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変わっていくものと変わらないもの。

こんにちは。今日は2020年の4月25日。大阪は快晴です。窓から入ってくる温かい光とひんやりとした風は、鬱々とした気分を和らげてくれます。皆さんの場所はいかがですか?

何もかもが変わりつつある世の中で

しかし、そんな麗らかな天気と裏腹に、世の中の変化は目まぐるしいですね。コロナによって今まで当たり前だと思っていたものが突如としてなくなったり、今まで想像も出来なかった様なものやサービス、概念が次々と生まれています。新生活は楽しいですが、正直あっぷあっぷな所もあります。3カ月前にヨーロッパ旅行をしたり友達と遊んだりしていた日々がはるか昔のことの様に感じます。

偶然の出会い

さて、今日はある本の話をします。僕は4月からマザーハウスという会社でバッグやジュエリー、服を売ったりしています(今店舗は完全にクローズしてますが)。小売業は全く未知の業界ということもあり、勉強のために先輩から勧められたある本を読んでいました。

それは、東京西国分寺にあるクルミドコーヒーという喫茶店の経営者影山知明さんが書かれた「ゆっくり、いそげ」という本。グローバル経済が世の中に広く浸透している中、喫茶店という小売業を通して「不特定多数の経済ではなく特定多数の経済圏をつくるには?」や「テイクではなくギブから始まる関係性は?」という数々の思想や哲学を持って人づくり、お店づくり、社会づくりをされています。その試行錯誤の7年間の記録がここには書かれていました。

中でも、最終章のコラムで書かれていた「自らの水平方向・垂直方向と自由の関係性」についての話が僕を惹きつけます。

西国分寺の祖父母から受け継いだ土地で、森の中に入り込んだようなカフェをつくり、人が「いきる」ための場づくりをすること。その役割を受け容れることは、一方でそれ以外の可能性をあきらめることでもあり、ともすればとても不自由なことのようにさえ見える。

でも不思議なことに、おかげでぼくは自由になれた。垂直方向での自分の居場所を定めたことで、水平方向の自分は自由になれた。地に足がついた。

垂直方向も水平方向も自由だと、むしろそれは無重力状態となり、身動き取れなくなるのではあるまいか。

自分の本分はこれだと思い定めたことで迷いがなくなった。いつでも帰れる場所のある安心感が生まれた。すべてを自分一人で担う必要はないと肩の荷が下りた。依って立つ原則を手に入れた。

そうしてぼくは今、遠くまで行ける気がしている。

変わらないものがあるから、変われる。

ここでの「垂直」とは、影山さんの祖先や子孫(血縁という意味においてだけでなく)をつなぐ軸であり、土地の風土とつながること、自分の生きる文脈を知ることで、「水平」とは、今行なっている事業そのものを指しています。

前職がマッキンゼーという超大手経営コンサル会社で、仕事の種類も場所も様々な選択肢がとれそうな影山さんにとって、西国分寺という土地で50年続くカフェをやるという選択肢は、一見とても不自由なものに見えるけれども、実はそうでなかったということを仰っています。

そして僕は、この「垂直・水平方向と自由の関係性」は、僕たち一人一人の今においても言えることなのではないかと思いました。

個人レベルでいう「垂直」とは、自分の血縁や長い間住んできた家や地域、小学校から仲のいい幼馴染、何年も大事に使っている服やバッグ、自分の身体や性格、癖、あるいは信じているもので、それらは僕たち自身を貫くものであり、変わらないもの

一方「水平」とは、まさしく今僕たちがコロナによって受けている変化。自分や周りが感染しないか不安で心が落ち着かなかったり、仕事がリモートになったり、外に出れなくなって家で過ごす時間が増えたり、家族とは会えなくなったり、一方で友達とはオンラインで会う様になったり、買い物は近所のスーパーかアマゾンで済ませたり、YOUTUBEやNetflixなどのオンラインコンテンツを漁ったり、僕たちの生活の中で変わっているもの、変わりつつあるものです。

ここ1ヶ月くらいはニュースでも友人との会話でも、コロナばかりが話題に上がっていて、刻々と世の中が変わる。変化の種類と数が多すぎて、自分も頑張って変わっていかなきゃ置いていかれる、という目に見えないプレッシャーを感じている人は少なくないのではないでしょうか。

確かに時代に合わせて個々人や社会が変わっていくことは必要だし、そうしないと生きていけないことがあることは理解しています。しかし僕はそれ以上に「何が変わらないか、何を変えないか」ということがまずは大切なのではと感じています。

その変わらないものが明確に自分の中にあってこそ、初めて人は自由になれるし、変わっていけると信じているからです。

僕の変わらないもの

ちなみに、僕の変わらないもの/変えたくないものは、家族、地元、好きなもの、好きな色、、、と沢山思いつきますが、今一番に大切にしたいのは自分のビジョンです。それは、「人も自然もお互いがお互いを尊重し合い、多様なつながりの中でいかしあっている状態」というもの。

自分の会社はビジョンが強いので、働く上でのモチベーションを維持したい、高めたいという理由もありますが、しかしそれ以上に僕がこれを変えたくないと思っているのは、ここに僕の過去と今と未来が詰まっているからです。

学生の頃周囲の偏見によって苦しんだ時間、その時に僕を支えてくれたもの、僕を受け容れてくれた地域や人達、その人達との色んな思い出、、、そんな自分の過去があって初めて、僕が願う今と未来があります。

あなたの変わらないもの

アフターコロナの時代がビフォアコロナの時代に戻ることはありません。時が進んでいく中で、人もモノも、暮らしも仕事も、社会も環境も、これから益々変わっていくことは間違いありません。

その中で、変わっていくものに振り回されそうになった時、自分にも変化を求められて苦しさを感じてしまう人達がいるかもしれません。もしかすると、既に感じている人達もいるやもしれません。そんな人達に、この言葉や想いが届くといいなと思い、書いてみました。

変わることを急ぐより、まずはあなたの中にある変わらないものを探してみませんか?

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