30代、反撃の狼煙。

20代最後の朝は、
清々しい自然な目覚めでもなく聞き慣れた目覚ましの音でもなく
緊急地震速報の不安感を煽る音色で目が覚めた。

テレビで規模を確認して被害はなさそうだ、と落ち着きを取り戻したあと
最悪の目覚めだな、と笑ってしまった。
まあ、世間のサラリーマン・OLが大体仕事を始めるであろう時間に寝ている私が自然災害に腹を立てるのもお門違いだろう。

落ち込むでもなく笑ってしまったのは、
まあそういう日もあるよねってこと。

明日には30歳になる。

履歴書に書けるような経歴のほうが少なくなった。
20代の大半は「自分は社会に適応しづらい人間だ」ってことを確認するような日々だった。

10代ではわりと模範的な、「言うことを聞く」大人に都合のいいような子供だったと思う。学校にはわりと適応できた人間だった。

それが大学あたりから勝手が違ってきた。自分で考えろと。
かといって仕事において言われたことを忠実にこなせる人間かといったら違う。うまく真似さえできない。

「何も持ってない30代」になるのがすごく恐ろしかった。

仕事でそれなりに頑張っている、結婚して家庭を持つ、趣味で充実した日々を送っている、なんでもいいから「私はこれを持ってます」と言える大人になりたかった。
そのどれもが自分の手にはなかった。
 

私たちの周りにはとやかく年齢がつきまとう。

29歳職種未経験はギリギリだとか(実際言われた)、
古いかもだけど女はクリスマスケーキだとか、
アイドルを年齢で「もうキツいっしょww」と揶揄するとか(体力的な話ではなく)、
そういうことがいっぱいありすぎて、「自分の限界」ではなく「誰かの価値観」が自分の価値観になって、自分を絶望に追いやっていく。

実際はアスリートのような体力的な問題がないのなら、いくつで何をやったっていいはずだ。
年齢で笑うようなやつは会社の上司だろうが彼氏候補だろうが願い下げだ。
アイドルだって求めるファンがいるなら、いくつだってやればいい。

私が昔から聴いてるUVERworldの曲「AWAYOKUBA-斬る」に
「あと1時間だけは19歳で 次の広がる未来を楽しみにしているように」
っていうフレーズがある。

悲しいかな、世間では20歳なら「なんでも出来る希望にあふれた存在」なのに、
30歳となると「もう現実見なよ」って風潮を感じるけど。

うるせえんだよ!!

と叫びたい。


UVERの曲はこの後、10年後もそうしようって風に続くんだよね。
私は経験したことのない30代を、楽しむことにするよ。

長らく連れ添った20代、ありがとう。
やれることがなくて自分にばかり向き合っていたあの日々を成仏させて、私は30代を好きに生きる。

喘息を持っているから渦中の感染症が怖くて、なんなら貯金を切り崩すギリギリの日々だけど、これは自分の心に正直になった結果だ。後悔はしてない。
まあなるようにしかならないよね。

今も、胸を張って言えるようなものは大して持ってないけれど、
私は言葉を紡ぐのが好きだし、
仲良くしてもらってる誰かが困っていたら少しでも気持ちが軽くなるような言葉掛けをしてあげたい。

それでいい。
何も持たなくたっていい。

でも、新しい世界で気張らず歩いていって、その道中で何かを拾えたらいいな。


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