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工房の道具 刃物(上)


鉋 カンナ

まずはカンナのご紹介。器を作るには、ロクロで材木を回転させ、カンナという刃物を当て形を削り出していきます。持ち手になる木の柄の長さを含めて40センチ前後、長い鋼棒の先っちょ折れ曲がった刃は数ミリから数センチ巾です。一見すると図体のでかい耳かきのようで、大工道具のカンナとは全く違っています。(材木の面を削って滑らかにするという使い方は同じです)

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ところで、木を削るのに欠かせないカンナですが、通常は市販していません。鋼(今はハイス鋼)を鍛造し、一本一本自分で作ります。鍛造とは金属を叩いて強度を高め変形させる手法ですが、加工を容易にするため熱を加えます。焼き入れの工程では焔の色で温度を計るのですが、高すぎれば鋼は溶け、低ければ硬度不足で摩耗が早く折れてしまうこともあります。

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そこそこ納得のいくカンナを作れるまで何年もかかりました。週に一度くらいはカチンカチンと鋼を叩いてカンナを作っていました。(今は年に数度くらい)幼い頃は、木を削る木地師から鍛冶屋に転職したという話もよく聞きました。どちらも今は珍しい仕事です。
(なお、ロクロ引きの作業をすぐ前で見るのは危険です。刃物が折れたり、木片が飛んでくることもあるので)

次回は、今では見ることのない前挽きノコなどをご紹介します。

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