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最後の一点まで届けた先の出逢い

あついですね。

皆さま、あつようございます。
口を開けばアツイアツイと言いたくなる季節がやって参りましたが、いかがお過ごしでしょうか。かき氷に納涼に、夏らしい事物ですこしでも涼やかにお過ごしくださいね。

京都では祇園祭の一大イベントである山鉾巡行が本日無事執り行われました。カランコロンとお囃子が心地よく響く街には、国内外から沢山の人が訪れており、今年も夏がやってきた!と私も胸躍らせています。

そして私が今いるマザーハウス京都三条メンズ店・京都三条寺町店では、そのようなお祭り時期に合わせて、『めぐる最後の一品店。in京都』という企画展を7/5-8/22で開催中です。

セールをしないブランドとして。

マザーハウスは大量生産をしないブランドなのでセールを一切行っていません。ただ同時に、新作(=新しい素材や技術への投資であり挑戦)が続々と出てくる中で、わずかながら在庫が残っていくことがあります。そのような全店でも残りわずかになってしまったアイテム達の価値を下げることなく、最後の一点までお届けをしたいという想いから生まれた「最後の一品店。」というコンセプトストアが東京・秋葉原にあります。

建築家の藤森照信さんに作って頂いた素敵なお店

その巡回展が全国各地のお店で行われておりまして、ここ京都でも開催に至りました。実は去年も三条寺町店で華やかなバッグやストール、ジュエリーのみを取り扱う形で行っていたのですが、今回は我々メンズ店でも同時開催!小物やメンズライクなバッグ達も仲間入りし、よりカジュアルにも楽しんで頂けるような幅広いラインナップをご用意しました。

手前味噌ではありますが、このような取り組みを行っている会社はほぼないと感じています。私個人としても、最後の一品店の社内発表があった時、小売業界の概念をひっくり返すような提案をしている取り組みであること、そして、新しいものを生み出すではなく、既にあるものの価値を活かすという考え方に深く共感したことを覚えています。店長として日々の店舗運営ではなく、初めて行う企画がこれで本当に良かったなぁ…と既にいい思い出になりつつあります(早い)。

京都という"ここにしかない出逢い"が溢れる街で

ことさらここ京都の街で行うことで、また違った価値も帯びてきていると思います。平安時代からの1000年の伝統や文化を色濃く残す京都には、ここにしかない建造物や街並み、伝統文化を求めて国内外から沢山の人が訪れます。このような力強さと深みを併せ持った土地の力を日々感じるのですが、心なしか京都にいらっしゃる皆さまも、少し浮足立っているように見えます。最近は新しいお店も増えてきており、一本道が変わればまた異なる景色に出会える。歩いていれば何かここにしかないものに出会えるかもしれないという漠然とした、でも確かな期待感があるのだと思います。

また、京都は「しまつの心」という言葉が昔からあるくらい、ものを大切にしてきた土地でもあります。京都では欠かせないおばんざい料理も、海が遠く冷凍運搬技術も未発達な中、そこで日持ちのする野菜や乾物をつかう料理が発達し生まれたと言われているそうです。「少々古くなってきても使える間は使う」「最後までちゃんと使いきる」という精神が、日々暮らす中でも、街全体に浸透していることが感じられます。

お客様との出逢いに生かされている

そのような京都らしい街の風土とも相まってか、お店にお立ち寄りくださるお客様に、最後の一品店のコンセプトを含めてお伝えすると、共感をして下さる方も多いです。と同時に、ここにしかない出逢いを求めているという高揚感もあり、有難いことに日々沢山のお客様との素敵な出逢いが生まれています。

ここ京都三条メンズ店は、先月の6月で3周年を迎えました。初めましてのお客様が多いお店ではありますが、その中でも2回目3回目と回数を重ねて足を運んで下さる方も、有難いことに増えてきています。

今回もメールやお葉書でお知らせをしたところ、わざわざお立ち寄り下さるあるご夫婦がいらっしゃいました。「今回はどんなものがあるかなと思って♪」といつも楽しそうにご来店下さる素敵なお二人なのですが、ちょうど出張用に使われるお鞄をお探しだったとのこと。たまたまディスプレイしていたバックパックをとても気に入って下さりました。在庫をお調べすると、なんと全国でも本当に最後の一品…!!実は小さめのショルダーを買いに来たとのことだったそうなのですが、あいにくそちらは1時間前に売り切れに。バックパックだと想定以上の金額となるため、その日は一度持ち帰られたのですが、後日またお求めにいらして下さいました。

私自身、そのお客様にとっておそらく想定外の出費にはなるのだろう…ということは想像していました。それでもこれまで私がライフスタイルや嗜好価値観をお伺いしていた中で、このバッグのスタイリッシュなデザインや細やかな機能性が、今あるどの商品よりもお似合いになられると確信していました。「永田さんが勧めてくださったので」と最後仰ってくださったことはとても嬉しく、このプロダクトを通じて、お二人の未来がより明るいものになりますようにと心から願いました。

お客様と職人の未来を明るくする仕事

「最後の一品だからよい」のではなく、「たまたま気に入って下さったものが最後の一品だった」というのも、本当に必要なものを必要な人のもとに届けられたという喜びがあります。時には仕事に追われるような忙しさもある中で、そのようなお客様との素敵な出逢いによって生かされているなぁと思いますし、これからも頼って頂けるように、自己もお店もサービスを磨いていきたいと強く感じています。

改めて、生産国の職人たちの手でつくられたアイテムが海を越えて届き、我々の手によって、お客様の手に渡されていく。日々個人単位でも国単位でも分断や対立が中々無くならない世の中ではありますが、その中でも、お店と地域の未来を描きながら、それがお客様や生産国たちの職人の明日を生きる希望に少しでも繋がったらと願うばかりです。

…と最後は少し自分語りをしてしまいました(恥)。
『めぐる最後の一品店。in京都』の会期も残り一か月以上ありますので、少しでも気になられた方は、ここ京都でも、東京のお店でも、良ければお立ち寄りください。酷暑の中ではありますが、必ずや爽やかスマイル全開でお出迎えします!


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