見出し画像

読書記録①『いたいのいたいの、とんでゆけ』

いやすげえなこれ……(語彙力)ボジョレー状態入りました。本当に今までに読んだ本の中で一番好きかもしれない。三秋縋らしいと言えばらしいんですけどある意味ではこの作者の作品ではかなり異質な感じがしました。少なくとも三秋縋作品では一番好きかなあ……また他を読み直したら変わるかもしれませんけど。
これでメディアワークス文庫から出ている三秋作品は全部読破したんですけど、読んだ順番が恋する寄生虫→電話をかけていた場所→スターティングオーヴァー→三日間の幸福→これなんですよ。自分でもなんでこの順なのかよく分からんわ……と思ったんですけど、そもそも寄生虫読んだのが確か去年だったんですよね。「三秋縋って面白いらしいから読んでみるかーとりあえず一番新しいやつ」って感じで。それで実は寄生虫、面白かったのは間違いないんですけど心に刺さるって程でもなくて。まあTwitterはフォローしたんですけど。それで次の作品読むまで1年空いた訳なんですが、最近自分でちゃんとした小説を書き始めようとして、Twitterを見て気付いたんです。「あっこれ寄生虫が刺さらなかっただけで三秋縋多分好きだわ」って。それでとりあえず前から気になってた『君が電話をかけていた場所』『僕が電話をかけていた場所』の2冊を読んだらこれがもう刺さるわ刺さるわ。最初の数ページで表現に引き込まれてストーリーにもグイグイ引き込まれて、まさに僕が書きたい話はこういうものじゃないかって思って一瞬でファンにされましたね。それで残りも読んだらもう全部面白くて。一番人気ぽかった三日間の幸福は最後に取っておくつもりだったんですけど、耐えきれずにこの本より先に読んでしまいました。結果的にはこれが一番面白かったので結果オーライですけどね。うっわ前置きが長すぎる。そろそろ感想行きましょう感想。以下ネタバレ注意です。あとわざわざ垢とnote作っといて今更ですが僕は本の感想が夏休みの読書感想文を4年連続で踏み倒すくらいには苦手です。期待しないでください。

前述の通り三秋縋らしいといえばらしいんですけど異質といえば異質なんですよね、この作品。まず三秋縋らしいっていうのは主人公とヒロインの関係性ですよね。最初はヒロインはツンツンしててけど主人公と同じくらい弱さを抱えてて幸せに共依存していって……あと結末は三日間の幸福とかなり似てる部分があったと思います。あとがきにも書いてありましたけど、〈落とし穴の中で幸せそうにしている人〉を描いてるっていうのは言い得て妙だし彼の作品に共通してて、僕もそういう話好きだなあって思います。佐野徹夜の『アオハル・ポイント』なんかもそんな感じだし。
じゃあ異質な点は何なのかってとこなんですけど、いや結構グロいというかスプラッターというか(言葉あってるか分かりませんけど)とにかく三秋作品で最も多くの血が流れてますよね。そんでもって安易にそういった方向に走ると却ってチープになりがちなんですけど、そこをただうわぁーグロいなーで終わらせない辺り流石ですよね。「少女」(最後まで読んだけど敢えてこの呼称でいきます)が殺人の後に腰を抜かしたり吐いたりするのはむしろ正常でおかしいのは何とも思わない主人公の方だった、からの「少女」サイドからの過去回想で全部繋がるわけですよ。あれ?文通相手の霧子どこいった?まさかこのままノータッチ?って思い始めたとこでこれです。まあ読者も薄々少女の正体には気付き始めてるんですけどその正体の詳細を明かす回想が本当に巧みで。復讐相手に高校生と大学生が混じってるのとかバリバリ伏線なのに気付かなかったなあ……この直前からの少しずつ疑問が氷解していって盛り上がる、三日間の幸福じゃないですけど「答え合わせ」の感じはやっぱり凄いとしか言いようがないです。最後も事実だけ見ればバッドエンドなのに、この2人は確かに幸せだったんだなあって否応なく納得させられる感じも流石ですよね。

とまあ感想書いたはいいものの、水の量間違えたカルピスばりの薄さですね。読み終わったばっかりでまとまってないだけだと願います。これ以上考えてもまともな文章を書ける気がしないのでこの辺にしときます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?