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最強のレバーレスを安く手に入れたい人へ(CPTルール対応) ※

11/17追記
執筆からかなり時間が経ちました。
その間、レバーレス業界はとんでもない成長を遂げ、多機能コスパ重視のレバーレス(Haute42など)や品質重視のレバーレス(kitsuneなど)が多数市場に出回り、当時では考えられないほど選択肢が多くなっています。
そんな中、このB1-MINI-PCは、比較的シンプルかつ改造が必須ということもあり今では中途半端な存在になりつつあります。
しかし、ここに書いてある改造方法は未だに現役で、他のレバーレスを買ったとしても使えるものであるため、記事としてはそのまま残しておきたいと思います。

以下、元の本文です。


※1 最強とはあくまで格ゲーマー的な誇張的な表現となります。必ずしも効果を保証するものではありません。
※2 PCのみの対応です。(PS4対応版もあるが+1万円増、PS5対応は+2万5000円)
※3 多少の作業が必要になります。(難しくはないです)

のっけから散々注釈をつけて退路を確保しておりますが、昨今物価高や円安の影響もあり、レバーレスを買おうとすると最低4万円~という感じでかなり敷居が高い感じは否めません。しかも、海外サイトでの決済が必要な場合もあるため更に敷居があがります。

今回紹介するレバーレスはPC限定にはなりますが、目立った遅延もなく普通に使えて、持ち運びも楽、そしてお試しで買えるくらいの価格、なおかつ本体・部品も含めすべてAmazonで購入が可能なシロモノです
ちなみにこのレバーレスが売れても私には1円も入りません。念のため。

後、改造の方法がメインなので長いです。どんなレバーレスかだけ知りたいって人は改造方法の章を丸々飛ばしてご覧ください。


B1-MINI-PCについて

まぁ、ぶっちゃけて言ってしまうと、知る人ぞ知るささきさんの動画で扱っている激安レバーレス「B1-PC」、こいつをちょっと改造すると普通に使えるよって言うのが件の動画なわけですが、これの後継というか、コンパクトにした「B1-MINI-PC」が販売開始されていたので、人柱的に購入して4ヶ月くらい使いつつ、自分なりに改造して最適化をしてみたという内容です。

製品概要

それでは基盤となるレバーレスを紹介。

「B1-PC」との違いはサイズと接続端子、それとオプションボタンのサイズと配置くらい。恐らくメインボタンのサイズは同じ。

製品の特徴は以下の通り。

  1. PCでのみ使用可能

  2. 天板を自分でデザインできる(型番にDIYと付いている製品のみ)

  3. CHERRY MX(キーボードに使うスイッチ)がそのまま使える

  4. 接続端子がUSB-Type”C”

  5. とにかく小さい。持ち運びが楽。

  6. CPTルールに準拠(上下同時押し無効に設定可能)

1~3は「B1-PC」も同様です。自分は4と5に惹かれて、安定の「B1-PC」ではなく「B1-MINI-PC-DIY」の人柱をしてみることに。
そして6、なんとこのレバーレス、CPT精神に則っています。則るどころか、なんと「上優先」と「上下同時押し無効」を切り替え可能です。

発注~到着

Amazonで注文してから1週間ちょいで到着。中国からの発送だったので、箱がボコボコになってるかもと思ったけど特にそんなこともなく、中身もキズもなくキレイな状態でした。

いわゆるスケルトンカラー、男の子は何かと透けているのが好き

ファーストインプレッション

無改造状態で触ってみること10分。
わかっていたけどこのままでは使い物にならないと実感。
反面いいところも結構あったのでそれぞれ見ていきましょう。

良いところ

①小さい、軽い
これはかなり期待通り。
棒のついた変な箱の場合、外に持っていくときにダンボールで棒用の囲いを作ったり大変そうだったけど、これは凹凸もないしなんなら深めのポケットなら余裕で入る。普段の収納も楽。

②メンテナンス性がいい
スイッチが簡単に交換できるのはもちろんのこと、アクリル板を重ねて留具で固定しているだけなので、留具をドライバーで外すと簡単にバラバラにできて、基盤だけを取り出せる。
天板を入れ替えたり、分解掃除したりするのも楽。

③端子がType-C
普段はDualSenseを使うことも多いので、ケーブルの使い回しができる。机の上のケーブルの数が減るのは重要。個人的にはプリンターでしか使わないようなふっといTypeBケーブルがめちゃくちゃ嫌いなのでこれが購入の決め手だった。

ケーブルの上下を間違える心配もない

④ボタンの間隔が狭い
これはいいところに入れるか悪いところに入れるかは人による気がしますが、ボタンの間隔が狭いので最小限の動きでボタンが押せる。それゆえに、たまに指がもつれると誤操作してしまうことがある。慣れの問題ですが、手が大きい人はもしかしたら押しにくいと感じるかもしれません。

悪いところ

①ボタンのストロークが長い
アクチュエーションポイントについては、そこまで問題を感じなかったが、かなり深く押し込まないと底につかないので、素早い入力に向いていない。
あとデフォルトが黒軸(※)なので重い。
(※)キーボードに使われるMXスイッチは、色によって押すときの重さや押し心地などの特性が分かれている(青軸、赤軸など)。
黒軸はその中でも特に重い部類のスイッチ。

②ボタンが外れやすい
なんでこんなに外れるんだってくらい外れる。少しでも弾き入力をしようものならボタンが吹き飛ぶ。そして家具の隙間にコロコロ転がっていく。

③オプションボタンが押しにくい
右上と左上にそれぞれ3つずつある小さいオプションのスイッチ。いわゆるタクトスイッチそのままなので、固くて小さい。何回も押してると指が痛くなる。

④手の置き場がない
本体が小さい弊害として、支えとなる手の平部分の置き場所がなく操作がし辛い。

⑤机が傷つく
底にネジ頭がむき出しなので、直では置けない。せめて滑り止めくらい貼っておいてほしかった。

このくらいです。
逆に言うと悪いところが解決できれば、必要十分な機能で、軽く、ポケットに入る、メンテナンスも楽なレバーレスが手に入るということになります。

改造方法

改造部品購入

では改造に必要な部品と価格から。
必要になるのは、以下の通り。
それぞれAmazonへのリンクを付けてます。(値段は3/30時点)
Cherry MX 銀軸10個×2 1,700円
35g バネ 1,143円 (中国発送なので納期2週間程度かかる)
ワッシャー(M2) 595円
Oリング(色はなんでもよい) 980円
底面用ゴム 12.7x3.6mm 台形 272円
タクトスイッチ用カバー 3.2mm 607円
・(オプション)平ワッシャー 内径5mm  890円
計6,187円

本体代金と合わせて約19,186円。工具としてニッパーとかヤスリを持っている前提だけど、なければ100均で買えばいいので合計で2万円以内には収まるはず。
レバーレスをただ買うだけでも4万くらいは出さないといけない現状からすると、かなりお得かと。(4万するレバーレスはPS5にも対応してるけど)

改造① メインボタン改造

メインボタンの改造に必要な部品は、Cherry MX 銀軸が12個、35gバネ12個、ワッシャー(小)24個、Oリング24個。
上のAmazonのリンクから買う場合、銀軸は10個セットのため2つ購入する必要がある。
この辺の作業はささきさんの動画を見て感じを掴むことをおすすめする。

※ささきさんの動画では2つのスイッチをキメラ合体させているが、ここでは行わないので注意

手順としては、以下の通り。
①元々ついているボタンを摘んで取る。
②元々ついてる黒軸スイッチを外して投げ捨てる。自分はとげ抜き型のピンセットで挟んで引っこ抜いた。
③銀軸スイッチの横にある4つのツメを外して開ける。結構硬いのでピンセットの先などで片側ずつ開けていく。

片側を完全に開けた状態

④スイッチ上部の銀色の部品の内側の突起にワッシャーを"2個"かませる。
⑤銀軸の中に入っているバネを投げ捨てて35gのバネに換装。
⑥銀軸を元通り組み立てる。この時組み立ての向きを間違えるとスイッチの金属突起を潰してゴミになるので注意。

左のパーツの"くぼみ"と右のパーツの"金属突起"をうまく合わせる形で元に戻す

⑦ボタンにOリングを"2個"かませる。

内側の突起部分に被せるだけ

⑧銀軸とボタンを元通り組み込む。
⑨完成

色々試して、このワッシャー入りスプリング交換銀軸+Oリングであれば、ストロークが短く、かつボタンも外れずに誤入力もなくなった。
元々の銀軸のアクチュエーションポイントは結構優秀(アクチュエーションポイント1.2mm)なので、入力で不満を感じることは少ないと思われる。

このあたりを詳しく知りたい方は、ときどさんの動画を見てください。


ただ、ボタンの底打ち感が好きな人は、Oリングのぐにゃっとした感触が気に入らない可能性もあります。その場合は、オプションの内径5mmの平ワッシャーを買ってOリング1個と平ワッシャー1or2個を組み合わせるとといい感じになります。
ボタンの突起が直径5mm、上記でリンクを貼った平ワッシャーの内径が5mm±0.1mmとかサイズにバラツキがあるため当然入らないものもあります。50個入りなので運良く入るものだけを被せていきますが、体感3,4個に1個は入ります。
内径ギリギリを攻めている理由は、ワッシャーを両面テープとかで固定するのがめんどくさいからです。これなら無理矢理入れると何もしなくても落ちてこない。ただ結構無駄なワッシャーがかなり出てしまうので、それが嫌な人は5mmよりも少し大きいワッシャーを買って、両面テープなどで固定するといいと思います。

余談ですが、元々はささきさんが動画内で紹介している「銀軸」+「TTC」で使っていましたが、ボタンの押し方によっては多重入力になることや、そもそも入力が入らないことがあることに3ヶ月目にして気づきました。嘘だろ。

最大溜めできずにボルテックスが空を切る悲しいソル

「B1-PC」と仕様が違うのか、スイッチの個体の問題なのか、はたまた自分が何かを勘違いしているのかはわからないが、自分のやった限りではうまくいかなかったため、色々試した結果、今回の方法に落ち着きました。
アクチュエーションポイント的に言うとキメラスイッチより劣りますが、暴発や入力抜けよりはマシです。

と書いた後色々試した結果、TTC軸を使いつつ、入力を安定させる構成を見つけました。

 Ex.更に攻めたボタンの改造

俺はアクチュエーションポイントをもっとギリギリまで攻めたいんだ!
という無謀な人向けの更なる魔改造になります。①の改造で不満がない人は、全く必要ありません
ボタンのホールドの問題や入力されないといったことはありませんが、ボタンに遊びがなくなり、押しも戻りもかなりピーキーになるため、使いこなすには修練が必要と思われます。

では必要な材料です。(Amazonリンク)
TTC スピードシルバー 10個 1479円(必要なボタン数分)
以上です。

後は最初に購入した部品で間に合います。
(交換するボタンの数によっては、平ワッシャーが足りなくなるかもしれません)
注意点として、発注から2週間程度かかります。

最初に構成を端的に言ってしまうと、「銀軸」+「TTC」+「バネ」+「ワッシャー1個」でキメラスイッチを作り、ボタン側に「Oリング1個」+「平ワッシャー2個」です。
やり方はささきさんの動画を見てほしいが、一応ここでも手順を記述。(ボタン無改造前提の手順)

①元々ついているボタンを摘んで取る。
②元々ついてる黒軸スイッチを外して投げ捨てる。
③銀軸スイッチの横にある4つのツメを外して開ける。
④銀軸の中に入っている軸部分(銀色の部品)だけを取り出して、残りの部品をゴミ箱に捨てる。

銀軸

⑤銀軸の内側の突起にワッシャーを"1個"かませる。
⑥TTCの横にある4つのツメを③と同じ要領で外して開ける。
⑦TTCの白い軸部分とバネ部分をゴミ箱捨て、5でワッシャーをかませた銀軸と購入したバネに換装する。
⑧銀軸の"開いている方"と"くぼみ"と"金属突起"が同じ向きになるようにに組み立てる。

組み立ての向きを間違えるとスイッチの金属突起を潰してゴミになるので注意

⑨ボタンにOリングを"1個"、平ワッシャー"2個"の順でかませる。
※平ワッシャーがきちんと奥まで入ってないと誤入力の原因になるので注意
⑩キメラ軸とボタンを元通り組み込む。
⑪完成

これで、指が少し触れただけで入力されるボタンが完成します。
本当にめちゃくちゃ暴発するので、私の場合は、上下左右のボタンと弱攻撃ボタン(右手側の親指ボタン)の5つのみをキメラスイッチに変えています。変えてから3、4日くらい使ってますが、まだ違和感が出るため、この構成を継続するかどうかはもう少し練習してから考えます。

改造② 机保護

机の保護問題は、底面用ゴムをレバーレスの四隅につけるだけ。
最初からこういう仕様だったと思うくらい馴染む。ガタツキ一切なし。3Mは神。

留具のすぐ横に貼り付けた

改造③ 手の置き場

手の置き場については、リストレストを置くのがおすすめです。別にある程度の高さ稼げるならなんでもいいですが。
自分はキーボードと兼用でFILCOのリストレストを使ってます。高さぴったりで快適。もはや改造でもなんでもない話になってきた。

ちなみに膝置きタイプの人はリストレストはいらないと思うけど、そもそも小さくて単体では膝置きには不向き。膝置きにしたい人は、土台になるものを「B1-MINI-PC」の下に敷くか、もしくは「B1-PC」を買ったほうがいいかも。

改造④ オプションボタンカバーを作る

タクトスイッチ用カバーはそのまま取り付けても足が長すぎてボタンを押せないため、足を削る必要があります。

加工前    加工後

柔いプラスチックなので金属ヤスリでガリガリ削れるけど、大量のプラスチック粉が出て大変なことになるので、ニッパーで根本までカットしてからヤスリで角を取る方法をおすすめします。(1敗)
ニッパーで切ると多少足の形が変形するけど、被せてしまえばわからないのであまり気にしないのが吉。削り終えたら、実際に被せてみてボタンが押せるかを確認して大丈夫なら両面テープなどで固定。
ここで完全に接着しちゃうと分解ができなくなってしまうので注意。基本は上から押すだけのボタンなので、雑にくっつけても剥がれる心配はあまりない。

本当は加工の必要がない素材があればよかったが、見つけられなかった。
Amazonで「タクトスイッチ カバー」と検索すると大量に出てくるので、暇な人は探してみてもいいかもしれない。
今回の利用したカバーは内径3.2mmで、接着しないとすぐ外れてしまうが、内径3.1mm以下のものを探せば、被せるだけでカチっとハマって接着不要、みたいなこともできるかも。(未検証)
もし良いのがあれば教えてください。

改造⑤ 上下同時入力無効(CPTルール準拠)への切り替え

序盤にお話した通り、デフォルトだと上下同時入力は上優先となっています。ただし、ファームウェアをアップデートすることで切り替えが可能になります。

ダウンロードしたzipを解凍すると、マニュアルとアップデート用のexeが入っている。マニュアルは2つあるが、Bから始まる型番なので、「UserGuide-B.doc」を参照。
詳細はマニュアルに書いてありますが、一応手順を記載。

  1. アクリルを止めている留具をドライバーを使って外し、基盤を露出させる。

  2. 基盤の表側にある回路の部分で右から7番目の穴に上下ともピンセットを差し込む。

  3. 「USB-Upgrade.exe」を起動して、ファームウェアのダウンロードしてアップデートを行う。

  4. 30秒程度でアップデートが完了

  5. [MODEボタン]+[OPTION]ボタン+[上ボタン]or[下ボタン]のどちらかを同時押しすることで切り替えが可能になる。

アップデートにはピンセットが必要になりますが、基盤を露出させるためにドライバーで留具を外すのがめんどくさかったくらいで、すんなりいけました。
切り替えも3ボタンを同時押しするだけで簡単に切り替えできます。

正直、CPTルールが発表された時には、こんなよくわからんメーカーがアップデート対応なんてするはずないだろうと思い、この記事をお蔵入りにしようと思っていました。嬉しい誤算。ありがとうTruBoost。

とは言え、CPTルール自体はスト6の大会に出るような人以外は現状あまり関係ありません。他の格闘ゲームメーカーも追随して動くような話もまだ聞いていません。なので好きな方でやればいいと思います。どちらも一長一短あるしね。選択肢があるって素晴らしい。

終わりに

というわけですべての改造し終えたものがこちらです。

天板はtwitterで拾ってきたHelltakerの画像を加工しました

メインボタンのスイッチはまだ入れ替えたばかりで安定していないですが、それ以外についてはなんの不満もありません。無理やり不満を出すとすると、キーボードと同じ位置に置いているので、使うときはキーボードをどかさないといけないのがめんどくさいくらいでしょうか。

自分としては良いものが出来たと思うので、これからもGGST、スト6なんかで使っていこうと思ってます。本当は天板の作成についても触れようと思っていましたが文章が長くなってしまったので、一旦ここで切ります。

このレバーレス、レビューもほとんど出ていないですが、気になっている人は結構いると思ったので、書いてみました。
まさか7000文字になるとは思っていませんでしたが。

この記事が誰かの参考になれば幸いです。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

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