース・コントロールスタディ(症例対照研究)」について。面白かったのは、「コントロール群の被爆歴は被爆集団を代表しなきゃダメ」で、コントロール群を選ぶのは症例対照研究において最も難しい部分ってこと。

 公衆衛生の課題は「Describe the health of population」ってことで、「集団の健康を表す」というテーマ。「どのようなデータを使って表すのか?またそれらを入手するには?」という内容。
 日本だと想像しにくいが、「cross-border(daily) workers」や「seasonal workers」「Nomads」を集団の健康を表す際に含むかどうかは悩む部分。あと、難民や亡命希望者(なので「難民を数える伝統的なアプローチ」を授業では説明される)。加えて、人工衛星を使って建造物を数え上げることもするそうだ(砂漠地帯では何もないから家を数えやすいが、エチオピアだと森林があって数え上げるのが困難らしい)
 死因も調査するが、世界には「宗教上の理由」で解剖をできないケースもあるとか。あとは医師の数もすべての地域に充足されているわけではないので、訓練されたスタッフが家族等から聞き取りをして、その情報を元に死因を判断する「Verbal Autopsy」なるものがある。

水曜日(健康政策/EAP)

 健康政策は「Equity(公正・公平)」について。健康におけるEquityとは、「誰しもが可能な限り健康になるための公平で、公正な機会を持っていること」を指す。ってことは、貧困・差別・教育や住宅の欠如など、「健康への障害」を取り除くことが求められる。
 実際にどのような格差があるかというと、「年収」「人種」「移民か否か」で平均寿命やBMIに差が出てくる。では、これらは「医療へのアクセス(裕福な人がより良い医療にアクセスしているからか?)が問題なのだろうか?」。もちろん医療へのアクセスも一因なのですが、他にも色々と要因はありまして、それらはSocial determinants of health(健康の社会的決定要因)で説明されております。詳しくはリンク参照。

 さて、「ヘイト」もEquityに関係する。LGBTQの方々が医療現場で差別されることもあるらしい。また、カースト制度が残る国ではカーストによって健康状態が変わってくる(想像にかたくない)。
 授業では「どのようにEquityを達成するか」まで踏み込むのですが、その部分は入学後にお楽しみください。

木曜日(ヘルスプロモーション/ソーシャルリサーチ)

 
ヘルスプロモーションは「健康行動変化に関するモデルの紹介(個人レベル)」。古典的な、「Health Belief Model」に加えて、「Social Cognitive Theory」「Trans-Theoretical Model」の3つがまずは紹介。その後、ナッジについて簡単に説明があり、現代的なアプローチとして、「The Behaviour Change Wheel」が紹介。

COM-B

 人間の行動は能力・機会・モチベーションに影響され、矢印は何がどこに作用するかが示されている。アセスメントして、欠落しているものを特定し、そこにアプローチをかければ人々の行動が変わるってわけ(たぶんこの理解でいいはず(泣))。このモデルの面白い部分は、能力や機会になどに適切なアプローチはなにかまで提示してくれているところ。個人的には結構好きだなぁ。開発したのはUCLのCenter for Behaviour Change。

 ソーシャルリサーチは「Observing Experience」について。人類学が学問として扱われるようになると、「他の人はどのように生活してんだ?」という疑問に対して、「観察と実際の経験」を組み合わせた研究が出てきた(実際に一緒に暮らす)。これは「Participant Observation」と呼ばれ、「①長時間一緒に過ごす②他人の生き方を観察・経験する③本当の関係を築いて、信頼と信頼関係を得てる④それまであった仮定やカテゴリーを可能な限り使わない」という、要素が入る。
 上記のような観察は「厚い」研究で、一方で「なるべく遠くからの観察(より客観的にみる)」は「薄い」研究。前者はより詳細で、観察され得た対象についての「知識の統合」に基づく説明を提供し、後者の説明は表面的になりがち。
 授業の序盤から「難解だなぁ…賢い先生なんだろうなぁ...」と感じる回でした。

感想

 いくつかの授業には「グループでプレゼン」「一人プレゼン」をしなければいけない回があります。これがとっても時間泥棒なのですよ。そこに「期末エッセー」の準備もしないといけなくて、6~10週目にプレゼンをしないといけなくなると、非常に苦しいでしょうね。これは完全に「運」なので、「1~5週目にプレゼン済ませるスケジュール来い!」と祈るしかないのです…(私はプレゼン1つが8週目にあって、授業の予習が一時停止しました)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?